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【F1レビュー】秋晴れの鈴鹿でタイトル決定!2023年F1日本グランプリ 感想とまとめ

2023年9月22日〜24日に開催された、F1日本グランプリ。
つい1ヶ月ほど前に後半戦が始まったと思ったら、もうF1が鈴鹿にやってきました。

それもそのはず。
今年は例年より半月ほど早い開催です。
スケジュールの都合などあるかもしれませんが、10月は近年雨や台風が多く、意図的に時季をずらしたのではないかとも思います。

その甲斐あってか、夜間は雨が降ったものの、セッションは全てドライ。
本当に久しぶりに、鈴鹿でフルディスタンスのレースを楽しむことができました。

私は家庭の事情で泊まりがけの遠出ができないため、今年もテレビで観戦しました。
昨年の振り返り同様、日本を楽しむドライバーの動きも含めて、GPウィークを振り返ってみたいと思います。

ようこそ日本へ!今年もイベントが目白押し!

前週のシンガポールGP終了直後、月曜日にはドライバーや関係者が次々と来日。
多くのドライバーは東京にやってきてくれました。

翌日から各ドライバーは行動を開始。
ハミルトンは昨年同様、皇居ランを実行したようです。
ジョギングはルーティーンなんですね。

注目したのは、NOBU選手こと松下信治選手のポスト。
長年F2で共に戦ったメンバーと共に、束の間の再会を楽しんだようでした。

メルセデスのラッセルとは両国で大相撲を観戦。
熱海富士関との記念撮影のシーンが、NHKの大相撲中継に流れたそうです。
海外からの観光客と思われていたようですが。

※松下信治選手のポストより。

NOBU選手は現在国内レースで活躍中。
決勝は会場内放送の解説を務めたそうです。

レッドブルの4人は都内のアリーナでちょっとしたゲームを撮影。
ホンダの軽トラを使った、チーム対抗戦。
レッドブルチームと、アルファタウリチームで競い合いました。

さすがはF1ドライバー。
軽トラでも思いのままに操ります。
レースを前に、笑い溢れる楽しい時間を過ごしたようでした。
4人ともリラックスしたとてもいい笑顔。

9月20日には、新宿の東急歌舞伎町タワーにて、日本GPの事前PRイベントが開催されました。
都内で大規模なF1イベントをやるなんて珍しい。

イベントは、マシン展示やゲストのトークショー。
あの歌舞伎町の広場に、F1関係者が次々とやってきてくれました。

私もぜひ見に行きたかったのですが…当日は諸々の理由で在宅勤務でした。
せめてマシンだけでも見に行きたかった…。

他にも、HONDAのウェルカムイベントではレッドブルとアルファタウリの4人が元力士の方と押し相撲をしてみたり。

ドライバーの皆さんは今年も思い思いの方法で日本を楽しんだようでした。


鈴鹿で次々とビッグな発表が!

F1サーカス御一行様は、木曜日には鈴鹿へ入りました。
ただ、その御一行様を待っていた人がひとり。

2コーナーの内側で、せっせと何やら作っています。
その人こそ、なんとセバスチャン・ベッテル。

昨年、「アリガトウゴザイマス、鈴鹿!」とファンに別れを告げたベッテルが、鈴鹿に戻ってきてくれました。
目的は、生物多様性への関心を高めるための活動「Buzzin’ Corner」を行うため、2コーナーの内側にミツバチや昆虫たちのための「ホテル」を建設(?)していたのです。

鈴鹿サーキット側もベッテルの活動に理解を示し、2コーナーの縁石だけ、黄色と黒のミツバチカラーに変えたのでした。
GPウィークが始まると、各チームの代表者やドライバー達を招き、記念撮影や作業を手伝ったりしていました。

鈴鹿をこよなく愛し、「神が作ったコース」とまで言ってくれたベッテル。
やはり、とても愛着のあるサーキットだけに、この活動をアピールするにはうってつけの場所と思ってくれたのでしょうか。
高速でマシンが駆け抜けるサーキット内に小さな小屋がいくつも並んでいる姿もユニークでほっこりしますね。

