カムチャッカ半島のクマを撮るその2〜現地到着〜
去年の夏に訪れたカムチャッカ半島の撮影日記だ。 その2なのでまだ1を見ていない人はそちらを先にご覧下さい。
無事カムチャッカ半島に降りたち、空港を後にする。
空港ではそこら中にクマの絵が描かれて、ここがそういう大地なのだと実感する。
カムチャッカの街の外れまでは迎えを頼んでいたので、宿泊地まで送ってもらいそこでヘリが来るまで2日ほど待機だ。
宿泊といってもただキャンプ場なので、他に何もやることはなく、ただひたすら本を読んだり散歩をしたり時間を潰して、ヘリが来る事を祈る。
そしてカムチャッカ半島のグリズリーの生息地である、クリル湖へ向かう日。
予定していた時間よりも4時間ほど遅れて迎えが来た。
戦車みたいな大型バスで悪路を2〜3時間ほど突き進んでいたが、途中エンジントラブルに見舞われて、1時間ほど立ち往生。
しかしそこは流石のロシア人。全く問題ないと言わんばかりに、コーヒーを差し出してきて、まさかのコーヒーブレイク。
ボンネットを開けて修理していたはずの運転手のロシア人までもがコーヒーを飲みに来る。いや、お前は早く直せよって内心思った。
でもこの全く電波もない果ての地に、今僕達しかいないのだからこれもいい経験かとしばらく時間を潰す。
そのあと無事にヘリポート(ただの空き地)までたどり着き、そこでヘリが来るまでまた数時間待つ。
岩に座りウトウトとしていると、遠くからヘリの音が聞こえ、ようやく僕らの目の前へとヘリが降り立つ。
かなりの大型ヘリで元々は軍が使っていたものだ。整備は全くされておらず、至る所穴だらけでもちろんシートベルトなどない。実は私が乗るヘリは1週間前に墜落して、予備の機体がこのヘリなのだ。
日本であれば墜落したら大問題だが、ロシアではよくあることだそうだ。ちなみに1週間前に墜落した機体には16人が乗っており7人が死亡している。
このなんとも頼りないヘリで揺られること2時間。本当に吐きそうになるくらいの揺れだった。
そして日本を出てから約3日半。ようやく現地に辿り着く。
ヘリ上空からでもクマが見えるくらいクマの密度が高く、この湖畔だけで約1000頭以上もグリズリーがいる。そこら中に熊のフンや鮭の死骸が転がっており、匂いは最悪だ。
まさに動物園の檻の中のあの匂い。それが全てを覆い尽くしている。
ここはベアスプレーなどで対処出来るような土地ではなく、「ライフル」が必ず必要になっているのだが、当然日本人はそんなものは持ち込めない。 そのため1週間撮影中はずっとレンジャーの方に同行をお願いした。
ちなみに彼女から10メートル以上離れると死ぬから「絶対離れるな」と強く言われたが、当然こんな地で1人で出歩こうとは思わない。
1分に1頭、もしくはそれ以上の間隔でグリズリーと至近距離で出会うのだから。
撮影の様子はその3に続きを書きます。
その3 https://note.com/siknu/n/n730e171308aa?magazine_key=mb97264df31dd
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