フォローしませんか?
シェア
sig.miyauchi
2020年9月25日 18:12
タラップを踏みホームへ降りると、薄汚れた駅舎は耳慣れぬ軽快な言葉で溢れている。いつものことだ。エスカレーターはない、長い登り階段に溜め息をついて、これもいつものように、重たいトランクと登り始めると、後ろから伸びる毛むくじゃらの腕が見えた。泥棒かと思って振り返ると、丸顔の男が、人懐こくウインクをして見せた。彼はそのまま、トランクのハンドルを握り、階段を登りきると、あたふたと礼を言う私に、またウイン