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オーナーチェンジがあった場合、連帯保証人の責任は継続するのか?

遺品整理現場での知っ得シリーズ

今回はオーナーチェンジと連帯保証人の継続性のお話し。事故物件では貸主と借主側の遺族や連帯保証人との間で原状回復費等を巡ってトラブルになりやすいものです。

そうした場合に、入居期間中にオーナーチェンジがあった場合、旧オーナーと連帯保証人間との連帯保証契約は終了するのか、それとも従前のままのㇾ引退保証契約が継続されるのかという問題。

もし、オーナーチェンジによって、連帯保証契約も終了するとなれば事故物件の連帯保証人は事故が発生する前にオーナーチェンジがあったなら高額な原状回復費等の請求を断ることができることになりますので、結構重要な問題となりますよね。

さて、以前に行った事故物件の遺品整理に同じような状況がありましたので、そちらを例に進めていきたいと思います。

ある孤独死の現場で相談を受けた際の話しです。現場は古いながらも立地も良く常駐の管理人さんがいるような立派なマンションです。

孤独死現場の為、依頼者の方は室内には入らずに私が鍵を預かり室内を確認しました。

確認している途中に重要書類となる生命保険の証書や各種通帳、賃貸物件の契約書などが出てきましたのでそれらをもって依頼者のもとへ。

依頼者の方は故人のご家族で賃貸物件の連帯保証人にもなられていました。その他の債務もあるだろうとのことから相続放棄を進めていくなかでの遺品整理となる為、いろいろと確認していたところです。

各種書類を確認している時に賃貸物件のオーナー(貸主)が契約期間中に変更になっていることがわかり、それを示す書類も賃貸借契約書に挟まれてでてきました。(管理会社などが手紙などで出す「貸主変更のお知らせ」)

そのオーナーチェンジ(家主変更)のお知らせに併せて賃貸契約書も新オーナーを貸主とした契約書が新たに交付されていたのですが、よく見ると連帯保証人の欄については署名捺印がされていません。

なにぶん古い契約の為、依頼者の方もオーナーチェンジがあった際に連帯保証人として署名捺印をした記憶がないとのことで、

もし、大家さんが変更になった際の新しい契約書に連帯保証人として署名捺印していなかったら、連帯保証人の責任は無くなるのでしょうか?

との質問です。さて、どうなのでしょうか?

賃貸物件であっても所有者は自由に売買できますから、賃貸物件に入居していると「貸主変更のお知らせ」というものが管理会社から届いたりします。

オーナーチェンジ(家主変更)があった場合の対応としては、振込み先の変更などを知らせるお知らせとともに新オーナーの名前などが書かれた手紙が届いたり、契約条項は従前のままですといったお知らせがポストに入っていたり、または契約書を新たに作成しなおすというケースもあります。

では、契約書を新しく作り直す場合に、連帯保証人の方は「家主が代わるなら保証はしない」と言えるのでしょうか?

借主側からそうした主張を言うことはできます。ただし、それが認められるかは相手方次第となります。

つまり、「家主が変更になるのなら私は連帯保証人を降ります!」と申し出て、相手方家主が「わかりました」と合意できるのなら、連帯保証人から降りることはできます。

しかし、相手方家主側が「それは認めません、連帯保証人を降りられるのなら代わりの方を用意してください」となった場合は、新たに相手方家主が納得する連帯保証人を用意しない限りはオーナーチェンジがあるからと言って、連帯保証人を一方的に降りることはできません。(民法450条2項参照)

では、新しく契約書を作り直す際に連帯保証人として署名捺印をしなかった場合はどうか?

従前の大家さんとの契約書には連帯保証人としての署名捺印はしているが、オーナーチェンジの際の契約書には連帯保証人としての署名捺印はしていない。

現在有効な契約書に連帯保証人としての署名捺印をしていないのだから、私は連帯保証人ではないのではないか?

一般的な感覚からすると、現在有効な契約書に署名捺印していないのだから、そりゃ連帯保証人ではないでしょ。と思われるかもしれません。

しかし、ながら賃貸不動産の所有者に変更があった場合、特約がない限り、賃借人・新所有者間に、従来の賃貸借関係がそのまま移転・存続するとされていますので、連帯保証人としての責任もそのまま移転します。

ですので、オーナーチェンジの際の新しい賃貸借契約書に連帯保証人として署名捺印をしていなかったとしても、契約書の効果としては従前の契約の効果がそのまま新しい契約にスライドしている為、連帯保証人としての責任は依然として残っていることとなります。

ですので、今回のご相談のようにオ-ナーチェンジがあり、契約書が作り直されているような物件で孤独死や自殺などが起きた場合に連帯保証人としての署名捺印をしていなかったとしても、連帯保証人の責任は依然として残るという結果になります。

賃貸物件などの連帯保証人は一度なってしまうとなかなか降りることができません。もし、家族以外での連帯保証人になるような場合は十分に検討してから署名捺印するようにしてくださいね。

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