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ゲワイだけじゃない!TM NETWORKの魅力と思い出を語る【前編】

TM NETWORKがデビュー40周年を迎えました。
本当におめでとうございます。

紆余曲折ありましたが、3人とも音楽活動を続けてきた結晶だと思います。
今でも元気にパフォーマンスしてくれることは、ファンにとっては嬉しい限りですね。

私も子供の頃に出会ってから、ずっと好きなアーティストです。
熱心に追い続けてきた訳ではないですが、曲が流れてくるとついつい口ずさんでしまいますし、音楽活動の中で残してきた数々のパフォーマンスや言葉は私の音楽活動にも大きく影響を与えてくれたと思っています。

今回は、そんなTM NETWORKの魅力について、私の思い出を思う存分語ろうと思います。
語りつくす勢いで書くので、かなり長くなってしまうかもしれませんが、楽しんでいただけると嬉しいです。


TM NETWORKとの出会い

最近「Get Wild」がやたら流行ったみたいですが、何でだろう?とずっと思っています。
恐らく「ゲワイ退勤」が大きな要因だと思うのですが、どういうムーヴメントだったのかイマイチよくわかりません。

第一、Get Wild自体、それはもう何百回と聞いていますからね。
私が子供の頃、夕方のアニメ再放送は決まって「ルパン」か「YAWARA!」か「シティーハンター」でしたから。

「Get Wild」はTM NETWORKの代名詞のようなヒット曲で、数々のバージョンが存在するほど。
そのすべてを聞いてきたわけですから、そりゃ何百回と聞くことになるわけです。
もう聞き飽きた感もありますが、それをわかっていてもライブで演ってくれると必ず盛り上がる。不思議な曲ですね。


さて、TM NETWORKについてはFANKSの皆さんには説明の必要もないことだと思いますが、「ゲワイ退勤」で知った若い皆さんのために改めてご紹介しましょう。

メンバーはこの3人。
宇都宮隆(Vo.)
木根尚登(Gt. Kb. Cho)
小室哲哉(Kb. Cho)

アマチュア時代、木根さんとウツ(宇都宮さん)は同じバンドを組んでいましたが、先生(小室さん)と木根さんも繋がっていました。

先生も木根さんもソングライターとして活躍しており、バンドとは別に、ボーカリストを立てて二人の曲を歌ってもらうプロジェクトを立ち上げる予定でした。
しかしうまくいかず、木根さんのアイデアでウツを呼ぶことになったそうです。

そんな経緯で3人が集結したわけですが、名前は「ネットワークと言う言葉を使いたい」という木根さんの案と、先生の「多摩」を使いたい、という案をまとめて「TM(タマ)NETWORK」という名前にしたのだとか。
※正式な呼び名は「ティーエム ネットワーク」です

サウンドはシンセサイザーを主に用い、歪みギターに頼らないダンスミュージック。
1983年に「1974」をコンテストで演奏して優勝。
その年にはEpicソニーと契約。

1984年にアルバム「Rainbow Rainbow」でデビュー。
「Get Wild」のようなクールなサウンドではなく、もっとポップで親しみやすいサウンドです。

ちなみに「FANKS(ファンクス)」とは、TM NETWORKをサポートするファンの総称。
楽しいの「FAN」と、「FUNK」をかけた造語です。
3人とも、この「FANKS」という言葉をとても大事にしてきました。


私が初めてTM NETWORKを知ったのは、1988年の紅白歌合戦。
その時演奏した「COME ON EVERYBODY」がカッコよくて、一発で気になってしまいました。

この曲は、「TM NETWORKのカッコよさ」がすべて詰まった曲じゃないでしょうか。

クールなダンスチューンなのですが、耳に残るのがハードなギターサウンド。
ダンサブルなサウンドやグルーヴィなリズムの中にギターサウンドが溶け込んでいて、よりクールさを演出しています。

この特徴的なギターを弾いているのが、松本孝弘さん。
この御方については説明の必要はありませんね。
後に「B’z」を立ち上げて日本の音楽シーンをけん引する存在になる方です。

TM NETWORKオフィシャルYoutubeより。
今見ると、若干レトロ感がありますね。
先生が弾いているのは、YAMAHAのシンセサイザー「EOS」。
懐かしいですね。

その後、友達からカセットテープを借りたのが、この曲が収録されている「CAROL」でした。


CAROL 〜A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991〜

今でもTM NETWORKを代表する大作。
CAROLという少女の冒険活劇がコンセプトのアルバム。
物語がアルバムの曲と共に展開されるだけでなく、数々のヒット曲も散りばめられています。