9月23日土曜日。
角田の去就に注目が集まっていた中、アルファタウリの来年のドライバーラインナップが発表されました。

角田は2024年もチームに残留。
チームメイトはダニエル・リカルドになりました。

リカルドは今年のハンガリーGPから、不調のニック・デ・フリースに代わって出場。
さすがは優勝経験のあるリカルド。
今年からレッドブルのリザーブドライバーを務めていますが、復帰するとまずまずの成績を収めます。

しかし、オランダGPのFP2で指を骨折。
不運な事故でしたが、その代わりに現在日本のスーパーフォーミュラに参戦するリアム・ローソンが「代役の代役」を務めることになりました。

ローソンは日本でのレースがない時はレッドブルグループの為に活動しています。
昨年のF2で3位を獲得しスーパーライセンスも保持していたため、白羽の矢が立ったのです。

ローソンは走り慣れた鈴鹿にも出場。
前戦のシンガポールGPでもポイントを獲って注目を集めましたが、残念ながら来年はリザーブドライバーとしての契約となりました。

3名の去就に注目が集まったアルファタウリ。
結果的に角田とリカルドになりましたが、考えてみればローソンはまだ2戦走っただけ。
チームもリカルドとローソンで迷ったと思いますが、ローソンを乗せる決断をするにはまだ要素が足りなかったのかと思います。

リカルドはF1参戦経験も豊富で、優勝経験もあります。
チームを軌道に乗せ、マシン開発の進歩や角田の成長にも欠かせない人材として選ばれたのではないでしょうか。

いずれにせよ、日本のファンにとってはホッとした発表になったはず。
しかし、それ以上に日本のファンを驚かせる発表が!

なんと、TOYOTAのハイパーカーでWEC(世界耐久選手権)に参戦中の平川亮が、マクラーレンのリザーブドライバーとして契約したと発表がありました!

これは全く予想外の発表。
平川は長く国内レースで活躍し、一昨年から引退した中嶋一貴に代わってWECに参戦。
初年度からル・マン24時間レースに優勝し、ハイパーカークラスのチャンピオンを獲得しました。

F1マシンを走らせるにはスーパーライセンスが必要。
獲得条件は、過去3年間でカテゴリー上位に与えられるポイントの合計が40ポイント以上でなければなりません。
F2でチャンピオンを獲得すれば文句なしに40ポイントが与えられますが、実はWECのハイパーカークラスでチャンピオンを獲得すると、30ポイントが与えられます。

平川は2年連続でチャンピオンを獲得しているので、計60ポイント。
スーパーライセンス獲得条件を余裕でクリアしています。

しかし、トヨタの契約ドライバーである平川になぜマクラーレンは注目したのでしょう?
詳細は明らかにされていませんが、マクラーレン側からのオファーだったとF1前夜祭に登壇した際に話していました。

マクラーレンとトヨタ(TGR-E:TOYOTA  Gazoo Racing Europe)とは浅からぬ関係が。
今年新しい風洞施設が完成したマクラーレンですが、それまではドイツのケルンにあるTGR-Eの風洞施設を使わせてもらっていた経緯があります。

ただ、どうやらスーパーライセンスを獲得できる条件が揃っているドライバーも少ない模様。
マクラーレンは先日、SF参戦経験のあるインディーカーのチャンピオン、アレックス・パロウとの契約で揉めたばかり。
スーパーライセンス獲得条件が揃い、海外でのレース経験も豊富な平川にオファーしたのは自然な流れだったのかもしれません。

チームから発表があったのは9月22日。
翌23日には平川もサーキットを訪れ、マクラーレンの一員として取材に応じました。
その傍らには、なんとトヨタ自動車の「モリゾウさん」こと豊田章男会長と、F1のOBにして、現TGR-E副会長の中嶋一貴さんの姿も!

