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父へ贈った『犬が伝えたかったこと』



先日、父の誕生日だった。


高価なプレゼントを嫌うので、本を選んだ。





犬にまつわる実話をもとにした物語と、筆者の的確な解説によって構成された1冊。


例えば、飼い犬が病気になったり、しつけが上手くいかなかったり、なかなか好きになれなかったりといった数々のエピソード。


そこに合わせて、筆者が愛犬の気持ちを代弁するように、まるで手紙のような説明を綴っていく。



感受性豊かな犬は、人の声の響きのごくわずかな違いから、自分に対して愛情があるか、無関心か、攻撃的になっているかをみきわめられます。
つまりちょっと名前を呼んだだけで、その犬は、自分があまり好かれていないか、ぼんやり好かれているか、たまらないほど好かれているか、その日の、その瞬間の、飼い主さんの感情がわかってしまう。
言葉の意味がわからない犬は、私たちの気持ちを知るために、目の輝き、体温、心臓の鼓動、体臭の変化などから情報を読み取ろうとします。
(…中略…)犬はつねに私たちの本心を読み取ってしまいます。
『犬が伝えたかったこと』三浦健太 p52-53




わたしはこの文章に、胸がむずむずした。


そして、明確な意図を持って、この本を父へプレゼントしようと決めた。


・愛情不足の現代社会に対して、こういう表現方法があり、とても大切であると感じていること。

・言葉にしないと理解できない人間ではあるけど、だからこそ言葉に豊かでありたいし、真実を深く理解したいと思ったこと。


わたしの想いを父に伝える手段として、この本は最高だという自信があった。


贈ってまもなく、父はすぐ読み終えたことと満足のできる内容だったことを知らせてくれた。



やっぱり、わたしは、本を通じての父とのコミュニケーションが大好きらしい。






最後に、現代社会を生きる方々へ愛を込めて。


しかし、もちろん、好きになることに理由なんて存在しません。「好きな人と一緒にいる」という単純な行動ひとつとっても、なぜそうするべきなのか?なんて明確な説明はつかないはずです。
一方、犬は自分の感情にひたすらまっすぐです。その行動も直線的です。
犬がこの人と一緒にいたいと思った時は、とにかく一緒にいようとします。
もしも人間の言葉を話すことができたなら、ただ「そうしたいから」と答えるはずです。
『犬が伝えたかったこと』三浦健太 p118-119



今日も、理由のない愛がたくさんたくさん伝わりますように…!



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