YELLOW ⑨
「 ねえ・・・
もう 起きてる? 」
ん?
消え入るような・・・
かすかで
ほとんど聞き取ることもできない・・・
誰の声だろう?
声のする方へ 目を向けると、
その視線の先には
一人の女性がいた。
僕の方へ
背中を向けて横になりながら、
彼女は
その小さな肩を
わずかに震わせていた。
布団から むき出しになった、
その裸の小さな肩。
真っ白で、 何の汚れもなくいたいけで、
まるで少女を思わせるような
その未熟で小さな肩。
僕は 力を入れて手を伸ばし、
その肩に触れようとした。
あと少し、
あともう少し・・・
「 ねえ・・・聞いてくれる?
ねえ・・・ 」
カーテンから漏れていた光が
白色から 鮮やかな黄色へと
徐々に移り変わっていく。
涙でかすんだ僕の視界も、
それにつれて
少しずつ開けていく。
いよいよ
新しい太陽が
東の空に 顔を見せ始める。
・・・ララ?
そのことに思い当たったとたんに、
僕は目が覚めた。
〈 完 〉
マンリョウの丘を訪れてくださり、 本当にありがとうございます。 私たち一人ひとりの、心の中の草原が、 やさしい風によって、 結びつき、つながってゆくことを、 心から願っています。