なんと、サーキットへはヘリで駆け付け、そこからトヨタのGRセンチュリーに乗ってド派手に登場したとか!
かつてはF1に参戦していたトヨタ。新たな期待に胸膨らみますが…今回はトヨタとして、ドライバー平川亮をサポートする意味合いでサーキットに来たといい、それ以上の意味はないとのことでした。

リザーブドライバーについて

突然のビッグな発表に本当に驚きましたが、角田の契約についても噂が立っていたこともあるので、ここでF1のリザーブドライバーについてのお話を。

リザーブドライバーとは、ものすごくわかりやすく言うと「補欠」のことです。
レギュラードライバーの身に問題が生じ、レースに出場できなくなった時に代わりにレースに出場します。

今年のアルファタウリがとてもいい例です。
デ・フリースの代わりに、レッドブルのリザーブドライバーであるリカルドがレースに出場しましたよね。

でも、リザーブドライバーは一人ではありません。
リカルドが負傷してしまったときに、次のリザーブであるローソンが代わりに出場しました。

マクラーレンのリザーブドライバーとなった平川も、ノリスやピアストリがレースに出場できない時には代わりにレースに出場できる権利があります。
レース中のクラッシュでの負傷以外にも、プライベートでの事故や体調不良、身体以外の事でもレースに出られない可能性は様々。
その時のためのリザーブですから、平川のF1デビューも夢ではなくなったわけです。

もちろん、リザーブはただの「補欠」ではありません。
重要な任務はマシンの開発。
主にファクトリーにあるシミュレータに乗り、様々な条件をテストしてフィードバックします。

最近、この役割が重要視されているようです。
FPで得たデータを検証するために、リザーブドライバーがわざわざファクトリーに戻り、シミュレータに乗ってデータを検証。
チームへフィードバックし、その足でサーキットに戻る、なんてこともあるのだとか。

しかし、平川は主戦場であるWECも継続参戦すると発表しています。
国内レースの参戦は難しいと言われていますが、その分マクラーレンに帯同する時間も長くなるでしょう。
なかなか陽の目を見ない、地味な役割ではありますが、来年の平川の活躍には期待したいですね。

リザーブドライバーと言えば、一時期「角田が2024年にリザーブに?」という噂が立ちました。
現状、アルファタウリにはローソンもリカルドもいるし、レッドブルはフェルスタッペンとペレスとの契約があるため、角田がレッドブルのリザーブドライバーとして契約するのではないか、というお話。

「そんなワケないじゃん!」とあまり注目しなかったのですが、私が思うに、恐らくこういうことだと思います。

レッドブルとペレスとの契約は2024年いっぱいで切れる予定。
そうなると、次の候補は今のところ角田が有力視されています。
アルファタウリにはリカルドもいるし、ローソンも急遽参戦したにもかかわらずポイントを獲る活躍を見せました。

それなら、2025年にレッドブルへ昇格させる、という条件を付ける代わりに、角田に1年だけリザーブになってもらおう、という事だったのではないかと思うのです。

昔からこの手の話はよくありました。
1993年にマクラーレンと契約したミカ・ハッキネンの話は有名です。
これは、セナがその年にウィリアムズに移籍するのではないか、という話があったため、保険としての契約でした。
チームメイトは、アメリカのインディカーチャンピオン、マイケル・アンドレッティ。

しかし、ウィリアムズはプロストと契約。
セナはマクラーレンに残留することになり、突き出される形でハッキネンがリザーブドライバーとなりました。

ハッキネンはその年のマクラーレンのマシン「MP4/8」の開発を担当。
テストでマシンにたくさん乗り、チームへフィードバックしていきます。
そんな影の頑張りもあってか、成績不振でチームを離れたアンドレッティに代わって後半戦に出場し、鈴鹿では表彰台にも立ちました。

ハッキネンはその後、マクラーレン・メルセデスを駆ってミハエル・シューマッハとの闘いを繰り広げ、2年連続ドライバーズチャンピオンを獲得するまでに成長します。

同じ例が当てはまるのは、佐藤琢磨。
2002年、ジョーダン・ホンダでセンセーショナルなデビューを果たした琢磨でしたが、ホンダとジョーダンとの契約が終了したため、B・A・Rへ移籍。
チームにはジェンソン・バトンとジャック・ヴィルヌーヴとの契約があったため、翌年のレギュラードライバー昇格を条件に、1年だけリザーブドライバーを務めることになりました。

