愛猫の命

実家には昨年保護した愛猫が2匹いる。
うち1匹は、どうも目がよくないらしく、お医者にかかったところ手術が必要とのこと。

何かしらの不具合を予感していたものの、さすがに改めてお医者さんに指摘されると動揺するものだ。

手術代はなかなかのもので、徳嶋家総出で出し合うことになった。結果的に俺は33歳にして全財産がなくなったわけだが、却ってスッキリした感覚だ。どうせ俺がお金を貯めこんでいてもろくなことにはならない。

愛猫の目が良くなるならば安いものだ。

だが、事態はそう簡単なもんではない。

目の手術をすれば必ず良くなるわけではないらしいし、手術には全身麻酔が施されるので命の保証だってないわけだ。結局は愛猫自身の運と生命力にかかっているわけなのである。

来月の頭に彼女は入院し、1週間ほど1匹で、小さな身体で頑張るのだ。それを思うといたたまれない気持ちになる。

彼女に限った話ではないが、彼女ら兄弟は去年の今頃まで山に捨てられていたのだ。ようやく家が見つかり、食事の心配がなくなったと思ったら、今度は目の病の発覚だ。命がけの手術が控えている。

このまま死なせてなるものか。彼女は、兄と共に健康長寿で生涯を楽しく、幸せいっぱいに感じながら生きて生きて生きまくっていかなきゃならんのだ。

必ず生きて帰ってこい。

お前の先輩であるプラムは、同じく小さな身体で帰ってきた。そして、命の限りを尽くして、生き抜いて逝った。お前も必ず完治させて、必ず生きて帰ってこい。

帰ってきたらちゅーるパーティを開こう。バカみたいにいっぱいちゅーるやお前たちの好きなオヤツやごはんを用意して待っているから。

大丈夫。足りないなら俺の寿命全部やるから。ちっとは足しになるだろう。だから大丈夫だ。どんなに少なく見積もっても10年や20年はあるだろうから、それを全部やる。

プラムにやりたかったんだけど、アイツ受け取らずに逝きやがったから。余ってんだ。お前と、お前の兄ちゃんに全部やっから生きてくれ。頼む。生きてたら、まだまだ幸せなことがたくさんあるんだよ。

だからどうか生きて帰ってきてくれ。どうか頼むから。




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