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Photo by
atsushikubo
一年前のアノ子
アノ子はいつも、笑っていた。
学校が異なっていた。僕たちは、集合場所は渋谷駅銀座線の黄色い柱付近の柵。
服装が奇抜なアノ子だったので、下車した場所からでもわかる。
笑顔が下手なアノ子は、口で笑う笑い方をしていた。
わざわざアノ子の最寄り駅から3つも離れている、降りたこともない駅で、
「ここで降りよ」と突拍子もないことを言ってくるアノ子がとてつもなく好きだった。
あの駅から時間かけて歩いた、道。
もうどこを歩いていたのかなんて覚えてもいない。
イヤホンを片耳ずつ装着して、駅でよくいるカップルみたいに、「手と手」を聴いた。
そんな何気ない日常に君が存在していたという事が、ものすごく生きていると実感出来ていたし、彼女がいてから、上を向くことが多くなった。
今、アノ子とどこに行きたいか、と問われたら、アノ子の家の前のセブンイレブンに行きたい。
下北沢から明大前まで歩いたことも、裏原で見つけた、パスタ風のうどんも、アノ子がいなかったら、不意に思い出すこともなかっただろう。
アノ子は壮大だ。
もう一度会ったら、言いたい。
「あのモバイルバッテリーまだ使ってる?」
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