琢磨もハッキネン同様、陰でマシンのテストに明け暮れます。
そして日本GP。
出走をとりやめたヴィルヌーヴに代わって、琢磨にチャンスがやってきます。
彼はそのチャンスをモノにして、見事ポイントを獲得するのでした。

ハッキネンと琢磨に共通するのはこの二つ。
・後にレギュラードライバーとしての昇格が条件
・マシン開発の役割を担うこと

話を角田に戻すと、翌年レッドブルへの昇格が条件なのであれば、1年だけリザーブドライバーを務めるのも悪い話ではありません。

でも、当時と比べると大きく違うのは、シーズン中のプライベートテストが制限されていることです。

ハッキネンや琢磨の時代は、シーズン中のプライベートテストが認められていました。
レギュラードライバーが乗るマシンのテストを繰り返し、開発を行わなければなりません。
当然、レギュラードライバーよりもマシンに乗る機会が多くなり、マシンの理解も進む。
シーズン途中にレースに出場してもすぐに結果が出せたのはそのためです。

現在のリザーブドライバーはチームに帯同こそしますが、マシン開発に使用するのは主にシミュレータです。
稀にFP1に出走することがあるかもしれませんが、レギュラードライバーと同じマシンに乗る機会はかなり限られていますし、そんなチャンスはないかもしれない…。

丸1年マシンに乗ることができないのは、かなりの痛手です。
そんな痛手を負うぐらいなら、アルファタウリのレギュラードライバーとしてもう1年レースに出たほうがいいに決まっています。

この事をよく知るF1ファンなら「ツノダがリザーブに?」といった三文記事なんて相手にもしなかったでしょう。
現に大方の予想通り、角田はアルファタウリに残留。
さらに成長して、翌年レッドブルのレーシングスーツに身を包んだ姿を見たいですね。

秋晴れの鈴鹿で白熱の予選!

9月22日。金曜日はフリープラクティス。
天候は曇りとなりましたが、いよいよセッションがスタート。

初日から他を寄せ付けない速さを見せるのはフェルスタッペン。
前週の不調はどこへやら。
ひとり淡々と周回を重ね、タイムを刻んでいきます。

シンガポールでウィナーとなったサインツも負けてはいない様子。
モンツァ以来好調をキープしているフェラーリが台風の目になるか?
そしてマクラーレンの2台も好調のようです。

FP2ではガスリーがデグナー2を抜けたあたりでクラッシュ。
ほかにもコースアウトするマシンが続々。
鈴鹿をよく知るガスリーでも足元をすくわれてしまう時がある。
やはり、タダでは済まない難しいコースです。

注目の角田は、FP1で全体5位のタイムをたたき出し、土日への期待が膨らみました。
プラクティスはマシンのセッティングしたり、パーツのテストやデータ収集に充てられる時間なので、タイムや順位はあまり参考にならない場合がありますが、それでもシングルフィニッシュは期待せざるを得ません。

9月23日。
昨日と打って変わってよく晴れた土曜。
FP3を経て、いよいよ予選です。

Q1。
フェルスタッペンがいきなり29秒台をたたき出す。
それに続くのはマクラーレンのノリス。

しかし、ウィリアムズのサージェントがシケインを抜けたところでクラッシュ。
最近あまり見ない類のクラッシュですが、シケインをうまくまとめられなかったのか、最終コーナーに差し掛かるところでリアが流れてバリアの餌食に。

半分の時間を残して赤旗が出されてセッションストップ。
残り9分でセッション再開。
となると最後のアタック目掛けてコース内がすごいトラフィック状態に。

上位はレッドブル、マクラーレン、フェラーリ。
そこに割って入るアルファタウリ!
角田が7番手タイムを出すと、返す刀でローソンが4番手に。

脱落したのは、グランプリウィークを自転車に乗りまくって過ごしたボッタス、前戦の欠場から復帰したストロール、ベテランのヒュルケンベルグと、同じアジア人として頑張ってほしかった周冠宇。
ハースとアルファロメオが下位に沈む展開に。

Q2。
上位の展開はQ1と変わらず。
ノリス、ピアストリがフェルスタッペンのすぐ後ろにつけるも、ルクレールがフェルスタッペンを上回った!

