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短歌:思い込み

すれ違う夜が耳打ちしてくれた受け取れてない気持ちの差分/銀猫
すれちがうよるがみみうちしてくれたうけとれてないきもちのさぶん

 若かった頃に当時の同僚と何気なく話していたことで、忘れられないものがあります。

 「どんなひとが好き?(恋愛対象)」という話題だったのですが、彼女は、

「自分を好きと言ってくれるひと」

と答えました。

 当時のわたしにはまったく理解できない感情(考え方)で、「じゃあ、好きと言ってくれるひとならどんなひとでもいいってこと?」というわたしの問いに対して、

「誰でもというのは語弊があるけれど、でも好きになってくれるひとは好きになれる。それが第一条件」

という答えも衝撃的でした。

 いまならわかります。いくら自分が前のめりに誰かを好きになっても、そのひとが自分を好きになってくれない限り、何も進展しません。
 恋愛は相手があってこそ成り立つものですから、独善的な考え方しかできないと、悩みごとは禅問答のようなものになってしまいそうです。

 この間、彼女が夢に出てきて(というか、彼女と過去に経験した出来事が再現されて)、この哲学的な会話を思い出しました。

 彼女、いまはどこで何をしているのかな。

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