【短編小説】君の頬と空の色
17時。17歳。
空は、、、。なんて言うんだろう。
少し、心の奥の奥がきゅっとして切なくなるような、オレンジ色。
下校途中にある小さな小さな公園。
ぎーこっぎーこっと不安な音がするブランコに僕と陽奈が座る。二人の座るブランコの間には、一つ空のブランコ。今の二人の距離感そのまんまだなって、思う。目と鼻の先、よりももうちょっと遠いところには、少しこわばったような陽奈の表情。頬は、少し赤いのかな。空の色が映って見えるだけか。
先に僕が口を開こうとした。
「陽奈と最近、あんまり一緒に、」
「麻耶、くん、あ、あのっ、」
被った。
「あ、ごめ、先、いいよ」
「あっごめんっ、どうぞ。」
また。
「ほんとにっ、こっちは大したことじゃないからっ麻耶くん、先にどうぞ。」
今度は被らなかった。
「じゃあお先に。」
「最近、あんまり一緒に帰ったりとか、前みたいにしてなかったよな。いつも用事があるとかで陽奈、断ってたから。デ、デートも、もう二か月くらいしてないし。それでさ、もし陽奈が、さ。もう俺のこと好きじゃなかったらっ、てさ、思って。」
「え、あっ、いや、そん」
今度は、わざと被せた。
「それにさ、最近陽奈、古賀と仲いいよな。休み時間とかもよく喋ってさ。」
「ちがっ」
溢れてくるみたいだった。何がだろう。怒り?悲しみ?呆れ?
それとも、陽奈のことが大好きって気持ち。
とにかくその気持ちに乗っかるようにして、僕の言葉があっという間に舌から滑り落ちていく。
「それに、さ。見ちゃっ、たんだよ。この前の日曜、お前と、古賀が、街を、、、歩いて、、、」
視界の中のもの全てが溶けたみたいになってたゆたったかと思うと、ぽとっ、という音がして僕のズボンが濡れた。ぽとっ、ぽとっ。また。
「別れよう。」
ぎーこっ。
ブランコから立ち上がった僕は、涙を陽奈に見られないように、振り返らずに公園を出た。
17時。16歳。
空は、、、。なんて言えば良いのかな。
あったかい色。優しく私の背中を押してくれるような、やわらかなオレンジ色。
帰り道にある、とっても小さな公園。
ぎーこっ、ぎーこっ、って懐かしい音がするブランコに私と麻耶君が座る。二人の座るブランコの間には、一つ空っぽのブランコがあって、きっと今の私は相当赤くなっているから、ちょっと距離があって良かったなって思う。近くも遠くもないところにいる麻耶君の横顔は、どこか寂しそう。夕方だからそう感じちゃうだけだよね。
誕生日プレゼント、喜んでくれるかな。
カバンの中のそれを、その存在を確かめるように指でなぞる。
あんまり喜んでくれなかったら、、。
そう考えたたけで喉から声が出なくなりそうになるけど、踏ん張る。
喜んでほしいな、って、ただただそう思う。
バイトのシフトを増やしたり、麻耶君と仲の良い男の子に何が喜んでくれるか聞いたりした時間。麻耶君と過ごす時間を減らしてでも費やしたその時間は、全てその願いのためにあったから。麻耶君と良く行くっていうお店にわざわざ連れて行ってもらったりまでしてくれて、ほんとにありがとう。私、がんばるよ。
って協力してくれた人たちに宣言する。
やっぱり会話も私から切り出さなきゃ。
「麻耶、くん、あ、あのっ」
「陽奈と最近、あんまり一緒に」
被った。
「あっごめんっ、どうぞ。」
「あ、ごめ、先、いいよ」
また。
「ほんとにっ、こっちは大したことじゃないからっ麻耶くん、先にどうぞ。」
今度は被らなかった。
「じゃあお先に。」
麻耶君が大きく息を吸った。
「最近、あんまり、一緒に帰ったりとか、さ、前みたいにしてなかったよな。いつも用事があるとかで陽奈、断ってたから。デ、デートも、もう二か月くらいしてないし。それでさ、もし陽奈が、さ。もう俺のこと好きじゃなかったらっ、てさ、思って。」
え、っ、ちがう、ちがうよ麻耶君。あっ、今、ちがうって言わなきゃ。
「え、あっ、いや、そん」
畳み掛けるように、麻耶君が喋る。
「それにさ、最近陽奈、古賀と仲いいよな。休み時間とかもよく喋ってさ。」
だからっ、違うっ。ちがうのっ、私は。
「ちがっ」
「それに、さ。見ちゃっ、たんだよ。この前の日曜、お前と、古賀が、街を、、、歩いて、、、」
「別れよう。」
ぎーこっ。
あとがき
いや切ねェェェ〜〜〜!!切ねぇよぉ。僕が作ったのに僕が泣きそうになりました。どうもみざです。
今回は今まであまり書こうとしなかったジャンルを気分転換に書いてみました。ちなみに僕はこんな甘酸っぱくて切ない恋愛などしたことないです。
個人的にはけっこう上手く作れたのかな、と思います。最後の方はもう少し時間があればもっとじっくり考えてより良くできたとは思うんですけどね。
なんせ深夜に作ってて次の日学校なもので。
なかなか書けなくてですねぇ。投稿頻度が落ちに落ちてしまっていて申し訳ないです。noteを通じてみなさんと交流することが今の生きがいの一つでもあるのでなるべく書きたいと思うのですが、時間が無いという問題と同時に精神的に小説とか文章と向き合える余裕がないのもありなかなか大変ではあります。それでも辞めるってことは絶対ないのでちまちまとでも書き続けます。
ありがたいことにフォロワーさんが130人を超え、多くの方から記事への反応をいただくようになりました。これからもよろしくお願いします。
それではみなさん、よい一日、よい夜を〜。
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