そして角田も地元で奮闘!
序盤に3番手につけるタイムをたたき出し、スタンドを沸かせる!
2回目のアタックでも7番手につけ、鈴鹿でQ3進出!
ローソンは一歩及ばず、アルファタウリは角田だけがQ3に臨むことになりました。

ここでの脱落はローソンと、同じく鈴鹿をよく知るガスリー、好調ウィリアムズのアルボン、歌舞伎町にも来てくれたオコン、そしてハースのマグヌッセン。

Q3。
やはり気を吐いたのはマクラーレン。
ルーキーのピアストリがノリスを抜いて2番手タイム。

フェラーリもマクラーレンのペースについていけず。
間にペレスを挟んで4位と6位。
その後ろからメルセデスの2台。

角田も頑張って上位を伺うも、最終的に9位。
それでも、鈴鹿優勝経験のあるアロンソの前!
大殊勲にスタンドのファンも大喜び!

しかし、別次元だったのがフェルスタッペン。
ピアストリに0.5秒も差をつけ、ひとり28秒台を叩き出して余裕のポール奪取。
これは明日も誰も適わないかもしれない…。

しかし、新人ピアストリがいきなりのフロントロウ。
マクラーレンが二人でどのような戦い方をするのかに注目。

そして角田は地元で躍動してくれるのか?
翌日も晴天の予報。遂にドライの白熱したレースが見られる!
明日の決勝に期待!

熱狂の鈴鹿は快晴!秋晴れの決勝レース

9月24日
いよいよ決勝の日。

最高の秋晴れ!
こんなに晴れた日の決勝は何年ぶりでしょうか?
やはりレースは晴れの日じゃないと!

コース上ではお昼頃からお馴染みのドライバーズパレード。
そしてレコノサンスラップを経て、各車ダミーグリッドへ。

セレモニーを前にサーキット上空に飛来したのは、なんと航空自衛隊ブルーインパルス!
レース前に各国の空軍がデモ飛行を行うのは恒例となっていますが、ブルーインパルスが日本GPのためにサーキットに現れたのは初めてかもしれません。
見事な空のパフォーマンスに、皆空を見上げます。

そしてオープニングセレモニーが始まります。
今年の国歌斉唱は、航空自衛隊航空中央音楽隊の森田早貴さん。
演奏は航空自衛隊 中部航空音楽隊の皆さん。

自衛隊のブラスバンドの演奏はトップクラス。
この日も素晴らしい演奏でした。
その演奏に合わせて凛々しく歌う森田さん。
最後の敬礼が凛々しい!

※森田早貴さんのポストより

どなたかのポストで見たのですが、中部航空音楽隊の皆さんは決勝に先立ち、グランドスタンド前でなんとあのF1のテーマソングを演奏したのだとか。
動画を見ましたが、すごい迫力!
これはグランドスタンドのお客さんは大興奮だったのではないでしょうか。

今年も盛りだくさんのセレモニーが終了し、スタートの時が近づきます。
ドライバーはマシンに乗り込み、メカニックたちがコース上から離れていよいよ、フォーメーションラップ。
昨日クラッシュしてしまったサージェントはピットスタート。
それ以外のマシンが一斉に走り出します。

前車特に問題なくコースを一周し、スターティンググリッドへ。
シグナルがオールレッドから…ブラックアウト!

※F1公式ポストより

スタートはフェルスタッペンがピアストリを押さえつけている間に、3番手ノリスがスーッと前に出る。
しかしトップスピードに勝るフェルスタッペンが簡単に並んで1コーナーへ。
2コーナーを回る頃には難なくトップに躍り出た!

