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短歌:「気象通報」の思い出

呪いと思い聞いてた抑揚のない声が読む未知の入り口/銀猫
まじないとおもいきいてたよくようのないこえがよむみちのいりぐち

 いまでも、NHKの「気象通報」は毎日16:00からラジオ第二で放送されているようです。この時間帯に第二放送を聞くことはほぼないので、しばらく聞いたことはありません。

 「気象通報」の概要はこのようなもので、

こちらが実際の番組の音声です。


 子どもの頃、実家でよく聞いたんですよね、この番組、というか、お知らせって言えばいいのでしょうか。母が聞いていたんだろうかと思いますが、性格的にはまったく興味がなさそうなので、ちょっと不思議です。前の番組を聞いていたのかもしれません。
 いまは自動音声でやっているようですが、子どもの頃はアナウンサーが読んでいました。このYouTubeの音声は、既に自動音声に切り替わったあとのものです。

 記憶の中の「気象通報」は、抑揚がない淡々とした一本調子な読み方で、ひとかけらの感情も入っていない声で読まれていました。そのように読むようトレーニングされていたのだと思います。印象としては、第一線に出る前の若手のアナウンサーが、トレーニングを兼ねて読んでいたような感じでした。生放送で、決まった時間内で決まった分量を読むにはうってつけだと思います。

 いまなら何を伝えているのかわかりますが、子どもの頃はこの番組の重要性はまったく理解できませんでした。狭小で矮小な世界に生きていましたから。
 日本国内の地名すら馴染みがないものが多く(南大東島ってどこ? 御前崎ってどこ?という状態)、後半の海外地名に至っては、地名なのだろうくらいしかわかっていなかったと思います。ハバロフスクとかアモイとか。

 ただ、抑揚のない声をじっと聴いていると、どこか不思議なところへ浮遊していくような感覚に囚われていました。島へ旅してみたいという欲求のもとは、「気象通報」だったのかもしれません。実際は、沖縄本島と石垣島にしか行けていませんけれど。

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