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田沢湖-八幡平 324km

こんにちは
自転車が大好きなsilicate meltと申します。

 秋田県周辺にはいろいろな観光スポットがありますが、GWに行くとしたら是非オススメしたいのが「八幡平アスピーテライン」です。
毎年4月中旬に開通して、GWシーズンには下の写真のような「雪の回廊」が楽しめるのです。
 ワタクシも家族と住んでいた頃は、車で何度もドライブに行きました。

八幡平アスピーテラインの雪の回廊
(写真は岩手県観光協会のサイトから)

 雪はすぐに溶けてしまうので、迫力ある雪の回廊を楽しめるのはごく短期間です。本当はGW中がベストなのですが、ワタクシ、GWのような長期休暇中は単身赴任先から家族の住む自宅に帰りますので、基本的に自転車には乗れません。
そこで、一週間遅れの5月11日(土)に走りに行ってきました。
このnoteではその様子をリポートしたいと思います。


1.事前準備

今回走るのは秋田→角館→田沢湖→八幡平→西根→角館→秋田の324km
上図のようなコースです。

大きな峠は三つ
973mの仙北/鹿角境界ピーク、1574mの八幡平、578mの仙岩トンネル
獲得標高は3734m

乗るのはメインバイクのLOOK595
心配なのはギヤ比
インナーローが39x25T
ドライブトレインは2006年モデルのRECORD
自分がこれを買った時はこれくらいが普通でした。
年齢的にも30代半ばで、2000m級の渋峠などもこれでスイスイ登っていたのですが、いまの自分の脚力ではこんなギヤ比でヒルクライムをしたら、苦労することが目に見えています。

アルテグラを装着しているLOOK565なら36x25Tだから、もう少しラクなのかもしれない。
でも、今日は595に乗りたい気分なのだ!

本日の目標は3つ
(1) アスピーテラインを(ゆっくりペースでも良いので)走破すること
(2) 第3ピークの仙岩トンネルをしっかりと登ること
(3) できれば21時間以内、遅くとも24時間以内に走りきること
です。

補給食にはひとくちサイズのドーナツとバームクーヘン、バナナを用意



2.秋田→田沢湖


2024年5月11日(土) 5時20分 自宅を出発

角館までのショートカットルート、秋田中央広域農道を走ります。
気温は7℃
サイクルウエアの上にワークマンのジャケット、膝丈のビブショーツの上からアディダスのトラックパンツを履く真冬スタイルで出発です。

この道路は約20kmに渡って熊出没地帯
ここを通勤、通学に使っている人達の話によると「しょっちゅう見かけるから、もう慣れてしまった」とのこと。


角館通過:7時41分,50km地点

 ローソン西木西明寺店到着:8時11分,57km地点
出発前に朝食はとったので、朝食ではありません。
ヒルクライム前の腹ごしらえです。
ここから110km先までコンビニが無いので、昼飯用のナポリタンも買いました。
15分ほど休憩してから出発

国道105号線を右折して田沢湖に向かいます。

田沢湖のシンボル、たつこ像
後ろに見えるのは秋田駒ヶ岳

田沢湖到着:9時7分,71km地点
田沢湖は深さ423mの日本でもっとも深い湖です。
湖面標高は249mなので、湖底は海面より174mも深いことになります。

たつこ像の近くで腰掛けてバームクーヘンを食べていると、ロードバイクに乗ったサイクリストがやってきました。
声をかけて、お話をさせていただく。
東京の大田区から来て、一昨日鳥海山に登り、昨日は秋田に住む親戚の家に滞在し、今日はこれから田沢湖を一周するとのことでした。

普段は多摩サイくらいしか走る場所がなく、人や他の自転車がとても多いためにスピードが出せず、まったく楽しめないので、飛行機輪行をしていろいろな場所を走っているとのこと。

「秋田には他のサイクリストが全然いませんね」と驚いていた。
私が
「今日は秋田市から70kmほど走ってきて、出会ったのは貴殿が初めてです。先月に青森を350kmほど走ったときは、すれ違ったサイクリストは3人でした。」
と話すと、「100kmに1人ですね」と笑い合った。

私は出身地の神奈川を離れてから、今年で18年目になる。
その後、スポーツサイクルブームがあり、都会ではサイクリストが相当増えたらしい。
ブーム以前に、整備されたばかりの境川サイクリングロードをたびたび走ったけど、確かにランニングや犬の散歩などをしている人が多い上に、狭いサイクリングロード上で自転車同士が対面通行になるから、とても危険を感じたものだった。
結局、並走する国道467号の方が安全に感じて、そちらに戻ったことを思い出した。

