さいたまスーパーアリーナで涙を流した話

灼熱とも言える熱さの中、同じだけの熱量を持って集まった1万人を超えるオーディエンスの一員としてさいたまスーパーアリーナへ今日は足を運びました。

今日の率直な気持ちを書き起こしておかないと忘れてしまいそうで勿体無いのでnoteに投稿しておきます。

まず最初にゲームパブリッシャーの存在意義とはなんでしょうか。
ゲームパブリッシャーとは一般的なところでいえばゲームの販売元を指し示す言葉です。

しかしながら今日のゲームパブリッシャーとは単に販売元としての意味合いだけでなくゲームというコンテンツやそれに付随した様々な体験や経験を提供する会社という意味としても使われています。

そんなゲームパブリッシャーのうちの一つであるRiot Gamesが提供しているVALORANTの大会がVALORANT Champions Tour(以下VCT)です。
今日のVCTの選手入場の演出を見た瞬間、いやもはやカウントダウンの映像を見た時からでしょうか、なぜか涙が溢れて止まりませんでした。

自分は2021〜2022年シーズンに置けるAPEX LEGNDS GLOBAL SERIES(以下ALGS)のYear2 Split2のPLAY OFFにFC Destroyのコーチとして参加しました。
つまり他のタイトル、他の企業が運営するEsportsの現場を生で見てきているわけです。

さて、問いのゲームパブリッシャーの存在意義とは何かというところに戻りますが自分の答えとしては「ゲームを通したすべての体験をより高いレベルで、一般プレイヤーだけでなく競技者までもが最高だと思える瞬間、空間そして経験を届ける事」だと思います。

無観客で行われた先日のALGS Year2 split2 PLAY OFFは正直なところとても質がいいものとは言えませんでした。

会場入りの2日前に本来届くはずだったPCが届かなくなったと通達があったり、いざ会場につきデバイスをセットした翌日、本番の直前に本来EA(もしくは大会運営代理企業等)の方が管理してあるはずだった選手のキーボードがどこかへ行ってしまっていたり(うちの選手ではありません。)
入場の演出があるわけでもなく、その他の演出も本日のVCTと見比べると個人の感想ではありますが劣っていたり、選手たちの体力など考慮の外と言わんばかりのハードスケジュール、そしてコーチの席に用意されていたのはただの椅子だけ。基本的にはモニターから顔までの距離が近い選手がほとんどですからその選手達の後ろからモニターを見て、リアルタイムに何が起きているのかを把握することすら一苦労でした。

そういった視点でお世辞にも選手がそしてコーチやチームスタッフまたその他の関係者が大会を満足度が高い状態で終えることができたとは言えないと思います。

さらに言えば7月から行われるALGS Y2 Championshipでもすでに多くの問題が散見されています。(気になる人はRedditを徘徊してみてね!)

勿論これはVALORANTでも当てはまる可能性は十二分にあると思います。
今日はたまたま配信や演出、そしてゲーム内カメラなどを担当しているチームの後ろの席だったため、選手のモニターの返しを覗き見ることができました。
そして、選手がどれだけ試合の直前に待たされているかそしてどうしようもない進行上発生してしまうであろうフラストレーションにさらされているのをまじまじと見ていました。

このような共通のフラストレーションになり得るであろう点がタイトルが違えどもあることということは理解しています。が、これは「どうしようもない」「仕方がない」という言葉で片付けられてしまいますし、実際選手たちもそういった待ち時間では、顔からは緊張感が伝わりつつも肩の力を抜いたり手をぶらぶらと振り震えを抑えようとするなどの仕草からリラックスしようとしているのは伝わってきました。

演出面で言えば、ゲーム性の違いや国内外でのタレント力、海外と日本の演出の違いなどさまざまな角度から見たときにもそれだけの違い、もしくは幅があることも十二分に理解しています。

