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そのときは、突然やってくる【出産レポ①】

2ヶ月前に息子くんを出産し、
初めての育児にもうてんやわんやで
すっかりご無沙汰してしまいました。

小さな命と対面したあの日の感動を忘れないように、
大切な記憶を綴ってみたいと思います。

まずは、陣痛から出産までの山あり谷あり10時間12分です。


■陣痛は突然やってきた

出産予定日前日の妊婦検診。
先生からは
「まだ赤ちゃん降りてきていないですね。
予定日はあくまで予定なので焦らずいきましょう。」

そう言われたので、出産はまだ先と思って
のんびり構えていたその夜のこと。

お風呂からあがると、前駆陣痛とは違う
強い痛みが周期的に襲ってきました。

(まさか…         陣痛?)


23時を過ぎた頃。
計測すると、もう8分間隔で痛みがきているじゃないですか。


急いで産院に電話をすると、冷静な助産師さん。

「初産だと時間がかかるから、我慢できない痛みになったらまた電話してくださいね。」


「分かりました。」

と言って電話をきったものの
(我慢できない痛みってどう判断すればいい?)
(いつまで我慢すればいいの?)

不安がもくもくと膨らんでいきます。

(ふーー。吐く息を意識して… ゆっくり。
 あー、もう、痛いー。おさまれー。)


痛みで動けなくなる一歩手前というときに、
再び産院に電話して、入院の許可が出ました。


夫が運転する車に乗り産院へ。

街が寝静まった夜中2時過ぎ。
車通りのない静かな道に、煌々と輝く街灯。
15分ほどの道のりがやけに遠く感じました。


■無痛分娩の効果はいかに

産院に着いて手続きとPCR検査を済まし、
いよいよ出産の準備です。

「自然分娩」か「無痛分娩」か。

年齢や体力を考えて無痛分娩を希望していたものの、
麻酔を打つのでリスクがあるし、いきみにくいので赤ちゃんが出てきにくいとか。
しかも8万円と高額な費用がかかるので、最後まで悩みました。

しかし、この痛みにはもう耐えられない!


「無痛分娩で、すぐ麻酔をお願いします!!」

「分かりました。まず点滴を入れていきますね。」

そう言って助産師さんは左腕に点滴用の針をさしました。

・・・
「入らないですねー。すみません。
 場所を変えますね。」

2度目の針がささります。

(あーー、痛いなー。
 けど陣痛の痛みに比べればこれぐらい大丈夫。)

・・・
「すみません。入らないので右腕にさせてもらいますね。」

(えっ、うそでしょ。大丈夫??
 もうなんでもいいから、早く入れてー!)

そして三度目の正直。
やっと点滴が入りました。


そこからはスムーズに処置が進み、
先生が麻酔を入れると15分ほどで、
あんなに悶え狂うほどの痛みが
不思議なほどスッと引いていきました。


息子くんはその間も外の世界に出ようと
骨盤をぐいぐい広げて頑張って降りてきます。
その感覚はあるけど痛みはまったくありません。


(無痛分娩すごっ!!)


時刻は朝4時をすぎた頃。
夫は一時帰宅し、助産師さんもいないひとりぼっちの分娩室。


痛みがないので眠気が襲ってきてうとうと。


(こんなにのんびりしてていいの?)

かえって不安になるぐらい寛いでいました。

そのリラックスがよかったのか、息子くんは
順調に降りてきてくれました。


しばらくして助産師さんが子宮口の開きを見にきました。
「もう7cm開いてるから旦那さん呼んでね。」

いよいよ、お産が始まる緊張感と、
十月十日一緒に過ごしてきた息子くんに会える喜びが一気に押し寄せてきました。


■小さな命にはじめまして

夫が到着してしばらくすると、
出産の機材が運ばれてきて、先生や助産師さんが
出入りして、一気に慌ただしくなります。

助産師さんが、呼吸法や、いきむタイミングを
指導してくれるので、信じて必死にいきみます。


「はい、いきんで!
 目を開けて!!そう、上手ですよー。
 頭見えてますからねー。」

「いったん力抜いて呼吸しましょう。」


5回ほどいきんだでしょうか。

「もう頭出ますからね、力抜いてー。」




「おめでとうございます!!」


助産師さんや先生の声が聞こえると同時に

「ギャーーーーー!!!!!」


産院中に響き渡るほどの大きな産声が聞こえました。

時刻は9時47分。

息子くんは、眩しい外の世界に驚き、元気いっぱいに泣き続けました。


小さな命が宿ったあの日から十月十日。
いつ何が起きるか分からないし、
産まれてくるまで心配で心配で。

とにかく無事に産まれてくれてよかった。

よく頑張ったね。
ありがとう。



検査を終えて胸の上に置いてもらったわが子は
小さくて可愛くて、初めて味わう愛おしさに包まれました。


妊娠中、私の体調を気遣って支えてくれた夫。

初孫の誕生を心待ちにしてくれた義母。

あまり言葉にしないけど心配してくれた父母。

いつも励ましてくれる温かい友人。

産休を受け入れ応援してくれた職場の人達。

信頼できる心強い先生、助産師の方々。


私はひとりじゃなかった。

妊娠出産という、人生の大きな変化をとおして
たくさんの人に支えられていることに気づけたのです。

ひとりひとりに感謝のきもちでいっぱいです。


いつか息子くんに産まれた日のことを話すとき、
こんなにもたくさんの人があなたの誕生を喜び、
祝福してくれたことを伝えたいと思います。


私たちのもとへ産まれてきてくれて
ありがとう。

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