見出し画像

「みんなの資料作成Fes」に参加してみた

イベント概要

イベント名: みんなの資料作成Fes
開催日時: 2024年5月22日(水)13時~17時
参加費: 無料
配信形式: YouTube Live

テーマ: 美しい資料を作るためのデザインメソッド、人々の心を惹きつけるプレゼンテーションのノウハウ、伝わる文章作成術まで、資料作成の現場を劇的にアップグレードするノウハウが大集結。参加者はこのイベントを通じて、視覚的に魅力的で、効果的にメッセージを伝えるための技術を学ぶことができる。
主催者: 株式会社ウェブライダー。Web制作やデジタルマーケティングの分野で活躍する企業で、質の高いコンテンツ制作に定評がある。


プログラム

イベントは、10名の著名な講師がそれぞれ10分間のセッションを行う形で進行。プログラムは以下の通り。

引用:https://dtptransit.doorkeeper.jp/events/172475

印象に残ったセッション

いずれも素晴らしい内容だったが、特に印象に残った2つのセッションについて所感を述べる。

<セッション03
伝わりやすく美しい!スライド資料のデザインを洗練させる4つのコツ
講師:fuyunaさん

講師のfuyunaさんに関してはこの記事がおすすめなのでぜひ読んでほしい。最優先で覚えるべきデザインテクニックがわかりやすく解説されている。さらに記事内で紹介されている美しいスライドには「游ゴシック」が採用されているのでマネしやすい。

本セッションでは、スライド資料で重要なのは「伝えたいことをスッと理解してもらえること」とした上で、内容(誰に何を伝えるか)とデザイン(どうやって伝えるか)の2要素に分解できると説明。今回は時間の都合上、デザインにフォーカスして進められた。

fuyunaさんによると、資料デザインのコツは以下の4つ。

  1. 位置・大きさ・形を揃える

  2. メリハリをつける

  3. 余白を意識する

  4. イラスト・画像を使う

例えば「長文に中央揃えはNG」とか「画像の大きさを統一すると美しい」や「文字の大きさや太さにメリハリをつける」などのテクニックが紹介されていた。(このあたりは私のSNSでもお伝えしているので皆さん知ってくれているハズ)

特に学びになったのは「情報を詰め込みすぎると本当に伝えたいことが埋もれてしまう」という考え方。
誰しもが過去に一度は「伝えたいことを盛り込みすぎて、結局何が言いたいかわからない資料」を作った経験があるだろう。得てしてそういう時ほど膨大な時間を費やしており、努力に対する成果のショボさに枕を濡らすことになる。

今一度、皆さんがこれまで触れてきた「刺さるデザイン」や「伝わる資料」を思い返してみてほしい。いずれもシンプルで、無駄がなく、端的ではないだろうか。
もしかしたらそれは作者の思いを100%伝えるものではないかもしれない。けれども「100%を伝えようとして情報を盛り込みすぎた結果、30%しか伝わらない」なら、「60-70%をフルで伝える努力をした方が成果は最大化する」ような気がする。

私自身もスライド作成の依頼を請ける際、クライアントに対して原稿の情報量を削る提案をすることがある。
情報は増やすより減らす方が圧倒的に難しいため苦心することも多いが、デザインを綺麗にする技術のみでは今後スライドデザイナーとして生き残っていくことは困難であると考えている。


<セッション07>
なぜ資料は美しくあるべきか、資料における美しさとは何か
講師:荒砂 智之さん

今回一番興味深いセッションだった。
「資料は美しくあるべきか?」という問いに対して上手く言語化できる人はどれほどいるだろうか。私も日々SNSでスライド作りのコツを紹介しているが、改めて考えると難しいテーマだなと思う。

セッション冒頭、「そもそも美しさとは何か?」という根源的な問いに対して、美しさが脳の報酬系を刺激しポジティブな印象を与えるという脳科学の視点からアプローチ。つまり、プレゼン資料を美しくすることは、聴講者にポジティブな印象を与え、理解や決裁につながるということである。

次に、「資料における美しさとは?」という問いには表面的な美しさ(色やレイアウトなど視覚的な側面)と内面的な美しさ(伝える相手の理解やストリーなど評価的な側面)に二分できると説明。
表面的な美しさばかりを追う(=資料の見た目を整えるのに長々と時間を使う)と生産性が低下するし、そもそも資料では「芸術的な美しさ」は求められておらず、ある程度でOKと述べていた。

