銀色の海

JTB旅行記賞で一次審査通過(25人/約450人)の経験あり。旅の雑誌で、読者欄への投…

銀色の海

JTB旅行記賞で一次審査通過(25人/約450人)の経験あり。旅の雑誌で、読者欄への投稿・掲載をくり返した。その後ライター養成講座に通い、卒業作品(インタビュー記事)が優秀作として雑誌に掲載となる。当面は、日常と人生についてオモシロ&真面目なエッセイ、旅行記を目指す。

マガジン

  • エッセイ「Rainbow shower」

    ドジで真面目なエッセイ集

  • 旅「Memories」

    旅の記憶をまとめています。

最近の記事

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わたしには好きな言葉が二つある。 そのうちの一つは、英会話の先生が教えてくれた、ことわざだ。 のっけから英語を持ち出すのは全く本意ではないのだが、ちょっと素敵な表現なので、みなさんへお伝えしたい。それは、 Every cloud has a silver lining. という。直訳は、“どんな雲にも銀色の裏地がある”、となる。 空いっぱいに厚い雲が垂れこめる薄暗い日、飛行機で離陸して雲を突き抜けたその瞬間、窓の外に突然に光に満ちた青空が現れる体験をしたことはないだろうか

    • エッセイ|ほどいてゆく

      取り組んでいる仕事のプロジェクトで、初めてむかえる大きな山をうまく越えられたらやりたいこと ――― ステキなパジャマを買う。(最高に心地よく眠りたい) 切らしている基礎化粧品を買いに行く。(ずっとまえに慌てて買った、ドラッグストアの旅行用セットでどうにか間に合わせている) 整体院に行く。(ツボのよくわかっているマッサージ屋でもいい) 録画を溜めこんでいる俳句番組を、一気観する。(こういうときのために溜めこんでいる) Netflixでヒューグラント漬けになる。(『ノッ

      • エッセイ|勝利をつかむ

        何年か前のCMで、通勤途中の二人が、相手よりも先を行こうとして知らず知らずのうちに足を速め競いだすシーンがあった。ご記憶の方もいるのではないだろうか。偶然に行きあわせた二人が、あ・うんの呼吸ではじめた熱く静かなたたかいのことを。当時わたしは、通勤途中にいきなり競いだすという理屈がわからなくてトンチンカンなCMかと思っていた。 ところが、である。最近になって腑に落ちる出来事があった。 うちから最寄り駅までダッシュして、(もう少し…)というところで電車を逃してしまったときのこと

        • 日光を旅する⑤(最終回)東照宮で見つけたステキなもの

          4か月ほどかけてお伝えしてきた「日光を旅する」シリーズは、今回の日光東照宮をもって終わりになります。 東照宮は、三代将軍 徳川家光が「金に糸目をつけるな」と命じて改築させた、当時の芸術の粋。 ここには意外なほど多くの、獏の彫刻があります。 人の夢を喰うとされている霊獣の獏のこと。夢のほかにも銅や鉄など金属も食べることは、あまり知られていないかもしれません。 戦争が起こると、武器をつくるため銅や鉄がなくなります。 だから獏が現れるのは、世の中が平和になったあかし。 獏は、平

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        • エッセイ「Rainbow shower」
          13本
        • 旅「Memories」
          6本

        記事

          エッセイ|信心深い...

          わたしの姪のことである。 幼児のとき言葉を覚えるのが早くて口のよく回る子だったが、当時から仏壇に向かって般若心経をそらんじていた。まだ文字を習っていなかったころのこと。母親が唱えているのを聞いて耳で覚えたものらしい。帰省したわたしは、ようやく話せるようになったばかりの幼な子が誦経しているのを目撃しビックリして飛び上がった。 もしや神童?と期待を抱く。しかしその一方で子供らしい、甘い物への飽くなき欲望もある。5歳年上の兄やひいおばあちゃんへの配分などお構いなしでデザートに喰

          エッセイ|信心深い...

