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【ショートショート】5.真実

【ショートショート】5.真実

武装した大柄な男、セシーリアの伯父である、
コンラードが家に現れた。

コンラード「マグヌス、大変だ!町が…」
マグヌス「町がどうしたんだ?!…お前、その姿…」

コンラードは体中、服も全て真っ黒く、汚れていた。

コンラード「沖にいた謎の船が突然、
燃え盛る弓の矢を町へ向けて大量に放ち、
港中が燃え出したんだ。」

その火が原因でコンラードの全身は煤に塗れていた。

マグヌス「なんだって?!」

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【ショートショート】4.大柄の男

【ショートショート】4.大柄の男

翌日の朝、セシーリアはいつもの様に
外から差し込む日差しを顔に浴び、目が覚めた。
食堂へ向かうとクラウスとホーガンが帰る支度をして、
マグヌスが見送ろうとしていた。

セシーリア「おはよう」
クラウス「おはようじゃないだろ?今起きたのかよ」
セシーリア「だっていつもこの時間に起きてるんだから普通でしょ」
クラウス「それがお前の言う普通なのか」
クラウスはクスッとセシーリアを見て笑った。

ホーガン

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【ショートショート】3.謎の船

【ショートショート】3.謎の船

セシーリアとクラウスが山にある、セシーリアの家に帰ると、
クラウスの父であるヴァイキングのホーガンがセシーリアの父、
マグヌスと酒を酌み交わしていた。

マグヌス「おおっ、セシーリア、帰って来たか。」
セシーリア「ただいま。明日のご飯が捕れたよ。」
マグヌス「そうか、ご苦労だったな。」
ホーガン「セシーリアは偉いな。それに引き換えうちの愚息は…
今日も港へ行っただけか?」
クラウス「親父、そんな簡

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【ショートショート】2.セシーリアとクラウス

【ショートショート】2.セシーリアとクラウス

10年の時が経ち、太陽が少しずつ昇る朝、
丘が見える岩山から遠くの町を眺める、
一筋の影が伸びていた。

セシーリア「モーディ…ゴー!」

セシーリアの掛け声と同時に岩山を
飛び出して行ったのは一匹の犬。
岩山の崖を駆け下り、何かを狙い走る。

セシーリアは犬の気配を見落とさないように
顔を空に向ける。
すると上空を旋回しながら飛ぶ鷲の姿が見えた。

犬が狙っていたのは一匹のウサギ。
犬はウサギを

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【ショートショート】1.少女セシィ

【ショートショート】1.少女セシィ

ここは北にある、とても寒い寒い小さな集落のある町。
そこには幼い少女と少年が駆け回って遊んでいた。

少年「ま、待ってよ、セシィ!」
少女「あははは。ラウノはいつも走るのが遅いんだから」

少女の名はセシーリア(セシィ)。幼馴染の少年、クラウス(ラウノ)とは、とても仲良しで、毎日クラウスのいる港へこっそりと行き、時には小さな丘を駆け回り、時には花を摘み、その花で冠を作り一緒に遊んでいた。

遊んで

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