後にNHKでこの1枚を取り上げたドキュメンタリーが放送され、その番組も見ましたが、先生がロンドンの一室を借り、時間をかけて曲作りを行ったそうです。
レコーディングもイギリスのスタジオ。

ストーリーとコンセプトが最初から決まっていて、アルバムを通して総合芸術のような仕上がり。
ここまで壮大なアルバムは後にも先にもこの1枚のみだと思います。

オープニングの「A Day In The Girl’s Life」では壮大なサウンドの中に、次々と変わっていく曲調が魅力的。
ミディアムテンポのバラードからアルバムが始まるのが、それまでのTM NETWORKのイメージと大きく違う点ですが、今聴いても完成度が高く、彼らのイメージを全く損なわない仕上がりです。

「Chase In Labyrinth」は打って変わって軽快なリズムとキャッチーなメロディ。
今聴いても、80年代のサウンドとは思えない完成度。
メロディラインも先生のエッセンスが存分に感じられます。

「In The Forest」はダークなイメージの中に明るいメロディラインが特徴的。
物語のクライマックスを予感させる曲調はさすがです。
サビのコーラスが美しくて好きですね。

そして、物語のクライマックスを飾る「Just One Victory」。
ロックを強調した盛り上がれるダンスナンバー。
「Chase In Labyrinth」のメロディがリフレインで挿入されるところがユニーク。
サウンドメイクも、今流行りのシティポップを少し感じさせる仕上がりですね。
何度も聴いた曲ですが、今聴くと新たな発見もあります。

間に挟まれる「Carol's Theme」は、この物語の主題的なメロディを用いていて、サウンドトラック的な要素も感じさせられます。
ここは先生の大きなこだわりなのでしょう。


私が特に好きなのが、「Gia Corm Fillippo Dia (Devil’s Carnival)」。
「悪魔たちのお祭り」のタイトル通り、不気味さを持ちつつも軽快で楽しいダンスナンバーに仕上がっています。

フェスティバルですから、グルーヴが軽快でヒップ。
ドラムやコンガのリズムももちろんですが、ベースラインがこの曲の肝。
曲構成も凝っていて、メロディラインもサウンドも耳に残ってしまいます。
楽しさ満載の「邪悪なるエナジー」に引き込まれてしまう1曲です。

他にも、タイアップ曲はビッグタイトルばかり。

「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」のED「Beyond The Time」。
すべてのガンダムファンの心に残る1曲ですね。
イントロのサウンドを聴いただけで、アムロとシャアのあのラストシーンが思い浮かぶほど。
ガンダムの歴史に大きな影響を与えた1曲と言っても過言ではないでしょう。

映画「僕らの七日間戦争」の主題歌「Seven Days War」。
当時子供だった私の心にも残る名作のEDを飾る1曲。

子供たちだけの小さな反抗から始まった7日間。
彼らにとっては大冒険ですし、大人たちに一矢報いた物語は印象深かった。
当時ティーンエイジャーだった宮沢りえさんも可愛らしかったですね。

そんな物語をうまく歌詞に織り込んでいるのも素晴らしいですし、曲調も力強いビートの中に、心温まるメロディラインが印象的です。
さらに、この作品のサウンドトラックは先生が手掛けています。

壮大な物語と数々のヒット曲が収録された「CAROL」。
しかし、当時友達から借りたカセットテープは、何故か46分のものでした。
60分だったかな?
そのため、A面最後の「Beyond The Time」と、B面の「Just One Victory」の途中で途切れてしまっていました。

後でCDをレンタルし直して、ようやくこの2曲をフルで聴くことができましたが、その後に「Still Love Her」が収録されていたことを知らなかった!!
ものすごく驚いたことをよく覚えています。

カセットテープあるあるですね…
若い方は何のこっちゃわからないかもしれませんが…
「カセットテープあるある」はものすごく長い記事が書けそうなので、折を見て書いてみるのも面白いかもしれませんね。

Self Control

年代が逆行しますが、その後に友達から借りたのが、「Self Control」。
またもカセットテープで借りたのですが、CAROLに比べて収録時間数が短いので、今度はすべて聴くことができました。

※各曲には素敵な副題がついていますが、この記事では割愛します。
 読む方も長くなってしまって大変ですからね。

今振り返っても、すべてのアルバムの中で一番好きなアルバムです。

タイトル曲の「Self Control」は今でも燦然と輝くTMの代表曲のひとつですね。
クールな中にもおしゃれなサウンドが輝き、グルーヴもしっかりとしたリズムを聴かせてくれます。
何と言ってもサビの「Self Control」のヴォイスが印象的。
サビ後の旋律も美しく、先生の真骨頂ですね。