その後ろの方ではアルファタウリの2台が熾烈なポジション争い。
スタートでローソンが角田より前に出るも、逆バンクで角田も食い下がる!
デグナーに向けて2台サイド・バイ・サイドの攻防!
序盤から火花をバチバチ散らす展開にスタンドも盛り上がる…けど、チームメイト同士序盤から激しくやり合ったら、共倒れになってしまう…とヒヤヒヤ。

しかし、ここでセーフティカー導入。
スタート直後、アルボンとボッタスが絡み、空力パーツのデブリがコース上に散乱してしまいました。
1週目から各車火花を散らすも、ここでチルアウト。
アルファタウリの2台も1周目からアクシデントに見舞われずに済みました。

同じくスタート時にハミルトンとぶつかったペレスがフロントウィングの翼端板を壊してしまい、SC中にフロントウィングを交換。
このクラッシュで課された5秒加算のペナルティを消化しての作業だったため、順位を大幅に落としてしまいます。

レースは5週目から再開。
各車一列に並んでクリーンに再スタート。

10周目。
ソフトタイヤでスタートした角田がピットへ。
後ろのマシンのアンダーカットを嫌って早めに動いた!
続いてローソンもピットに入ったため、角田が前へ。

12週目。
後方を走るペレスとマグヌッセンがスプーンで接触。
この接触でバーチャル・セーフティーカー導入なり、各車スローダウン。
ピアストリが動くも他車はステイアウト。

17周目には各車とも1回目のピットへ。
各車ともハードタイヤ。
タイヤに厳しい鈴鹿。各チーム少なくとも2回タイヤ交換する作戦。

その後、マシンの不調を訴えたペレスは15周目にリタイヤ。
ペレスにとって今年の鈴鹿は散々な結果に。
しかも、レッドブルにとってはコンストラクターズチャンピオンがかかる大事なレース。
フェルスタッペンと2台協力してしっかりポイントを獲らなければならないのに…。

その後レースはスムーズに進み、31周目にローソンがピットに入り2度目のタイヤ交換。
すぐに角田を入れるのか?と思いきや、チームは数周に渡ってステイアウトさせ、ローソンからだいぶ遅れてピットインを指示。
これで、ローソンが前に出る結果に。

結局、アルファタウリ勢はチームメイト同士の争いに。
角田は数週分タイヤがフレッシュになるので、終盤前に出られる可能性もあります。
しかし、ローソンも今は日本で戦う身。
鈴鹿でのレースは十分経験済みだし、来月末にはスーパーフォーミュラの天王山も控えます。
さらに、来年の去就は決まってしまいましたが、すこしでもいい成績を残してアピールしなければなりません。

その結果、角田はローソンを抜きあぐねる形になってしまいました。

40周目。
レッドブルが珍しい行動に。
レースが終盤に差し掛かろうとするタイミングでペレスをコースに復帰させ、1周走らせてピットイン。

序盤のマグヌッセンとの接触がペナルティの対象となり、5秒のタイム加算ペナルティが言い渡されていました。
直後にリタイヤしたため、ペナルティを次戦に持ち越せば、グリッド降格のペナルティになるかもしれません。

そこで一度コースへ復帰させ、5秒のペナルティを消化さてそのままリタイヤ。
長年F1を見ていますが、こんな光景は初めてかもしれません。

※F1公式ポストより

レース終盤。
メルセデスとフェラーリとの直接争いが激化。
ルクレールを前に出してしまったが、後ろから迫るサインツを押さえなければなりません。

チームはペースに勝るハミルトンを前に行かせ、ぴったり走るよう指示。
後ろから迫りくるサインツに対して2台揃ってDRSを使えば、サインツがDRSを使ってもうまくブロックできるはず。
しかし、なかなか前に出られないハミルトン。

49周目にようやくハミルトンを前に行かせたラッセル。
勝負は次の周。
目論み通り、サインツがラッセルに接近。
しかし、ラッセルとハミルトンのギャップがギリギリ。

なんとかDRSゾーンを1秒以内に駆け抜け、ラッセルもサインツもDRSをオープン。
しかし、タイヤが厳しいのか、ラッセルはサインツの敵ではなかった…
あっという間にラッセルを抜き去り、ハミルトンにも近づく。

あっさり抜いたサインツ「あれ、俺がやった戦略だよね?」
実は前戦のシンガポールGPでフェラーリが取った作戦でした。
フェラーリはうまく勝つことができましたが、メルセデスは大失敗。
タイヤが厳しかったのか、コミュニケーションミスだったのか…??

