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#ShortFilm と #ハウスウェディング 〜T&Gの戦略に惚れた。 #4/5追記修正

*中盤:CPAのくだりが、文脈不明瞭でしたので、追記修正しました*

平日のアフターファイブに、ゲストハウスウエディング式場で、ショートフィルムを鑑賞してくる、という非日常体験をしてきました。

元々は、この企画(T&G Films)は知らなかったのですが、(最近frequencyの高い)antenna*にて企画を認知し、行ってきました。

マーケター視点でいうと、この企画、めっちゃええやん。

要は、

平日アフターファイブに稼働してていないゲストハウスウエディング会場を、ウェディングモチーフなショートフィルム複数本上演。会場は、当然スクリーン、プロジェクターと音響インフラの整ったブライダル施設。

というシンプルな企画。

来場者のモチベーションは単一ではなく、多様。
■同性同士のおでかけ先。(映画という共通項:大規模興行系映画ではなく、よりカルチャー色強い)
■男女カップル(ここが一番コアだろう)のデートのネタ用
 → このカテゴリは、複数インサイトがあると思っている。
  ・マンネリしがちなデート行き先
  ・結婚式場を選び始めた頃のカップルの来場動機(これは、男女どちらが言い出すか、や、タイミングによる)
  ・結婚式場の下見って、カップルにとって、かなり大規模イベントだと思われる。それを、日常の生活の中に自然に溶け込ませるジャーニーとしては、秀逸すぎる手法だ。誘う方も、誘われる方も、気合はいる。

結婚式を一生に一度しかやってはいけない、という法律はないが、多くの方にとって、このセレモニーは、数少ない経験かと思われる。なので、事業側としては、生活者の意思決定に纏わるカスタマージャーニーに、いつ、どこで、どのようなアプローチをすれば、選択肢に入ってくるか、と頭を悩ませるところであろう。

昨今では、ゲストハウス系ウェディングも街場に多くなってきたが、コンペティターは、ホテルや、和洋の神殿系もある。

結婚式場の1件成約・受注顧客単価は、数百万〜なので、(WEB的な発想でいうと)その1件の成約獲得単価CPAは、事業側としては、通常大きな予算を投下しているだろう。ブライダル情報誌、OOH、TVCMなどなど。

今回のシネマのスキームは、その見込客獲得、リードナーチャリングを、自社の施設の非稼働の時間的有効活用、という、「シンプルな打ち手」で成功させている。

従来は、1件成約に至るまでの、プロセス(カスタマージャーニー)にあたる、「事前見学」のきっかけを、ライトな訪問動機に置換しているのである。

しかも、来訪者自ら、お金を払ってまで、来訪をしてくれている。

(旧文章)1件受注単価は、数百万〜なので、(web的な発想でいうと)CPAは、莫大なものだろう。そのリードナーチャリングを、発想の転換、というか、スペースマーケット的思考、自営の施設の余暇時間を有効活用するだけで、気軽に来訪いただける「きっかけ」を作っている。

これ、コンテンツ(=ショートフィルム上映回)も、実はかなりキモかと思われる。

従前までの「結婚式場への来訪目的」は、ドレス試着、お料理試食会、など両者にとって、「やや重い」ややきっかけばかりだった。それを、気軽に誘える「映画」という媒介コンテンツ・コンテキストにより、日常的コンテンツに一気にハードルを下げているのである。

*とはいえ、「異性を映画に誘う」というのは、内気で温和な僕のような人間には、それでも一大事だが。

こちらの T&G Filmsの企画は、Peatixにて、フォロワーを3,000人弱も抱えている。

また、最近LINE@を開設したようで、こちらは200人ちょっと。 

この友だち追加施策も巧妙。イベント会場では、1ドリンクがデフォルトでついているのですが、会場でLINE@の友だちになると、無料で、1moreドリンク。会場の案内も秀逸で、全部で4本上映があるうち、前半の2本終わった休憩時間でのタイミングでのアナウンス。つまり一杯飲み終わった頃に、囁いてくるのである。これは、効く。

来場者と継続的にコミュニケーションできるような設計を描いているのである。

ショートフィルムの話。

長編映画中心にしかみてこなかった僕は、「ショートフィルム」という分野・ジャンルは認知していたけど、見たことがほとんどなかった。今回、約40年の人生でほぼ初めて、「ショートフィルム」というものを体感してきた。

今回の上映作品は、こちらをご参照。

1.作品名:「完璧な結婚相談所 / Arranged」(カナダ)
2.作品名:「完璧な男 / Perfectly Normal」(アメリカ)
3.作品名:「ビューティフル / Beautiful」(イタリア)
4.作品名:「ショーリール / The Showreel」(イギリス)

いずれも、10〜15分ほど。その短尺に、起承転結のドラマが凝縮している。これは、実に高度なコミュニケーションで、ハイコンテキストなカルチャーだと思った。唐突に始まるストーリーに、その主人公のバックグランドも理解しなければならない。映像の中にキャプションによる説明は、付与されているものの、理解するのは、視聴者次第。

平凡な例えをするとTVの「世にも奇妙な物語」だ。オムニバス形式のショートストーリーの集合体。TVのほうが、説明は充実している。ショートフィルムのほうが、観衆を試している。

ライフスタイルや、バックグランドにより、好みも別れると思われる。

実際、鑑賞後、同行者とプチ講評会をしたのだが、やっぱり好きな作品の順位は異なった。(僕は「ショーリール / The Showreel」がNo.1)

1本の長編を見て、感想を言い合うのもいいが、このように趣向の異なる4本を見て、ディスカッションさせる=鑑賞者同士のコミュニケーションを生み出すためのトリガーになっているのであろう。(そこまで計算しているのか、T&Gよ...!)

と、いうことで、ちょっとショートフィルムにハマりそうなので、おすすめとか教えてください&このT&G Films、ご一緒しましょうー。

桜の季節で、大変エモい会場となっていました。

季節限定?桜色のドリンク
(1杯目は参加費に含まれています)

上映後、2階のチャペルも見学できます。

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