          日光を旅する④-日光金谷ホテル 誕生の物語

          「みなさま、ようこそお越しくださいました。まずはこの金谷ホテルの始まりについてお話をしまして、そのあと館内の案内へと移ってまいります。途中で二階に上がりますのでね、足のおわるい方はご遠慮なくおっしゃってください。エレベーターで上がることもできますので……といいますか、私がエレベータ―に乗りたいのでして、これが」 座りきれないほど宿泊客が集まったロビーに、古参らしいホテルマンが現れて話しだした。黒の制服。彼自身に宿の上客のような風格があり、視線を一身にあつめてユーモラスな語り

          ¥180

          日光を旅する④-日光金谷ホテル 誕生の物語

          ¥180

          日光を旅する③-華厳の滝

          みなさん。日本地図ってどうだろう? 生まれ育った土地とかお住まいの地域というのではない、まったく馴染みのないところの地理って詳しく知っているだろうか。 「そりゃもう、島の一つひとつにいたるまでつぶさに脳裏に焼きついてますね」とか、「日本地図は3Dで認識してますけど」とまでいう人は、仮にいたとしてもきわめて少数派…?だろうと思う。 自分のことをいえば、3Dどころか県境だけが描かれた地図で、「ここって何県?」と指されたりしても…視線を宙に漂わせ、首をかしげて後ずさりしたくな

          日光を旅する③-華厳の滝

          日光を旅する②-お料理編|中禅寺金谷ホテル&日光金谷ホテル

          「おいしい」は、曖昧だ。 育った地域や家庭の食習慣による。もちろん人それぞれの好みも違う。 わたしは西のほうの生まれで、おでんの“はんぺん”は食べつけない。"ちくわぶ”を、”ちくわ”だと思って口にした時は、「何者?」という感じだった。 その反面、もともとそんなに好きではなかった穴子のにぎりが、東京の煮たものを食べて(すごくおいしい)と気づくようなこともあった。 20年ほどまえ、職場で50代半ばくらいの営業マンが生のウインナーを食べているのを目にしたことがある。 お弁当の

          日光を旅する②-お料理編|中禅寺金谷ホテル&日光金谷ホテル

          月、火と初めてつぶやいたら、金曜まで毎日つぶやきたくなった。 表現したいことが140字で伝わるか試し、投稿後も(なんか違う)と幾度も正す。 本当に140字ある? 結局、伝わらぬ作品を残して実験は終了へ。 俳句は究極だ。作れないのでTV番組で楽しむ。その録画がたまるのを楽しむ。

          月、火と初めてつぶやいたら、金曜まで毎日つぶやきたくなった。 表現したいことが140字で伝わるか試し、投稿後も(なんか違う)と幾度も正す。 本当に140字ある? 結局、伝わらぬ作品を残して実験は終了へ。 俳句は究極だ。作れないのでTV番組で楽しむ。その録画がたまるのを楽しむ。

          カウンターで一人ランチをしていたら、年配の女性が入ってきた。 「お隣、座ってよろしいかしら?」 「あ...はい」 気おくれがして一言で。 女性は「あぁ美味しいわ」。コーヒーで「ホッと一息ね」と独り言。 最後にコンパクトを出し、そっと口紅ぬり直す。 完全敗北したある日のこと。

          カウンターで一人ランチをしていたら、年配の女性が入ってきた。 「お隣、座ってよろしいかしら?」 「あ...はい」 気おくれがして一言で。 女性は「あぁ美味しいわ」。コーヒーで「ホッと一息ね」と独り言。 最後にコンパクトを出し、そっと口紅ぬり直す。 完全敗北したある日のこと。

          2月から週に一度、オランダ人と2人で会議。 今週はスウェーデン人が加わり、3人だった。 英語のリスニングなんて碌にできもしないのに。会議の日は、震え上がるほどの緊張感と共にくる。 あれ?2か月前よりもTVで英国人の話す英語が楽に耳に入ってくる… 努力よりも慣れ?歯がゆいな。

