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短歌:忘却力

きっとまた七月に記憶奪われるひと月先で待っているから/銀猫
きっとまたしちがつにきおくうばわれるひとつきさきでまっているから

 数年前に辞めた職場は、7月が超多忙でした。職場全体が、というよりも、わたしが担当していた仕事は、7月の絶対量が多かったのです。

 基本、この職場の仕事は好きだったので、忙しすぎてつらいということもありませんでしたが、とにかくとにかく、忙しかったのです。

 そこで、わたしという人間の防御本能は何をしたかというと、忘却です。秋頃から7月の記憶が曖昧になりはじめ、雪が降る頃には、ほぼ完全に忘却していました。それを何年も繰り返していました。
 ちなみに、仕事に関することだけではなく、プライベートについても漏れなくです。遊びに行ったことや食事に行った店など、キレイサッパリ抜け落ちました。

 このサイクルの3年目くらいにさすがにまずいと思い、7月のお仕事メモをめちゃくちゃ詳細に残すようになりました。

 当時は脳機能的にヤバい域にいるのではないかと思いましたが、MRIでも何も出ず(検査しに行った)、そして、仕事を辞めたら記憶の忘却も起きなくなりました。

 単純に、許容量オーバーの仕事量を忘却することでこなしていたのだと思います。

 ある意味、人間ってすごいと思った出来事です。

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