※F1公式ポストより

レースはすべてのセッションで敵なしの強さを見せたフェルスタッペンが余裕の勝利。

結果、フェルスタッペン一人でメルセデスの2台が獲得したポイントを上回ったため、残り6戦を残してレッドブルのコンストラクターズチャンピオンが確定。
今年も鈴鹿がタイトル決定の場となりました。

2位はノリス、3位はピアストリ。
マクラーレン勢が表彰台の両脇を固める結果となった。
この鈴鹿でしっかり速さを見せ、戦略もしっかり決まっていた。
2位以降のコンストラクターズ争いもこれからが見どころ。

日本GPはトロフィーもスペシャル。
「Kiss Me」と書かれた箇所にキスをすると、トロフィーが色鮮やかに光始めるというもの。
表彰台の頂上で与えられたトロフィーにフェルスタッペンがキスすると、その通りに輝きだした!これは面白い仕掛け。

※F1公式ポストより。
実際の映像を探したのですが見つからず…。
でも光るのは優勝トロフィーだけだったみたいです。

我らがアルファタウリは少々悔しい結果に。
結局最後までローソンを抜くことができなかった角田。
ローソンはレギュラードライバーの座を射止めることができず、悔しさをレースにぶつけた結果となりました。
二人ともがんばりましたが、前を走るアルピーヌはずっと前を走る事となり、ポイントには程遠い結果に。

かつてはホンダも「鈴鹿スペシャルエンジン」を投入して必勝体制で臨んだものですが、今はレギュレーションが変わってそういった事も出来ない状況。
せっかくの凱旋GPだけに今まで以上に頑張ってほしい気持ちもありますが、マシンがコースにフィットしなかったり、十分な力が発揮できなければ結果はついてこない。
残念ですが、こういったレースもあります。

※アルファタウリチームの公式ポストより。
残念な結果に終わった2023年鈴鹿でしたが、来年に期待!

さいごに

昨年は3年ぶりの日本GPとあって大いに盛り上がりましたが、今年はそれが少し落ち着いた印象でした。

それでも、3日間でのべ22万人が鈴鹿に訪れたのだとか。
これは、鈴鹿で日本GPが開催された80年代後半と同じような規模だそうです。
日本国内のF1の認知度はまだ少ない印象ですが、蓋を開ければこれだけの人が現地に訪れるのですから、いつもF1を盛り上げている日本のファンがしっかり支えている結果だと思います。私もいつかはゆっくり訪れたい…。

さて、どのグランプリも圧勝に次ぐ圧勝のレッドブル。
鈴鹿の地でコンストラクターズタイトルを決めてくれました。
創立75周年のホンダにとっても嬉しいタイトル決定でした。

その上で気になるのが、ドライバーズタイトルはいつ決定するのか?
次戦のカタールGPはスプリントがあるので、早ければ決勝を迎える前にタイトルが決まる可能性が高いとのこと。

タイトル決定をライブで見て盛り上がりたいですが、毎年恒例、地球の裏側でのGP開催で、見られるのは日本時間の早朝。
寝不足になるか、ものすごく早起きすることになるか?
皆さん、無理せず楽しんでくださいね。

最後に、これで鈴鹿の秋開催は終了。
来年からは4月開催となります。

89年、90年の伝説のセナ・プロ対決や、ライコネンの伝説の追い上げ優勝、中嶋悟の最後の雄姿や、亜久里、可夢偉の表彰台といった日本人ドライバーの活躍など、数々の素晴らしいレースを見せてくれました。

タイトル争いの天王山が見られなくなるのは残念ですが、気候変動の波には逆らうことができません。
台風がたくさん接近する秋より、温かくて桜舞う春に、今回のようなドライコンディションで素晴らしいレースを見せてほしいと思います。

約半年後になりますが、F1サーカス御一行様がやってくるのを、皆心よりお待ち申し上げております!

※タイトル画像はF1公式ポストより使用させていただきました。
本当によく晴れた、気持ちのいい天気でのレース。
来年の春にどんなレースを見せてくれるのか、今から楽しみですね。

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