他にも、「Don't Let Me Cry」はマイナー調のクールなナンバー。
ロックなイメージですが、サウンドも洗練されていて、しっかりしたビートのダンスチューンです。

「Fighting」や「Time Passed Me By」のような聴かせる曲もあれば、「All-Right All-Night」や「Spanish Blue」のような軽快でキャッチーなフレーズとメロディの曲もあり、バラエティに富んでいます。

「Spanish Blue」はとても好きなナンバー。
サウンドはクールなのですが、スペインの情景が浮かぶ歌詞が秀逸。
初期のTMサウンドを支えた作詞家、小室みつ子さんの秀作ですね。

アルバムで一番好きなのが「Maria Club」。
インストの「Bang The Gong」の次に控えるオープニングソング。
軽快なリズムに乗って、ポップなメロディをウツが歌い上げる!

このメロディは本当に耳に残ります。
サビの「Go to Maria Club」「Do you know? Maria Club」という歌詞が本当に心躍る。
カセットテープは今みたいにタップひとつでスキップしたり、好きな曲をチョイスして聴くことができないですから、再生ボタンを押して最初にこの曲を聴くと本当にワクワクしましたね。

カセットテープで繰り返し聴いていた時期はまだ子供の頃。
まさかこの曲と同じ名前を冠したディスコがあったとは…
お恥ずかしい話、この曲について書こうといろいろ調べていたところで知りました。

※読売新聞の記事より。

Gift For FANKS

時は過ぎ、学校を卒業して社会人になったころ。
その頃知り合った友人に、先生抜きのTM NETWORKのライブがあると誘われました。

キーボードがACCESSの浅倉大介さんであることと、NHKホールで観たという記憶を頼りに調べてみると、観に行ったのは2003年の「TM NETWORK tribute LIVE 2003」ですね。
私が初めて生で観たTM NETWORKのステージでした。

「割と初期の曲も演るらしい」と聞いていたのですが、初期のアルバムはその時聴いていないものもありました。

でもライブを観に行くのであればちゃんと予習せねば。
そこでレンタルCD屋さんで借りたのが、初期のベスト盤「Gift For FANKS」。

※タイトル画像はこちらのジャケットを使用させていただきました。
アルバムタイトルを消すため、先生と木根さんが多少見切れてしまいましたが、ご容赦ください…

タイトルそのまんまのベスト盤。
なんせオープニングソングは「Get Wild」です。
実はこの曲、シングルのみの発売でオリジナルアルバムには収録されていないのです。

他の曲も主にシングルバージョンが収録されています。
「Your Song」や「Dragon the Festival」はこちらのバージョンのほうが好きですね。

「Rainbow Rainbow」もこのアルバムで知りました。
心地いいテンポのグルーヴは今でも好きな曲のひとつです。

ライブのセトリも調べましたが、このアルバムからは「Come On Lets Dance」や「1/2の助走」を演ってくれたようです。
その他の曲は知っている曲ばかりだし、結構いい席で見る事ができて楽しかった事を覚えています。

特に、ウツが急にフラメンコのポーズで手を叩いて始まった「SPANISH BLUE」は今でもよく覚えています。
一緒に行った友達と顔を合わせて「おお~っ!!」とびっくりしました。
なかなかライブでも演奏されないレアなタイトルですから、本当に嬉しかったですね。

ライブへの予習のつもりで聴いたアルバムですが、このアルバム自体を気に入ってしまい、何度も何度も聴きました。

さすがにこの時はカセットテープではなく、MDで聴いていましたけどね。MDも末期の頃だと思います。
この後、iPodの登場により、音楽はメモリプレイヤーで聴く時代に入っていきます。

アルバムが発表されたのが1987年。
でも2000年代にこのアルバムに出会い、ハマってしまった。
今でもこのアルバムを聴くと、通勤の時の風景とか、淡い恋の思い出が蘇りますね。

木根さんのバラードを聞き逃すな!