          2月から週に一度、オランダ人と2人で会議。 今週はスウェーデン人が加わり、3人だった。 英語のリスニングなんて碌にできもしないのに。会議の日は、震え上がるほどの緊張感と共にくる。 あれ?2か月前よりもTVで英国人の話す英語が楽に耳に入ってくる… 努力よりも慣れ?歯がゆいな。

          昨夏、ランチで食あたりして、駅で駅員さんが助けてくれた。 そして、季節はもう旅立ちの春。20人ほどの駅員さんが、新しい制服とマスクをつけて先輩の話に一心に耳を傾けていた。緊張のまじった、真剣な眼差しが宝物。 門出の君へ、心からの声援をおくらせて。 親ではなくても泣けるんだ。

          昨夏、ランチで食あたりして、駅で駅員さんが助けてくれた。 そして、季節はもう旅立ちの春。20人ほどの駅員さんが、新しい制服とマスクをつけて先輩の話に一心に耳を傾けていた。緊張のまじった、真剣な眼差しが宝物。 門出の君へ、心からの声援をおくらせて。 親ではなくても泣けるんだ。

          魅力的な言葉とは。 「俺んち、近くに酒屋はあるけど、スーパーはないんだよ」 通りがかりに人が、同僚に話していた。 よくある会話だ。 でも、それがもし、 「俺んち、近くに酒屋はあるけど、花屋はないんだよ」なら、どうだったろう? その人を、振り返って見てしまったにちがいない。

          魅力的な言葉とは。 「俺んち、近くに酒屋はあるけど、スーパーはないんだよ」 通りがかりに人が、同僚に話していた。 よくある会話だ。 でも、それがもし、 「俺んち、近くに酒屋はあるけど、花屋はないんだよ」なら、どうだったろう? その人を、振り返って見てしまったにちがいない。

          日光を旅する①−中禅寺金谷ホテル

          今回から5回にわたり、早春の日光への旅についてお伝えしてまいります。 車を使わずに中禅寺金谷ホテルと、日光金谷ホテルを泊まり歩く一人旅。 初回は、中禅寺金谷ホテルについてのお話です。 それはミズナラ林の中に建つ、中禅寺湖湖畔のホテル。 ログハウス風のあたたかみある建物ですが、むかし祖母と並んで「火曜サスペンス劇場」を楽しんでいた身からすると、なんとなくロケ現場にふさわしい気もする、雰囲気あるホテルです。 火サスの世界に、なんらかの思い入れや未練のある方、惹かれる方にと

          ¥180

          日光を旅する①−中禅寺金谷ホテル

          ¥180

          エッセイ|捨てなくていい

          あなたは、物を捨てることができるだろうか? デパートやお店の紙袋とか、郵便受けに入れられたクーポン付きのチラシとか。 プリンや、おせち料理に使われている小さなカップ。食べきったあとのジャムや蜂蜜のビン。 旅先でもらう見どころマップ、説明書。美術館の半券やら栞やら何やらを。 未使用の割り箸とか、古くなった歯ブラシなんかはどうだろう? (掃除に使えるかも)と思って、とっておいたりしないだろうか? きっと使わない物なのに、どういうわけか捨てにくい。そんな悩ましい物がある…

          エッセイ|捨てなくていい

          エッセイ|闘いの前夜

          絶対に失敗できない仕事というものがある。 というか、どんな仕事だって失敗はよくないのだけど、全プライドをかけて闘わねばならない時がある。 本心を言ってしまえば、勤めている会社を愛せない。いつ辞めようか、辞めてもいいやと思いながらやってきた。それでも辞めずにいるのは、平たく言えば一人でやっていく力がないから……である。 昨年の秋、外人社長に対して希望をひとつ願いでて、勢いのまま苦情を述べた。述べても、述べ足りないほどの苦情があった。 結局うまい具合にはぐらかされて、(それじ

          エッセイ|闘いの前夜