そして「なぜ見た目が美しくないとダメか」というと「見た目が雑だと内容に興味を持ってもらう前に信用できないと思われる」からである。
荒砂さんは具体的な事例として、「高血圧症の患者に高血圧に関する情報をネットで探してもらい、信頼できるサイトとできないサイトを見分けてもらう」実験結果を紹介。信頼できないと判断されたサイトに対する意見の83%が見た目の第一印象に基づくものであったことが、資料の美しさの重要性を裏付けていた。

最後に、資料を美しくするための考え方として、「資料を美しくする方法については20年以上、多くの書籍で変わらず語られている共通のメッセージがある」とした上で、それは「シンプルであること」と説明した。
途中でパワーポイントの歴史に触れつつ、「ツールの機能・表現に使われるのではなくメッセージを研ぎ澄ませ信用に至る美しさまで整えることが大切」と結論付けていた。

テーマ自体も非常に興味深いものだったが、何よりセッション自体のストーリーと資料が秀逸。
「美しさとは何か?」という漠然とした問いから、「資料作成における美しさの定義」や「表面的な美しさを確保する手法」の順に話を展開(抽象→具体)しており、かつそれぞれの主張に根拠(定量的なデータ)が添えられているため、非常に説得力のあるロジカルなプレゼンであった。

また、セッション内容を体現するかのように、スライドデザイン自体も非常に美しかった(この場で共有できないことが悔やまれる)


感想と学び

イベント全体を通して感じたのは、「シンプルにすること」の重要性である。
上記セッション07の荒砂さんをはじめ、セッション01の井水さんは「表やグラフにおいて、結論につながらない余分な情報は消す」と説明しており、セッション02のまこりーぬさんは「興味を惹く文章を作るには短くまとめることが大切」と述べ、セッション03のfuyunaさんは「とにかく情報量を削ることを意識している」と強調していた。
講師がみな一貫して「シンプル」を説いていたことから、無駄な情報を省き、要点を明確にすることがいかに重要かを再認識。

資料作成の真髄とは、「何を伝えないか選ぶこと」なのかもしれない。

この学びは資料作成だけでなく、会社の業務、SNSでの情報発信、就職活動の面接、日常のコミュニケーションなど、あらゆる場面において非常に役立つと感じた。
情報を削ぎ落とし、要点のみを伝えることで、メッセージがより伝わりやすくなる。優秀で結果を出す人ほどこれができている。


総括

平日開催ということで、なんとか仕事の都合をつけて参加した本イベント。総括すると、資料作成初心者から上級者まで、資料作成をするすべての人にお勧めできる有意義なイベントだった。アーカイブ配信があればぜひフォロワーさんにもおすすめしたい(情報出たら共有します)

明日から実践できるテクニックが豊富だったし、資料作成に対するプロの意見を聞いたことで新たな知見を得られたのは大きかった。

(自分への戒めでもあるが)発信者の増加に伴い、SNS上にはコピペしたような薄い情報ばかりが転がっている。

<情報の濃さ目安>
SNS < 書籍 ≦ セミナー(イベント) < コミュニティ < 個別コンサル

資料作成に限らず、本気で何かに取り組もうと思ったらあらゆるチャネルから情報を仕入れるべきだと思う。

もう1点、本イベントではパワーポイントの操作方法は全くといっていいほど紹介されなかった。それは1人10分という持ち時間の制限や、他のツールで資料作成する人への配慮もあるだろうが、1番は「資料作成においてパワポテクニックは本質ではない」からだと思う。

私がこんなことを言うと身も蓋もないが、SNSでバズりがちな派手なアニメーション、海外風のおしゃれな表紙、パワポとは思えないような緻密な図形などは、実際に現場で使われることはほとんどない。それらはあくまでも認知獲得・フォロワー増のための発信であり、半分エンタメとして捉えた方が良い。

もちろん表現の幅を増やすことは大切だし、パワポの効率的な操作方法を習得することは時短になり生産性向上につながる。
ただ、そればかりに固執してしまうと「資料は何かを伝えるために存在する」という本質を見失う。

資料作成・スライドデザインについて情報収集していると、どうしても「本来の目的」や「伸ばすべきスキル」を見失うことがある。
この記事を読んでくれた皆さんにはそうなってほしくないため、イベントレポートという形で私の考えを述べさせてもらった。

稚拙な文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。


最後に宣伝

筆者のSNSアカウントはこちら

パワーポイントテンプレート(計200枚)も販売中です。
(効率的に美しいスライドを作れるとの感想を多数いただいております!)


今後も資料作成に役立つ情報を発信していきますので、よかったらぜひフォローをお願いします!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?