さて、アルバムタイトルに合わせて思い出を語ってきましたが、ここで木根さんのお話を。

木根さんと言えば、「しくじり先生」への出演が話題になった事がありましたね。
「木根尚登、実はギター弾けない説」が広まった時期の出演だったと記憶しています。

その内容は、「実はライブではギターを弾いていなかった」というものでした。
コアなファンにとっては周知の事実だったかもしれませんが、多くの人にとってその内容はショックだったと思います。

TM NETWORKのライブは、ライブステージとしても完成されていたもので、その中に様々な演出がありました。
クールなものもあれば、奇想天外なものまで。

木根さんはメンバーのひとりとして、その演出に深くかかわっていたのでした。
メンバーのサウンドチェック中に、近くの公園や駐車場で一生懸命竹馬の練習をしていた、というエピソードに思わず笑ってしまいましたけどね。

まぁ、TMのギターと言えば、初期は松本さん、その後は葛G(葛城哲哉さん)がお馴染みでしたからね。

でも、メンバーとしてビジュアル面でライブを「魅せる」には、当てぶりでもステージに上がる必要があります。
何よりギターを弾きながらヘッドセットマイクでコーラスを歌う木根さんの姿はカッコよかった。

しかし、ここで強調しておかねばならないのは、木根さんはギターが弾けないのではなく、弾いていなかっただけなのです。

ではTM NETWORKにおいて、木根さんの役割は何だったのか?

記事の冒頭に書いた通り、元々ソングライターだった先生と木根さんが共同でユニットを作る、というのがTMのルーツでした。
メジャーデビュー後もその関係は変わらず、木根さんは先生と並んでソングライターとしてTMの活動を支えました。

特筆すべきは、珠玉のバラード。
ここまで素敵なバラードを書けるソングライターは他にはいない、と断言できるほどです。

ゲワイでTMを知った若い皆さんにも、時代をも飛び越えるTM NETWORKの珠玉のバラードを聴いてほしいのです。

以下、私が大好きなバラードをご紹介します。

Telephone Line
アルバム「humansystem」に収録。
今や希少な機会となってしまったかもしれない、夜に好きな人に電話をかける、ということ。
その切なさを表現した歌詞が本当に素敵なのです。
彼女を想う主人公の姿から、部屋の窓から映る街の灯まで想像できる素晴らしい詞の世界観とメロディ、サウンドメイク。
胸を締め付けられるような、本当に素敵な曲です。


confession~告白~
「Gift for FANKS」にも収録されているこの曲は、初期の名曲のひとつ。
デジタルサウンドを前面に押し出したダンスチューンを数多くヒットさせたTM NETWORKにおいて、本当に正統派なバラード。
心地いいリズムと静かなサウンド。
アコースティックギターを使わずとも、ここまで落ち着いた曲を作ることができるのはさすが。

Fool On The Planet
「Self Control」に収録された、珠玉のバラード。
今でも本当に好きな曲だし、木根バラードの真骨頂だと思います。
歌詞の世界観もサウンドも壮大。それなのに聴くと心が温かくなる。
3/4拍子のリズムが心地よい気持ちにさせてくれるし、コーラスの音の重ね方、使い方も壮大なサウンドの大きな要素になっています。

Sill Love Her
木根さんのメロディ、と言うよりは先生のメロディですが、こちらでご紹介。(作曲のクレジットは共作になっています)
シティーハンター2のEDにもなったこの曲。
「CAROL」に収録されていたことを知らなかったエピソードを書きましたが、この曲はシティハンターのおかげでよく知っていましたし、もちろん大好きです。

「劇場版シティーハンター 新宿プライベートアイズ」のEDでも流れました。
映画館に見に行った時、シティーハンターのことが好きだった、亡くなった母のことを思い出して涙がこぼれました。

※公式Youtubeにライブバージョンがあったので、こちらをご紹介。

木根さんがセレクトしたバラードの数々は、「Naoto Kine Presents TMN BLUE」でも聴くことができます。

また、木根さん自身がアコースティック演奏で歌う「キネバラ」もオススメです。
このアルバムが発表された時は、思わず飛びつきましたね。

冒頭のTM NETWORK結成秘話は、木根さんが執筆した「電気じかけの預言者たち」に詳しく書かれています。
木根さんは作家としてもその才能をいかんなく発揮されています。
「CAROL」の小説版や、「ユンカース・カム・ヒア」等、著書も多数。

TM NETWORKのライブを観に行ったときに買ったパンフレットに、「電気じかけの…」の特別版が付いていて、夢中になって読むほど面白かった。
それで、「最初から読みたい!」と本屋を探しましたが、見つからず。
近所の大きなブックオフで、ハードカバー版を見つけて即購入しました。
当時はAmazonも電子書籍もなかったですからね。


つづきは後編で

主に初期のTM NETWORKのアルバムの中から、好きなアルバムを中心に思い出を語ってみました。
結構なボリュームになってしまいましたね。
お付き合いいただき、ありがとうございます。

しかし、まだ語り足りない!
TMNのことや、先日発売したトリビュートアルバムの事等々…

このまま書いていると長くなってしまうので、後編も書いてみようと思います。
引き続き、言葉で40周年をお祝い出来たらと思いますので、よろしくお願いします。

※後編はこちらから。


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