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10年目の感涙

「だってさぁー弱いじゃん」
幼少期当時の自分は簡単だ
ヴィッセル神戸のサッカー第一印象はこれだった
強いものが見たい。子供らしい真っ当な言葉でもある

友人はよくヴィッセルの試合を観にユニバー記念競技場に足を運んでいたが、よくこのセリフを言っていたのを覚えている

ただヴィッセルはサッカーゲームで使用したり、地元の新聞であった為、内容や成績はよく見ていた
いぶきにも数回行っており、クラブの成績も重なりひしひしとした緊張感あった頃の練習の日。ミスター神戸永島昭浩が笑顔で駆け寄ってくれて頭を撫でてもらった手の感触、温もりはとても覚えている

それでも色々なスポーツをしていた私はよく、イチロー!イチロー!と野球場に足を運んでいた頃だ

そこから何年が経っただろうか
ヴィッセルのサッカーをしているユニバー記念競技場に初めて足を運んだのは2013年9月のことである
相手は徳島ヴォルティス

2013,9.22 神戸vs徳島


試合が始まる30分前だろうか、自由席は少しづつ埋まりつつあり、徳島に近いバックスタンドに着席をした
試合がはじまり、のちの神戸に所属するドウグラスにPKを決められるなど立て続けに2失点をくらう
その失点の後だった
ポポのサイドからの放たれる豪快シュートを見た
衝撃だった
後半は小川慶治朗、マジーニョのFKのゴール(判定はオウンゴール)で逆転し、徳島の攻撃の耐えて3-2で神戸が勝利を収めた

神戸ゴール裏の応援の声
徳島サポーター応援の独特の鐘の音
ポポの豪快なゴール
テレビの中とは違う。日本代表の中継とは違う
とても印象的だった

「あんな豪快なゴールが観れるのか。現地の応援の声ってあのように聞こえるのか。また行きたい」

少し何か心が動いた

1ヶ月ほどだろうか、足を運んだのはノエビアスタジアムだった
10月20日のことである

2013年10月20日 神戸vs松本山雅


相手は松本山雅
この日はNHK神戸でも放送はしているが現地に赴いていた
ノエスタはユニバーと違いとてもピッチと近く感じた
そして、私は幸運にもとても珍しい試合を観ている
なんと神戸は7得点を取り、勝利したのだ
スタンドはお祭り騒ぎだ
それはそうだろう、大量得点を観れるのは限られる
得点者は全得点違う選手で、河本のオーバーヘッドゴールまでも見れた
私はとてもついている

「やっぱりピッチで織りなす選手たちのサッカーは、そして声援・歓声の生の迫力は凄い」

心の小さな動きは大きく変化した

スタジアムから地下鉄へ帰る途中だろうか
「これはまた観に行きたい。声援を送りたい。」

心の動きは確信に変わった瞬間だった

ここから私はノエスタやユニバーに通うことになる
サポーターでは通勤通学となるだろうか


もう一つの幸運はノエスタに足を運び数年が経った日のことだった

私が「だってさぁー弱いじゃん」と話していた幼少期。その友人と十数年ぶりに逢えたことだった

友人とは毎日通学し、放課後なれば公園で遊びをしていた仲だ
ただ、卒業前に引っ越しをしてしまい卒業アルバムにも彼の姿は載っていない
当時は携帯電話も年齢的にもそこまで持つまで普及はしておらず連絡の取りようがなかった
唯一のやり取りは年賀状ぐらいだろうか

その彼もサッカー観戦はしていたようで、久しぶりに帰神しノエスタに赴いたとき、私のことを思い出したようだ
そしてSNSで私がサッカーを観戦していることを知り、十数年のメッセージを通じてノエスタでまた再び出逢えることとなった
SNSの模範的な素晴らしい使い方であり、SNSのメリットだ
十数年のときが経ち大人になったにもかかわらず、すぐに相手が分かる変わらない姿には、まるで幼少期に戻ったような不思議な感覚であった
サッカーは我々を子供の姿に戻してくれたのだ
そして現在に至っても交流は続いている

私は幸いなことに、神戸のJ2降格を見たことがない。J2降格時からJ1へかけ登るところからスタートしている
そして、世界的スタープレイヤーを近くで何回も観れたことにもサポーター冥利に尽きるだろう
クラブがJ2への降格危機や大きなプランが崩れ落ちるギリギリもあった
ただ、今年Jリーグ優勝を現地ホームで見て感涙したこと
私のサポーター10年間の物語としては上出来だろうと思う

感涙できるまで心を惹かれたクラブに祝福を

優勝まで見せてくれた選手たちにありがとうを

級友とまた糸を繋ぎ合わせくれたサッカーに感謝を

あまり堅苦しく締めたくないのでこの言葉で締めたいと思う

「沼にハマるとお金がかかるぞ!」


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