蝉の亡骸

夜道

何か蹴った

歩幅と共に背後で鳴く

何することもできなくて

死を刻む音に別れを告げる


昼間にはあんなに力強い声も
段々と か弱くなり
日毎に亡骸は増えていく


8月のせいか
これが人間の屍だったのかと想う


夏に生き夏に死ぬ

涼やかな風 

誰かの息吹が囁いた気がした


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