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譲られる心理

一つしかないケーキを人に譲る

話したそうにしている人に話題を譲る

閉まるドアをおさえ、脇に外れて道を譲る

これまでも「譲る」「譲られる」という行為をしてきたものの、意識するようになったのはやっぱり自分自身が妊婦になったということが大きいでしょう。

妊娠していると言われ、病院で「マタニティマーク」をもらって以来、カバンにちょこんと付けています。

ただ席を譲られたいからという理由ではなく、気兼ねなく優先席に座っていられるように、(世間でいうところの、最近の若者は!言われるような年齢ではないのだけど…)また、飲食店などで禁煙席やカフェインレスのお願いをする際にも、妊娠しているからとあえて口にしなくても、気付いてもらえたらいいな程度で身に付けています。

それでも、優先席で悠々とスマホゲームに熱中していたり、周りも気にせず一心不乱に化粧をしていたり、果てまた しめしめと言わんばかりにエロ本をめくっている人を見かけては、変わってくれないかなぁと感じることもあります。

座っている人の中には、こちらをチラリと見ては、何食わぬ顔でまたスマホに目を向ける人もいますが、大半の人は自分が座る場所を確保したらもう安心!降りるまで微動だにしませんね。

そんな電車内の日常をぼんやりと眺めていることが多くなりました。

もちろん一人ひとり運賃を払っているのだから、誰にでも座る権利があり、中には内部障害を抱えている方、一時的に体調のすぐれない方もいるでしょう。だから一概に、若い人はとか、男の人は…なんて言えませんよね。


妊娠していることを人に話すようになってから 日本人に限らず、知り合いの男性から、身内が妊娠して初めて「マタニティマーク」というものを知った、奥さんが妊娠してやっとその大変さに気付いた、若いカップルがわざわざ自分にも席を譲ってくれた、そんな話を聞かせてくれるようになりました。

つい先日も、近くに座っていた 60〜70歳くらいのおばあさんが突然立ち上がり、私に「気付かなくてごめんなさいね、身体を大切にしないといけないからどうぞ座って!」と席を譲ろうとしてくれました。
若い方なら素直に甘えさせてもらいますが、さすがにおばあさんからは…と思い遠慮し続けていたら、分が悪いと思ったのか、隣に座っていた若い男性がそそくさと席を離れていきました。

二人で優先席に腰かけ、他愛のない話もしましたが、そのおばあさんが何気なく言った言葉にハッとしました。

「自分の娘が妊娠中に席を譲ってもらってすごく助かった!と言っていたから、私も妊婦さんに譲らなきゃと思って」

電車やバスの車内、駅構内などいたるところに「席を譲りましょう」という広告が貼られてはいるものの、譲られたときの「嬉しさ」や「ありがたさ」といった気持ちを知っている人はどれくらいいるでしょうか?

誰に言われたからではなく、自らの親切心で行動できる方ももちろんいますが、少しでも多くの方にこのような気持ちを感じてもらうことができれば、電車内のことだけでなく、暮らしやすい社会になるんじゃないのかななんて思いました。


#日記 #エッセイ  #妊娠 #妊婦 #マタニティ

イチ日本語教師として、日本人と外国人とが笑顔で共生できる社会になるように noteやYouTubeを通して活動しています!