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母短歌:やるせない雨宿り

夜半過ぎ雨音が連れてきた夢は濡れたままただ覗く窓、窓/銀猫
やはんすぎあまおとがつれてきたゆめはぬれたままただのぞくまど、まど

 初雪を迎えたというのになかなか雪が続かず、雨を迎える当地です。
 先日、眠ってから夜半に雨が降り始め、けっこうな雨音を立てていました。そのせいで、雨の夢を見ました。

 母は少し変わった人で、子どもの頃はそのおかしさに気付くことができませんでした。多くの子どもと同じようにひたすら母を頼っていたため(父はさらに仙人級の不思議な人でした)、今思うと奇妙な出来事にたくさん出会いました。

 母は感情のコントロールが苦手で、あの頃は表現がなかった「キレる」という行動をたびたび起こしました。そのため、母の機嫌を損ねてしまうと幼い身には恐ろしいことが起こりました。内側からは扉を開けられず明りも点けられない物置に閉じ込められた末に忘れられたり、暴風雨(ときには暴風雪)の天候下、外に出されたりしていました。

 ごうごうと降り頻る雨の中、玄関から締め出され、なす術もなく軒下から窓を覗き、家の中を見つめていたことを、夢で思い出しました。

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