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昼の月

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#蝉

蝉の亡骸

夜道

何か蹴った

歩幅と共に背後で鳴く

何することもできなくて

死を刻む音に別れを告げる

昼間にはあんなに力強い声も
段々と か弱くなり
日毎に亡骸は増えていく

8月のせいか
これが人間の屍だったのかと想う

夏に生き夏に死ぬ

涼やかな風

誰かの息吹が囁いた気がした

蝉のいない夏

土にポトリ

歩道にカラリ

数歩行けば植木の枝に

ひっそり形を残して去っている

子供の時分 夏が来ると

一体何匹いるんだってくらい

あちらこちらで鳴り響いていた

いまや耳を澄まさなければ通り過ぎてしまう

そのくらい蝉の音が減った

見渡せばビル マンション 道路 駐車場

アスファルトやコンクリートに

寝床を奪われた都会の夏

なんだか

寂しいなぁ。