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もし、自分が事故物件の当事者になってしまったら、考えるべき5つの重要事項 その④

前回の記事では相続放棄の仕方や流れの紹介と注意点について解説いたしました。

今回は相続放棄をするけれども遺品整理もしなければいけないといった状況にいる方へ向けた内容となります。

相続放棄はしたけれど遺品整理もしなければいけないという方へ

相続放棄をした相続人は相続放棄が受理されることで始めから相続人ではなかったこととなります。

ですので、故人が有していた家財などに対してもなんら権利を有していませんので、勝手に遺品整理を行って処分したりしてはいけないこととなります。

ただ、相続放棄をされた方の中には連載の当初の記事でご紹介した通り、「相続人兼連帯保証人」という立場の方がいます。

この場合は相続放棄をして相続人としての地位を放棄したとしても、連帯保証人の立場で賃貸物件の原状回復などを行わなければならなくなります。

つまり、相続人としては遺品整理をしてはいけないけれども、連帯保証人としては遺品整理をしなければいけないといった、正反対の立場に立たされてしまうということです。

当然、相続放棄をしたからといって、遺品整理を放置してしまうと家主側から連帯保証人としての義務を履行しろと言われてしまいますので、遺品整理をしないといけないのは確かです。

ただ、相続放棄をした方がしてはいけない事の内容に「故人の財産処分」というものがあり、相続放棄をされた方が故人の財産を処分してしまうと、後々債権者等から「相続放棄は無効」と言われてしまう可能性があります。

この相続放棄無効が認められてしまうと、せっかく相続放棄によって免除された義務、事故物件の当事者としての「原状回復義務」や「損害賠償の義務」といった義務が免除されなくなってしまい、多額の賠償をしなければいけなくなるといった可能性があります。

また、相続放棄の無効は賃貸物件の関係に留まらず、故人が消費者金融などから借金をしていたような場合はそれらの借金についても相続人として支払いを行っていかないといけなくなってしまう可能性があります。

ですので、相続放棄をされた方は遺品整理をしないのが一番安全ではあります。

ただ、上で述べたように連帯保証人としての地位を有している方は遺品整理をしなくてはいけない立場でもありますので、相続放棄が無効とならないようにかつ、連帯保証人としての義務も果たせるように遺品整理を進めていく必要があります。

このケースの場合は一般の方には判断の難しい部分も多いですので、当事務所のように遺品整理専門で扱う士業や弁護士などの専門家に相談の上で遺品整理を実行していきましょう。

もし、それでも、自分たちで遺品整理を進めていくというのであれば、次の事に注意してください。

相続放棄をした方が行っていけない故人の財産処分としては、何もゴミひとつ捨ててはいけないという訳ではありません。

債権者の方としては、故人の室内に残っている物を売却して借金の返済に充てたいと考えますよね。必然的に故人の室内に残っているもので必要になるものは、回収した後に売却できる物となります。

反対に言うなら回収しても売れないような市場価値の無いもの、いってみればゴミや市場価値の低い物などには興味もない訳ですから、こういった市場価値の無いものを相続放棄をされた方が処分したとしても相続放棄には影響がないと考えられています。

ですので、相続放棄をしたけれども遺品整理をしないといけないような方は、遺品整理の際には市場価値のある物は処分せずに、ご自宅やトランクルームなどを借りて保管し、それ以外の市場価値の無いもののみを処分していく方法を取るようにしましょう。

室内に残された荷物が少ないような場合は小さなトランクルームを借りて室内にあった物をすべてトランクルームに移動させて保管するということでも問題ありません。

相続放棄をされた方がしてはいけない事は「処分」であって、「保存行為」はしても問題ありませんので、トランクルームへ移動させるとか、ご自宅で保管するような行為は問題ありません。

ただし、あくまで保存行為ですのでご自宅で保管するような場合に、回収してきた故人の家財を使用したり、ご自身の財産と混同してしまわないように注意が必要です。

また、状況によっては保管するのにお金が掛かるというケースもあるでしょう。上で述べたトランクルームを借りるというだけでもお金はかかりますし、故人の財産の中に自動車があったような場合は駐車場料金が発生することも考えられます。

故人の残した家財によっては、残っている家財の価額よりも、保管に要する費用の方が高くなってしまうということもあります。

そうなってしまうと、保管に要する費用を故人の財産より支出したのでは、保管することで故人の財産がどんどん減ってしまうということになってしまいます。

であるならば、長期間そのままの状態で保管するよりも、いったん売却してまい現金で保管した方が結果的には故人の財産の減少を防ぐという意味で保存行為となりうるという考え方もできます。

この辺は非常に判断が難しいところですので自己判断はせずに必ず弁護士の先生などに確認した上で行動するようにしてくださいね。

相続放棄をした上で遺品整理を行いたい方へ

上で述べているように、事故物件の当事者になってしまわれた方の中には相続人であり連帯保証人となっている方や連帯保証人ではないけれど、家主になるべく迷惑を掛けたくないとお考えの方、また、事故が自分達の生活圏内で起きており、義務はないけれども放置しておくのは今後のご近所付き合いの上でも世間体が悪いといったように、義務はないけれども自分達が遺品整理をしていかなくてはいけないといった方々も大勢いらっしゃいます。

そうした場合は相続放棄も併せて遺品整理に精通している当事務にご依頼頂くことで、相続放棄をした上で可能な限り安全な遺品整理の方法をご提案させて頂きます。

相続放棄はするけれども遺品整理もしなくてはいけないといった方はご相談くださいね。

もし、自分が事故物件の当事者になってしまったら、考えるべき5つの重要事項 その⑤

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