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旅情に誘われて

ようやく冷たい空気がツンと鼻先を刺す季節になってきた。冬の澄み切った空は故郷に通ずるものがある。

大学2年生ももう時期終わろうとしている。大学生活という人生のモラトリアム期も既に終焉が迫ってきている。ここからは常識の範疇を出ないレールに載せられるがままに人生が通過していくのだろうか?そんなことを考えるといくばくかの寂寥の感が押し寄せてくる。

最近、とある目標を立てた。今年の春休みか夏休みを使って旅に出よう、と。行き先は特には決めていないが東南アジアかインドのあたりをゆったりと巡りたいと考えている。過去に2度ほど東南アジアに行ったことがある。喧騒の中にある人々の温かさが好きになった。人通りの激しい市場で感じられる生々しい人々の生活感が好きになった。路端から調子良さげに話しかけてくるトゥクトゥクの運転手や商人が愛おしい。お金はないかもしれないが、人々はみな幸せそうに見える。あの旅情が恋しい。


今回は1人で行くつもりだ。1人旅は他人に気を使う必要がないから、どこに行くにも何をするにも自由だ。その分の寂しさはあるが、それを忘れられるくらいの旅先での出逢いがあることを願ってやまない。

以前から旅への憧れのようなものがあった。それは星野道夫の「旅をする木」に影響を受けたからなのか、沢木耕太郎の「深夜特急」からか、祖父の影響で幼い頃から旅番組を好んで見ていたからなのだろうか、はっきりとしたことはわからない。でも、旅が好きなことはたしかだ。


旅は非日常を与えてくれる。日本の陰鬱とした空気感のない場所を求めて。気の赴くままに旅に出よう。乾いた風に身を委ねて。可愛げがないスコールに打たれて。砂漠のオアシスを求めて。ジャイサルメール、カオサン通り、サフラン色の風の中、ドロップキャンディーの雨...。


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