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私が献血に行く理由



暇な時何してる?


私はその質問に「たまに献血に行ったする」と答える時がある。

それ聞くと大体、まず驚かれる。
そういう「人のために」みたいな行動に対して
一瞬、少し冷えた視線を向けられ
その後すぐに「へーいいね」とか言われる。
「それはいい事だね」と視線が元に戻る。


確かに、私は人生で「いいこと」をたくさんしたい。
でも献血に行く理由は「いいこと」をするためでは無い。

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私が献血に行く理由、それは

「何もしてない罪悪感」を
「何もせずに払拭できる」からである。


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仕事のない土日は、
ただダラダラしている事に何故か罪悪感を感じることがよくある。

「せっかくの休みなのに」
「他の人は遊んでいるのに」
「活動してる人がいるのに」

特に予定も趣味もない私は
昼に起きてご飯食べてテレビ見てぼーっとしている。することが無い。

それはそれで楽だが、
たまに「何かしなきゃ」感が強く湧いてくる時がある。強い罪悪感を得る。

でも何もしたくない。疲れるし。


そんな時に献血に行く。



無料のジュースを飲んで、雑誌を見て
横になって、血が取られるだけ。

自分は特に何もしていないのに、
「人のためになっている」ことができる。
「何かをしている」ことができる。

私はそれによって罪悪感を緩和でき、
血液はいずれ誰かの為になる。

こんなにもwin-winな事が他にあるだろうか。
これは究極の暇つぶしのようなものだ。
必然的に人のためになる暇つぶしだ。


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献血センターに行くと、不思議な光景を目にする。


周りを見るとおじさんばかりなのだ。
8割くらいが、40-50代のおじさん達に埋めつくされている。
男の銭湯の脱衣所ってこんな感じなのかな?
と思うほど、おじさんが多い。

なぜ、おじさんが多いのか。

これは、つまり
世の中の休日暇なお父さん達も
私と同じ考えなのではないだろうか。

仕事は休みで
予定はなく、暇で、お金がかからずに
何もしてない罪悪感を解消できる場所。

完全に合致している。

尚且つ、献血後に血液の検査結果を無料で見ることができるから、おじさんにとってはもっと良いだろう。

なんという、都合のよすぎる暇つぶしだろうか。
人のためにもなり、自分のためにもなる、
おじさん達はそれに気づいてここにいるのだろう。実にすばらしい。


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献血に来る8割がおじさんという事実。

それは、
世の中のおじさん達が日本の人々を救っていることになる。
私たちはおじさん達によって守られているのだ。


だからだろうか、
献血ルームは居心地が悪くない。


この場所には「暇な良いおじさん」しか居ないのだ。
警戒することなく嫌悪感もとても少ない。
いい場所である。


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献血ルーム
それは究極の場所だった。
私はまた暇になったら献血に行く。


そして心の中でおじさん達に挨拶をする。
「今日も暇ですね」と。


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