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【読書の時間】対話で生まれる共存とは?

題名:菌の声を聴け
著者:渡邉格・麻里子

タルマーリーというお店を営んでいるご夫婦の話。
千葉県でのパン屋さんから始まり、今は鳥取県智頭町で、パン、ビール、カフェの3つの事業を柱に展開している。野生の菌だけで発酵させるという特徴的なお店と著者のクレイジーで豊かな物語である。

▶︎感想

もう少しこの世界に浸っていたい。
それほど面白く、あっという間に読み終えた。

なぜ面白かったのかと考えてみると、
自分自身が発酵食が好きで、菌に興味があるというのはもちろんだが、
野生の菌を相手に実験と失敗を繰り返しながら進んでいく姿に惹かれたのだと思う。

以前に著者の1冊目の本
『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』を読んだ。


その後に実際にタルマーリーに行ってみた。

そして、2冊目の本著。
この流れが私にとって面白さを増してくれた。

この本を読んだ後にまた行きたいと思った。
なぜなら、自分が行って見て感じたことはほんの一部だったから。
読んでなかったらわからない魅力がたくさんある。
次訪れる時はまた違った視点で感じることができる。

効率の悪さを感じるが、
でもこの循環もいいなとも感じた。

この本のキーワードは、

”対話”

誰との対話かというと、菌や小麦などのパンの源泉たち。

菌との対話を通じて多様性を認めて受け入れて、うまく付き合っていく。
まるで、人間社会の様だ。

”早い、安い、美味い”だけを追求して誰かが置いてきぼりになる社会ではなく、弱くても生きている菌を救う。
そんなパン、ビール作りをしている。

例えば、
ビール作りにおいて、乳酸菌は味や風味を落とすので悪とされている。
でも今まで天然菌と共に生きてきた著者にとって乳酸菌を悪者扱いにしたくない。
何か活かせないかと開発したのが、酸っぱいビール、サワービールである。

菌の声を聞いて対話し続けた結果生まれたものだ。

菌と人間の共存、多様性を実現した物語。

これを読んでいると人間社会での多様性だけでなく、生物としての多様性ってなんだろと考えさせられる。

▶︎印象に残った一節

野生の菌たちは、曖昧なものを曖昧なままにしておくのが、常に変化していく人間らしい文化だと教えてくれた。

ネガティブケイパビリティにも通ずる概念。曖昧だからこそ変化があり、ブレるからこそ成長できるのだろう。


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