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短歌:つらら

軒先のつらら見つめる 木琴の響き出すコツ思い出せない/銀猫
のきさきのつららみつめる もっきんのひびきだすこつおもいだせない

 雪国の子どもたちは、軒先のつららには決して近寄ってはいけないと教育される(いつ屋根の雪が落ちてくるかわからないから)のですが、見事に並んだ軒先のつららは、子どもにとっては魅力的です。

 親や学校からいくら注意されていても、魅力的なつららがあると、屋根の雪をちらちら見ながらそろりそろりと接近して、棒で叩いてみたり、手が届けば一本折ってみたりしたものです。

 叩いてみると、木琴のような音が響くことがありました。あれは、つららの選び方だったのか叩き方だったのか、叩くときの棒の素材の問題だったのか。子どものときはちゃんと知っていたのですが、残念ながらわすれてしまいました。

 こういうことを覚えていると、大人になってから何の役にも立ちませんが、心は少し豊かに感じるのではないかと思います。

 忘れっぽい自分の脳が、返す返すも残念です。

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