秋田は人口密度が少ないだけでなく、私自身、SNSやStravaなどはしておらず、行きつけのショップもない。
他のサイクリストと交流することが滅多に無いので、こうしてお話をさせていただくのは、とても楽しい。

東京からのサイクリスト氏と15分ほど談笑した後、再出発しました。

田沢湖を半周して国道341号線に向かいます。


3.田沢湖→八幡平→西根


国道341号線に入ってすぐ、電光掲示板に
有毒ガス発生
叫沢駐停車禁止

の警告あり。

このあたりからヒルクライムに入るので、ハンドルの角度を平地ポジションからヒルクライムポジションにします。

平地ポジションはブラケットをにぎりやすい上向き
しかし、このままではブラケットが近すぎてダンシングがしにくいのと、ダウンヒル時に下ハンでのブレーキレバーが遠くなってしまうので、ハンドルの角度をやや下向きにします。
(ずっと困っていたのですが、最近、ハンドルの角度を変えれば解決するこれに気がつきました)

90年代末〜のカーボン化したばかりの頃のRECORDのブレーキレバーは、歴代カンパのブレーキデザインの中で最も好きなのだけれども、実用的にはアルテグラのレバーの方がいいですね。
アルテグラはカンパよりもレバーが1cm長く、ブラケット部の設計が優れていて、上のような工夫をしなくても、上ハン、下ハン、どちらでも使いやすく感じます。


秋扇湖岸をすこしずつ登ります。
車も少なく快適です。


このあたりからGarminのClimbProが発動しました。
ギヤはすでにインナーローに入っています。
休み休み登っていきます。


途中に水場が何ヶ所かあるので、水の補給には困りませんでした。


トンネル状のスノーシェッドも数カ所にあります。

 熊による被害が多いので、秋田県内の山林は全域で入林禁止になっています。
この立て札のすぐ近くの草むらからガサガサ音がしたので、「熊かっ!」と思って注意したのですが、山菜とりの人でした。
山菜とりはこの時期の秋田の風物詩なので、熊など気にすること無く、多くの人々が普通に山に入っていきます。


火山ガスが発生している叫沢の近くにやってきました。
「自動車・バイクは駐車・停車禁止」の警告

自転車はどうすればいいのだろう? と思っていたところ、
止まらずに通過」とのこと
とりあえず激坂区間でなくて、よかったです。
走行中に硫化水素の匂いがしました。

ちなみに私は以前、叫沢に入ったことがあります。
ここの火山ガスの話は昔からあったけど、風がないときにガスがたまりやすいだけで、常時危険なわけではないという話でした。

以前は、こんな警告はなかったんだけどなぁ…  と思って帰宅してからネットで調べたところ、最近高濃度の硫化水素が検出されたために、注意喚起するようになったようです(下記の記事)。

秋田さきがけ新報 2022年8月22日の記事より


仙北/鹿角境界ピーク通過:13時13分,125km地点、標高973m
ここは地形的には峠なのですが、峠の名称は無いようです。


峠付近の分水嶺はなだらかな湿地帯になっていました。


北緯40度地点交差点到着:13時47分,135km地点
一旦ダウンヒルをして標高620mまで降りて来ました。
アスピーテラインはここから始まります。

北緯40度のモニュメント
周囲はちょっとした公園のようになっており、ここで昼食のナポリタンを食べました。

20分ほど休憩をしてから出発


いよいよアスピーテラインに入ります。
平均勾配は9%

大沼に到着
向かいのビジターセンターに自販機があるのですが、全部売り切れでした。

もう足がなく、傾斜が9%を超えると7km/hくらいになってしまいます。
これ以上踏めません。
たまに現れる5%くらいの緩傾斜が天国に感じます。

休み休み7km/hで登るのと、4km/hで押して歩くのとでは、移動速度が変わらない上に、歩いた方がずっと楽なので、9%を超える坂では、押し歩きをすることにしました。
(ヒルクライムで押し歩きするのは、中学生の時以来だ(泣))



「雪の回廊」的なものが見えて来ました。


標高1500mを超えたあたり
素晴らしい景色です。


八幡平到着:17時00分,151km地点、標高1574m
やっと到着しました。
正面に岩手山が見えています。


ここは、このnoteのトップに掲載したのと同じ場所です。
この冬は雪が少なかったことと、既に気温が上がってしまったせいか、「雪の回廊」はだいぶ小さくなっていました。


