久々に林業のお話。釧路の日本製紙撤退について。
エフゲニーマエダ氏が元林業マンだったんですけど、林業と切っても切れない関係なのが『製紙産業』。
林業会社といっても木材の売り先は実に様々。
事業の大小でいろいろあるのですが、なかでも林業会社で木材を作り出すとき用途を『用材』か『パルプ・チップ材』に分けていたりします。
「余すところなく」という木材資源活用の最適化の結果なのですが、角材にできる立派な丸太は用材へ。
まっすぐな柱/角材などが切り出せない丸太は細かく砕かれチップ状にされ、製紙工場の窯の燃料にされます。
釧路の王子製紙は石炭っぽい。
苫小牧市の王子製紙(北海道でも特にデッカイところ)はしっかり貯木場と木質チップの山の広大な敷地がある。
で、今回話題に持っていく日本製紙の釧路工場。
工場そばに立派なチップ貯留場がありますね!
チラッと見えるのですが、細かな所管はニチモク林産!日本製紙のグループ会社ですね。
もっぱらの役目は工場に木質燃料を山から供給することでしょう。
なので反面、日本製紙の撤退はニチモク林産に関わる木材経済圏にも大きく影響するはずです。
なんだって、この山のようなチップ材の需要・行き場がひとつまるまんまなくなってしまうワケですから。。。
調べると、どうやら共倒れというワケではなく、木質バイオマス発電事業に転換するようです!
市の内外にソーラーパネルが大繁殖している昨今ですが、木質発電事業続くといいですね!
(大規模ソーラーを持つ民間売電業者との競り合いになりそうですが…)
で、話戻して
林業にとって製紙会社ってのはかなりの物量木材を納められる割の良い取引相手なんですね。
住宅建材並みの物量を買い取ってくれるし、さらに時間的コストがかかる建材用丸太のような質の良さを問われないメリットがあります。
言い方汚いですが、「とりあえず広葉樹切ったらチップ材で売れる」という感覚です。
なので取引先として製紙会社を掴めると、ある程度の売上が確保できる経営ルートだったりします。多分そこまで売上あげられるなら従業員2,30人レベルの中規模な林業会社にすることも可能だと思います。
けど、どの記事でも目にするのは日本製紙だけでなく、製紙産業自体の低迷問題。
本や活字離れ、脱Co2、IT化が進むことによって紙の需要が減り、釧路工場の事業撤退はその影響を受けてのことだそうです。
王子製紙と並ぶ日本製紙グループが経営再編の波を受けていることになかなか大きい影響を受けているものかと思います。
日本製紙だけの問題ではなく業界構造自体の問題なので、製紙産業の燃料源となっている林業業界も影響を受けることはおおよそ予想がつきますね。
大きな取引先・売上が減るということですから、さらに斜陽化が進むといっても過言ではなさそうです。
白い紙はダメでも日本の伝統的な和紙生産があるじゃん!
日本伝統の『和紙』は原料が特定の樹種の内樹皮の繊維になります。
コウゾ(クワ科低木)、ミツマタ(ジンチョウゲ科低木)、ガンピ(ジンチョウゲ科低木)の内樹皮繊維をトロロアオイの根っこ成分を溶かした水溶液"ねり"で解きほぐし、乾燥させて製造されます。
なので需要・生産量ともに林業の肩棒をもつほどの売上は作れない感じ。。。
うーむ、前から懸念はされていたでしょうが、林業と製紙産業ともに厳しい状況になりそうですな。。。
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