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食わず嫌いの本はありますか?

 最近読んでいた本は千田琢哉氏の「20代で身につけるべき『本当の教養』を教えよう」という本だ。
 この本の感想はまた後日記述するとして、この本の最後の方に、「人生を変えたいと思ったならば、学生時代食わず嫌いだった本を読め」と記載されていた。本嫌いだった著者がとある本と運命の本と出会い、それから貪るように本を読み始め、文筆家になるに至ったという実体験を元にした言葉のようだった。
 この話を見て驚いた。
 誰に言われるでもなく、自分で似たようなことをやっていたからだ。


苦手だったビジネス書


 私は昔からビジネス書や自己啓発の類には興味がなかった。特に自己啓発系の本に至っては嫌悪すら抱くレベルだった。こう言っては申し訳ないが、どこか胡散臭い、かつやたら上から目線、価値観を押し付けてくる、何が根拠か分からない……等々、とにかく何が面白いのか分からないと思って生きてきた。
 昔から我だけは強かったので、「なんで人に指図されなきゃならないんだ?」という気持ちも強くあった。一度だけ読んだ本が非常に相性が悪かったのだろう。何を読んだかは覚えていないが。流石に読んだ上での偏見だったと思う、読んでもいないのにこんなことを考えていたら我ながら恐ろしい。

「Audibleでならいいか」


 そして時は流れ流れてつい最近。あれだけ苦手だったはずのビジネス書や自己啓発本に手を出してみた。
 何がきっかけかと言えば、こちらはきちんと覚えている。Audibleを使い始めたことだ。
 目で読むからイライラするのであって、聞くだけだったらもしかしたらイライラしないのではないだろうか? という、楽観的発想で聞いてみることにしたのだ。
 結果、最初聞いた本は正直なところあまり面白くなかった。参考になることはたくさんあったのだが、それ以前に著者との相性が悪かったのだろう。やはり聞くのをやめようかとも思ったが、せっかくだから無料期間の間はと、色々梯子してみることにした。
 そうして出会ったのが、「めんどくさがりの自分を予定通りに動かす科学的方法(著:竹内康二、鰐ブックス)」だった。行動分析学を利用して「『後でやる』と言って結局やらない」自分から「すぐにやる」自分に変えていこうという主旨の本だった。
 こちらを聞いたときは、ためになるし非常に楽しく話を聞けた。恐らく著者と言葉のセンスが近かったのだろう。とにかく行動すること、行動を続けることを目的としているからか、説いている内容もやたら高圧的で難易度の高い抽象的な話ではなく、物腰もハードルも低い具体的な話が多かった。
 ああ、こんな本もあるのか。こういう本にまた出会えたらどんなにいいだろう。
 そうしてAudibleでビジネス書や自己啓発書を聞き始めた。聞いていて気になった本は買うようになったし、全く情報の無いところから書店で気になったものを手に取り購入し読んでみる、という行動を行うようになった。
 結果、人生が変わったかどうかは分からないが、私は今、前より人生が楽しい……、ような気がする。

いくつか読んでみて思ったこと


 正直、本によっては「偉そうだなあ」とか「矛盾してるなあ」とか思うことも無くはない。私の心が狭いだけだとは思う。それでもやはり、たまにイラッとすることはある。
 それでもそれ以上に学べることがある。自分の考え方や価値観に対して、「こういう見方も出来る」と、転回を教えてくれる。たまに現れる痛烈な皮肉は、大抵のことを笑い飛ばせるようにしてくれる。「こんな手法もあるよ」と懐疑的……、いや、面白い方法を提案しているから、とりあえずそれに乗ってみると、意外や意外、案外楽しくて続けてしまうこともある。
 とにかく、小説とは違った面白さがそこにはあった。
 そもそも、人の思想とはどれだけ整合性をとっても大なり小なり矛盾が生じるものだし、本で説くとなれば多少なりと上から目線が生じてしまうものである。恐らく、私の文章も読む人によっては高圧的に思うだろう。
 そういう他人の導き出した答えに対して、「これは流石に違うんじゃないか?」「同じことを考えている人が居た!」「言い過ぎだけれど、概ね見解は一致している」「新しい視点だ、面白い。取り入れてみよう」等々、ツッコミを入れたり生活に取り入れてみたり、試行錯誤を重ねることが面白いのだ、ということにようやく気付いた。
 今はまだ苦手な気持ちが優勢だが、そのうち苦手意識も無くなるだろう。余程酷い本に出会わない限りは。

次は何を読んでみるか


 一つのジャンルの食わず嫌いは克服の兆しが見えてきた。
 となればやはり、別のジャンルにも手を出してみたくなるのが私である。
 次は一体どんな本を読んでみようか。今まで敬遠してきたジャンルと言えば、私の場合美術系や宗教系だ。特に後者は毛嫌いしているレベルだった。神話は好きだが、宗教はむしろ苦手だった。
 そんな私だが、先日キリスト教についての本を購入した。他に読みたい本が出来てしまったので、読み始めるのはまだ先のことになるだろう。
 この本は果たして、食わず嫌いを克服させてくれる運命の書になってくれるだろうか。あまり期待をかけては本が可哀想だから程々にしておくが、きっといい出会いだったと思わせてくれる本だと、私は確信している。どんな世界を見せてくれるのか、今から楽しみだ。


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