雪の多いところで5mくらいの厚さです。



10分ほど休憩をしてからダウンヒルを開始しました。
アスピーテラインは夜間通行禁止で17時にゲートが閉鎖されたので、車は走って来ません。
道の真ん中を使って、快適なダウンヒルを楽しみます。


岩手山とLOOK595
この写真が撮りたかった(笑)
岩手山は学生時代に何度も登りました。


写真を撮ったり、景色を眺めたりしながら、50分ほどかけて麓に降りて来ました。
ヒルクライムは苦手だけど、ダウンヒルなら得意です(笑)
最高速度は63km/hでした。


西根の瀬川輪店
(店舗は私の学生時代の頃とは建て替わっていました)

西根の街中で思い出の場所に寄りました。
大更駅近くにある瀬川輪店です。

学生時代に岩手山を登山したのち登山口に戻ったところ、乗っていたスクーターのエンジンがかかりません。
登山口は高いところにあるので、そこから空走して10km先にあるこのバイク屋まで偶然たどり着きました(ネットもスマホも無い時代です)。
見てもらったところキャブレターの詰まりが原因とのことで修理をしてもらいました。

スクーターは友達からタダで貰った年代モノの中古車(その友達も先輩から譲り受けたらしい)で、いよいよ廃車かと思ったのですが、再び乗れるようになり、とてもホッとしたことを覚えています。


すきや282号八幡平店到着:18時39分,183km地点
本日の晩飯です。


4.西根→盛岡→角館→秋田


ここから先はナイトランとなります。
ヘッドライトとテールライトを点灯し、リュックに反射ベストを被せて背負います。


盛岡通過:20時07分,207km地点

道の駅雫石あねっこ到着:22時03分,229km地点

ここから仙岩トンネルへのヒルクライムとなります。
道の駅付近でGarminのClimbProが発動します。
ただ、疲れが溜まっていて、このままでは登れそうに無い感じがしたので、道の駅で休憩をすることにしました。
畳コーナーで横になり、1時間ほど仮眠をとりました。


ヒルクライムを開始します。
平均勾配は6%
これくらいなら39x25Tでも問題ありません。

仙岩トンネル到着:23時57分,239km地点、標高578m
今回は過去2回よりも快調なペースで登ることができました。
道の駅で仮眠をとったのが良かったようです。


深夜の国道46号線を走ります。
空には満天の星(自分のデジカメでは撮れないのが残念)


雲沢観光ドライブイン到着:1時36分,274km地点

食べ物系はカツ丼、ラーメン、うどん、カップラーメンがあります。
何にしようかなぁ

今日はうどん(350円)とカツ丼(400円)にしました。
カツ丼は少しだけ食べて、家に持ち帰るつもりだったのだが、結局全部食べてしまいました(笑)

最近はイートインスペースを設けるコンビニも増えて便利になりましたが、イートインスペースは夜間は閉鎖されます。
そんななか、24時間営業のオートスナックは有り難いですね。
昭和〜平成初期の頃までは国道沿いにたくさんあり、ロングライドのオアシス的存在でしたが、コンビニの普及でめっきり見かけなくなりました。
ここはいつまでも残して欲しい。


協和交差点通過:3時16分,297km地点

東の空が明るくなってきました。

4時52分自宅到着
走行距離 324km
所要時間 23時間37分,走行時間16時間42分
グロス平均速度 13.7km/h,ネット平均速度 19.4km/h

もう朝です。
なんとか24時間以内に帰ってこれました。


4.まとめ

  • 久々の本格的ヒルクライムで景色も素晴らしいルートでした。ただ、自分の脚力ではまったく太刀打ちできなかったのが残念。

  •  そろそろギヤ比を変えないとダメなことを実感した。当時のカタログで調べたら2006 RECORDでも29Tのスプロケ、ロングゲージのリヤメカ、50x36Tのコンパクトクランクがあったらしい。でも、ほとんど売れていないだろうから、中古で手に入れるのは難しいだろうなぁ。

  • 仙岩トンネルへのヒルクライムは比較的楽に登れるようになった。昨年と比べて、少しずつヒルクライム耐性が付いて来てはいるようだ。

  • 今回のライドですれ違ったサイクリストは、田沢湖での方も含めて合計3名でした。やはり100kmにつき1名くらいになるらしい(笑)

(終わり)


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