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F1レビュー2022 第2戦 サウジアラビアGP 〜2戦連続の白熱バトルと揺らぐ信頼性〜

F1グランプリは早くも2戦目。
2週連続開催となったサウジアラビアGPを振り返ります。

2戦連続となったナイトレース。
日本時間ではスタートが遅い時間に。
リアルタイムで見ることができず、アーカイブでゆっくり見ました。
以前はシンガポールGPのみだったナイトレースも、アジア、中東を中心に増えてきました。
主にヨーロッパで昼間の時間に見られるように、との配慮から始まったナイトレース。
ライトに照らされるトラックやマシンは美しく、見どころも満載なのですが、できればバーレーンやシンガポールのようにもうちょっと早い時間にやって欲しかった…。

波乱、混乱、そして歓喜の予選

サウジアラビアGPは予選から大波乱。
なんとハミルトンがQ1敗退。
プラクティスからセッティング変更を試みたところ、裏目に出てしまった模様。
全くと言っていいほどリアがグリップしなかった、とハミルトン。

角田もメカニカルトラブルによりタイムを一度も出すことなく予選終了。
プラクティスでは走っていたのに、予選になった途端一度も走れないというのは問題。次戦までに改善してほしい。

Q2では、縁石に乗ってバランスを失ったハースのミック・シューマッハのマシンが、サイドからウォールに激しくヒット。マシンの半分が大破する大クラッシュ。

ドライバーは無事で外傷もなかったが、大事を取って決勝は欠場。
クラッシュが発生する度に、現代F1マシンの安全性の高さに驚いてしまう。

ポール争いはレッドブルvsフェラーリ。
タイム的にはほぼ互角。4台のタイムアタック争いを制したのは、なんとレッドブルのセルジオ・ペレス。
彼がメキシコ人ドライバー初のポールシッターになった。
フェラーリ独壇場の予想を覆す展開。決勝はどんな争いになるのか?

マシンが次々ストップ。運も重なるサバイバルレース


昨年のサウジアラビアGPも波乱の連続だったのは記憶に新しい。
何せ、3ヶ月ほど前のこと。
ハミルトンとフェルスタッペンのチャンピオン争いが佳境を迎える中、二人の意地が激突。
結果、このGPはハミルトンが制する。

今年のサウジアラビアGPは開幕2戦目にスケジュールされた。
意地をぶつけ合ったハミルトンは後方へ沈んでしまったが、代わりにフェラーリの2台が台頭。果たしてどんなGPになるか?

スタートを制したのはペレス。
このサーキットに彼のマシンがマッチしているようで、ペースも早い。
ルクレール、フェルスタッペン、サインツが続く。

15周目。
「オーバーテイクのためにピットインせよ」とルクレールへの無線。
アンダーカットを狙っているようだ。

しかし、ルクレールはピットに入らなかった。
それに呼応するように先にピットに入ったペレス。
後ろを走るルクレールの作戦を察知、同調しないと、本当に抜かれてしまう。
ミディアムからハードタイヤへチェンジ。

その直後、ウィリアムズのラティフィがクラッシュ。
セーフティーカーがコースへ。

セーフティーカーラン中は追い越しが禁止される。
そのため、各車次々にピットへ。

煽りを食ってしまったのがペレス。
結果的に一番不利なタイミングで入ってしまったのだ。
何とも運が悪い…。

セーフティーカーがピットに戻り、リスタート後の順位は4位。
タイヤ交換で一時的に順位を落とすだけと思いきや、追い越し禁止期間中に前を走るマシンが次々にタイヤ交換に入られてしまっては、順位の挽回ができない。
これで優勝争いから脱落してしまう。


ミディアムタイヤでスタートした各車はハードタイヤへ。
これで最後まで走りきれそうな勢い。今回はタイヤがしっかり機能した。
前戦のタイヤ交換合戦は何だったのか?

一方、ハードタイヤスタートのハミルトンはじわじわと順位を上げ、現在6位。

36周目。アルピーヌのアロンソがストップ。
連鎖するようにアルファロメオのボッタスとマクラーレンのリカルドもストップ。
しかもこの2台がピットレーン入り口付近で止まってしまった。
バーチャルセーフティーカー、若しくはセーフティーカー導入は必至。

ここでピット入り口に差し掛かったハミルトンに無線でピットインの指示。
「もう遅いよ!」通り過ぎるハミルトン。
直後にバーチャルセーフティーカーとなり、全車減速、追い越し禁止に。

しかも、ピットレーン入り口にマシンが止まっているため、ピットエントリーがクローズになり、全車ピットイン禁止になってしまった。

スタートからハードタイヤで我慢のレースを強いられたハミルトンには痛い仕打ち。
ある程度順位を挽回し、レース後半をミディアムタイヤで走ることができれば、まわりは使い古したハードタイヤで苦戦している中をハイペースで走り、より順位を上げる作戦だった。

結局、ピットオープンになったのはバーチャルセーフティーカーが終了した後。
アンダーグリーンでのピットインになり、順位を大幅に下げてしまう。
ペレスに続いてハミルトンにも不運が舞い降りてしまった。

2戦連続の激しくもフェアなバトル

42周目。
遂にフェルスタッペンがルクレールを捉える。
DRSを使い、ターン27でルクレールをパス。
しかし直後、今度はホームストレートでルクレールがDRSを使い、ターン1でやり返す!
開幕戦のリピートを見ているようなバトル!