また今日は一般客として足を運んだわけですから、そういった意味でもALGSの時の立場と全く違う視点だったというのも考慮しています。

しかしながら、しかしながら選手入場の演出を見たときに涙を禁じ得ることができませんでした。

純粋に、カッコよかったんです。ただただカッコよかったんです。勿論彼らのサイドストーリーや沿革、そしてこれまでのドラマなど全てを知っているからこそ、ここに辿り着くまでの長い長い道のりを思えばグッと来るものがあって然るべきですし、彼らのカッコよさのすべてをうまく言語化することは今でも難しく、ただその時自分は会場で配られていたバルーンを膨らますこともできずただただ泣いていました。

その涙は、何も演出を見て感動しただけの感情ではありませんでした。

なぜ、なぜEAはこれと同じようにもしくは似たような選手の見せ方、演出の仕方そして選手やコーチにとって最高の環境や体験を届けないのか、現役の選手や引退していった人たちから「EAだから仕方ないよね」というようなあきらめたコメントが出てきてしまうのか…そんな思いや羨望や悔しさやそのほかにも筆舌に尽くしがたい思いがあふれて止まりませんでした。

「VALORANTは競技シーンを強く意識して設計されています」の言葉通り競技シーンを作る、提供するということに関してはLOLでの実績があるため、圧倒的にRiotに経験値があるかもしれません。
ですが現状、より多くの人に「楽しい、面白い、もっとやりたい」と思わせているゲームはAPEXであるはずなんです。
事実つい最近APEXの累計プレイヤー数は1億を超えたとの発表もありました。

つまりどういうことが言いたいかというと現状、より多くの人の心を掴むコンテンツを作ることに関してはEAに分があったはずなのです。


それだけのノウハウを持ち、人を楽しませる。
熱狂にも近しいような感情を作れるだけの会社がなぜ、いろんな人から「EAだから」という枕詞で残念な気持ちをSNS上で吐露されある種悲しみや怒りといってもいいような言葉が散見されるのでしょうか。

APEXは本当に素晴らしいゲームです。これほどまでにFPS初心者を爆発的に増やし"FPS"という文化自体を前に進ませてくれたゲームはそう多くないでしょう。
またこれまではFPS単体で進んでいた文化がほかの文化とクロスオーバーしていることなんて3年前、だれが思いついたでしょうか。

誰があの本田翼さんが、山田涼介さんがAPEXの配信をするなんてこと予想ついたのでしょうか。
自分自身、ジャニオタの友達が周平って(本名)APEX?っていうのやってるんでしょ!って久しぶりに連絡してくることなんて想像もできませんでした。

それほどまでにAPEXが世に与えた影響はとてつもなく大きく、何度も言いますがFPSを、そしてEsportsの認識、あまつさえゲーム自体の世間の認識を変えてくれるほどの物でした。

このとんでもなくデカい影響を及ぼせるようなコンテンツを作れる素晴らしい会社であるにもかかわらず実際には「EAだから」という声が上がっていたり、コミュニティの声を全くと言っていいほど聞いていない、それどころか一番このゲームを愛しこのゲームを多くプレイしているであろう選手達の声さえも届いていないんじゃないかと思う時ですらあります。


だからこそさいたまスーパーアリーナでNORTHEPTION, ZETA DIVISIONの両チームの入場の演出を見た時に涙が止まりませんでした。


それは前述したように様々な感情が一気に湧き出て止まらなくなってしまったからなのです。

自分たちAPEXの競技シーンにいる人間はEAに期待とあきらめのような感情、どちらも持ち合わせています。

それは一朝一夕で形成されるようなものではなく、リリースから3年以上たつゲームでそして競技シーンの運営の仕方で積もりに積もった感情なのです。

それをいい意味で裏切ってくれる日をずっと待っています。
いつの日か、APEX LEGENDSが最高のゲームだと本当に胸張って言えるように、そしてゲームパブリッシャーが提供する誰もがうらやむような世界が、経験が、驚きが、体験などそれらすべてが、競技シーンに参加しているすべてのプレイヤー達がしのぎを削って登れる舞台にあるということを本当に、切に願っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?