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「生きるってことは、愛だよ」~突然の失業から認定社会福祉士・スーパーバイザーとなるまでの18年を回顧して

先日、

「認定社会福祉士」の登録証が届きました。


社会福祉士の中でも、実践実績があり

指導的役割を担う数少ない「認定者」としての称号で


この「認定社会福祉士」に至るまで、

18年間、現場で介護や支援に取り組み、

想像を絶する困りごとを背負った方々の相談援助をし、

一方で、論文や学会発表をし、

講師活動などの後進の育成に取り組んできました。


いつになったら

この地道な活動が評価されるのだろうと、

泣いたこともありました。


そしてやっと、「認定社会福祉士」に就任できましたが、

これは私にとって、スタートラインであると思っています。


今後、

この資格に恥じないよう、

コロナや、国際紛争により混乱し、住みづらくなっている社会を

良い社会にしていけるよう、

地道な活動を継続し、


生涯成し遂げたいとずっと思ってきた夢に

引き続き向かっていきたいと思っています。


この「認定社会福祉士」の登録証を見ながら、

これまでの自分を振り返ってみました。


1 突然の不幸と失業でズタズタになっても


私は39歳の時、

突然仕事を失いました。


それまでは、福祉業界とは全く無縁の、

国際政治経済のシンクタンクで

研究者兼アドバイザーとして勤めていました。


小学校の頃から

「ガリ勉」といじめられながらも、

勉強に勉強を重ね、

大学院まで修業して

先輩たちをごぼう抜きにして

トップエリートの地位に上ってきたと、

自分ながら傲慢になっていました。


しかし、

最愛の一人息子の死を契機に

心を病み、

研究ができなくなったのです。


気が付けば、職場を退職し、離婚をし、ボロアパートでたった一人

カップラーメンを食べていました。


ラーメンの汁をこぼして

膝が熱くなっても気が付きませんでした。

貯金が底を尽きました。


何とか生きるために、

派遣の日払いアルバイトを何件も掛け持ちました。

しかし、学問ばかりして社会経験のない私は、

お皿の洗い方すらわかりませんでした。


2 私はこんな姿になるために生きてきたんじゃない!


フラフラになって失敗が続いて、

同じバイトの若者から怒鳴られました。

「何やってんだよ!

一回言われたことはちゃんとやれよ!オッサン!」


「オッサン・・・・か・・・」

帰りの電車で、悔し涙で服の袖がびしょびしょになっていました。


私は心の奥底で、

こう叫んでいたんです。

「私は、

こんな姿になるために、

これまで生きてきたんじゃない!」

誇りもプライドもぺしゃんこにされながら

こう叫んでいたんです。


しかし、

私はあるとき、ふっと思い出したんです。

私には、幼いころからの夢があったことを。


3 本当の私を探検した時、気づいた強みとは


私は小さいころから

困った人や、困った動物に会ったら放っておけなかった。

大人になったら、困った人を助ける仕事をしたいと思っていた。


39歳で研究者という地位と仕事を失いましたが、

失ったから、

ずっとやりたかったことをもう一度考えるチャンスに遭遇した。


自然に「自分の掘り起こし(ブレインダンピング)」をしていたのです。

そして気づきました。

私は学問以外は何のとりえもないと思っていましたが、

私には思いがある。

誰よりも強い思いがある。


生き方が不器用な人の気持ちがわかる。

病気で苦しむ子供と、家族の気持ち、痛みが分かる。

突然誇りを打ち砕かれ、プライドを踏みつけられた人の気持ちが痛いほどわかる。

そしてそんな人を救いたいという誰よりも強い思いがある。

この思いこそ、

私の「強み(ストレングス)」だと。


4 そうだ、この道を究めていこう!