同じ周のターン27、フェルスタッペンが前を伺うが、タイヤスモークを上げながら急ブレーキ。
ここで抜いても前の周と同じようにやり返されてしまう。
ここは抑えて、ホームストレートでDRSを使う権利を得なければ。
一瞬の行動に出る思惑。その間1秒もない!本当に一瞬の判断。

しかし急減速がたたったか、ここではルクレールの前に出ることは出来なかった。

レース佳境の46周目。
徐々にルクレールとの差を縮め、ホームストレートでフェルスタッペンがいよいよDRS作動。
3度目の正直。ストレートで遂にルクレールを捕らえた!

激しく、クリーンなバトルの末、勝負はフェルスタッペンに軍配。
そのままチェッカーフラッグを受け、前戦の悔しさを晴らす今季初勝利となった。

レース後、クリーンなバトルを心から楽しんだフェルスタッペンとルクレールがお互いの健闘を讃えあう姿も。お互いリスペクトし合えるからこその真剣勝負。
今年はこんなシーンをたくさん見たい。

まとめ


2戦連続で手に汗握る激しいバトル。
やはり今年のマシンは今までとは違う。
それでもDRSを使わないとオーバーテイクは難しいようだが、DRSの効果もより際立っているように見える。

まだ2戦終わったばかり。タイトル争いはまだまだ見えてこないが、ルクレールとフェルスタッペンの間に割って入るドライバーが出てくる可能性もある。
何人かでタイトル争いを繰り広げることになったら面白い。

今年初のストリートサーキット。
昨年同様、ハイスピードだがリスクも高い。
縁石に乗ってバランスを崩してしまうと、すぐそこはコンクリートウォール。
ミックが無事で何よりだったし、今年は遺恨を残すようなクラッシュも起きなくてよかった。

ただ、マシンが大きく変わった弊害がまだ消えないようだ。
近年珍しいぐらいにマシントラブルでのストップが目立った。
まるで90年代のグランプリを見ているようだった。当時はシーズン序盤ほど各車信頼性に問題があり、トップ争いをしていたマシンでも急にストップしてしまうことがあった。

決勝ではストップするマシン続出で結果サバイバルレースになってしまった。
アクシデントがあった方がレースは盛り上がるという側面もあるが、角田のようにスタートもできないとなるとガッカリしてしまう。
シーズンが進むにつれて信頼性の問題は解決するもの。トラブルフリーなレースに期待したい。

次戦は4/10のオーストラリアGP。
実に2年ぶりの開催。

2年前は開幕戦としてスケジュールされ、各チームサーキットに入って準備していたにもかかわらず、GPウィーク中に新型コロナ感染者が多数出てしまい、レースが中止になってしまった。

結局開幕したのは6月のオーストリア。
あの頃は未知のウィルスの脅威の前に屈したが、今は対策も一般化され、治療法やワクチンもある。皆が安心してGPを楽しめるようになった。
それに時差も少ないので、昼間からGPを楽しむことができるのもうれしい。

2年ぶりのアルバートパークサーキット。どんなドラマが待ち受けているか?

タイトル画像はF1公式Twitterより使用させていただきました。
レース後、お互いの健闘を讃えあうフェルスタッペンとルクレール。
今年はこんなシーンがたくさん見たいですね。

こちらもF1公式Twitterより速報ツイート。

今週はひとつ面白いニュースがありました。
2023年より、あのラスベガスでグランプリが開催されることが決まったとのこと。
煌びやかな市街地にコースを作り、なんとナイトレースが開催される予定。
ただでさえ派手な街に、これまた派手なF1サーカスがやってくる!

ラスベガスでは80年代に2回グランプリが開催されたことがあります。
当時は大きなホテルの駐車場を閉鎖して、そこに簡易サーキットを作って開催されました。1981年はタイトル争いの舞台に。ブラバムのネルソン・ピケがドライバーズチャンピオンを獲得した地でもあります。

F1の商業面を統括するリバティ・メディアはアメリカの会社。その力添えがあったものと思うのですが、インディカーをはじめNASCAR、IMSA等、独自のモータースポーツ文化があるアメリカ。COTA(Circuit of the America’s)、マイアミに続く3つ目のグランプリがアメリカで開催されるなんて、数年前には想像もできなかったこと。どんな派手なグランプリになるのか、今から楽しみですね。

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