そして思い立ちました。

そうだ、

社会福祉の道で生きていこうと。


ホームヘルパー養成講座受講から始めた福祉への道。

掃除も料理も何の経験もないという男性ヘルパーは珍しいらしく、

苦労しました。


ヘルパー募集の事業所を探して何度もハローワークに足を運んだ日々。

「年齢、経験、性別不問」の言葉を信じ、

実際に面接に行くと、


「即戦力の人から採用します。」

「男性じゃねえ、ちょっと難しいんですよ…」


58か所、履歴書を書いても、採用に至りません。

くじけそうになりました。


5 涙でくしゃくしゃの鉛筆書きのライティングが開いた運命

私に転機が訪れたのは、

実習先でのこと。


その実習先で出会ったご夫婦の高齢者の方の姿に心から感動し、

涙でぐしゃぐしゃになりながら、

感想文を書いて提出したのです。


ライティングの体裁も何もない、

ぐちゃぐちゃの手書きの感想文。


これが、その実習先の事業所長の目に留まり、


そこでヘルパーとして働きながら

もう一度通信の大学で学び、社会福祉士を目指す道が開けました。


6 人は、本当の誇りとプライドを必ず取り戻す

現場でドロドロになってホームヘルプをしながら、

休日もプライベートも学業にいそしみ、

大学は首席で卒業、優秀論文賞も受賞し、

合格率2割を切る社会福祉士の国家資格には一発合格、

その後、精神保健福祉士の国家資格にも一発合格し、

さらに14の公的資格を得て

今日まで18年間、ソーシャルワーカーとして活動してきました。


生活に困った人や、

貧困・高齢、障害、病気で困った人・家族の

個別の相談支援、

また、

企業コンサルに相当する第三者評価にも取り組み、

学術論文も再び執筆し、

18年かかって、誇りとプライドを取り戻しました。


だから、誰にも、

今は開花していない本当の誇りがあるのなら、

その誇りを形にできると、自分の体験から確信できるのです。


7 「言葉にならない思い」を文章に


また

なぜ、私が

「言葉にならない思い」を文章にする大切さを訴えるのか?


それは、18年に及ぶ対人援助(個人コンサル)の中で、

相談者の言葉にならない思いを文章にし、

本人も気づかない、深い深い思いを掘り起こして、

それを文章にし、

その人の思いを代弁して訴え、

相談者の最善の幸福が確保できるように

行政や社会を動かしてきたからです。


「言葉にならない思い」は

思っているだけでは伝わらず、世界は動きません。

「気づかない思い」は、誰かに気づかせてもらわないと、

文章にもならず、世界は変わりません。


だからこそ

その人にしかない、その人の思い、

心の奥の、自身も気づかない思いを

言葉にし、

文章にし、

伝え、発信し、

伝えられた人の心に浸透させ、

社会を動かすのです。

動かざるを得ない状況を、創り出すのです。


8 生きるってことは、愛だよ

この文章の終わりに、

読者のあなたにぜひお伝えしたい言葉があります。


それは、

「生きるってことは、愛だよ」

という言葉の宝物です。


これは、90歳の、

自分では動けない障害をお持ちの友人が

亡くなる1週間前に、ホームヘルパーの私に下さった言葉で、

18年の社会福祉士活動の原点になってきた宝物です。


「生きるってことは、愛だよ。

愛に格好も、理由も、ないんだよ。

明日召される命でも、

100年生きなければならない命でも、

あなたの命、

誰もあなたの代わりに生きられないんだよ。

それほど大切なあなたなんだよ。

だからこのいのち、

生きて、

生きて、

生き抜こうね。


それが

愛だよ」


その方は、

1週間後、静かになくなられましたが、

いただいた言葉は、私の中にも、

私からこの言葉をプレゼントされた人の中にも

生き続けています。


私は、

講義やセミナーの場でも

研修会などの会合の中でも、

必ず最後にこの言葉をお伝えするようにしており、

多くの人の心の中に生き続けていると思っています。


「認定社会福祉士」をいただいたのちも、

この言葉に恥じないように、


生きて愛を実現していきたい。

そう思うのです。

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