見出し画像

【ショートショート】いちごシェイク

僕は春崎いちご、17歳。同級生の風知ふうちくんに片思い中なんだ。風知くんを見上げると、細面のマスクに涼しげな目がシューッとして、ふわ~吸い込まれそう。僕、背が低いから自然とキスをおねだりするポーズが出来ちゃう。きゃはっ。
そんな僕の自慢は、風知くんと同じ所にホクロがあること。左の親指の先っちょに3ミリ位のホクロがある。
「お?俺たち同じ所にホクロあるじゃん」
そうだよー。やっと気づいてくれた?
「どこどこ」
首を突っ込んで来るのは、同級生の寅川とらかわ。せっかく二人きりで話していたのに~。寅川ってのは顔もガタイも悪くないんだけど、いかんせん、頭がね~。風知くんの知的でクールな雰囲気とは大違い。話は女の子のことばかりだし。ここは男子校なんだからそんなツマンナイ話はメッ!だよ。寅川がやって来ると韮野にらのも来る。下品な冗談を言っている。俺なんてチンポにホクロあるぜとか。あ~あ、そんな話、風知くんに似合わないの!僕は後ろから風知くんを見つめる。せっかく見つけてもらった親指のホクロ、僕はそっと口に含んだ。
すると。
″あ~、寅川の話くだらね~″
うそ!?風知くんの声が頭の中に響いたんだ。
″授業始まっちゃうよ~。購買部でオレンジジュース買いたいのに~。あの三角のパックのやつ~″
これって風知くんの考えていることが読めているの?
僕は、おそるおそる風知くんに渡したんだ。教室に来る前に買っていたオレンジジュース。
「これ、あげる」
風知くんの顔が輝いた。
「あ、俺の好きな奴!この三角の!」
僕は親指の先をちょろっと舐める。
″朝飲むと調子でるんだ~、ビタミンC~″
「あ、朝、飲むと調子でるよね、ビ、ビタミンC」
「俺もいま、同じこと言おうとしてたの!や~気が合う~。やっぱいちごはいい奴だ」
それで僕の頭をポンポンしてくれたよ。僕は真っ赤になった顔をふせた。

どうやら風知ふうちくんを見ながらホクロを舐めると、心の中が読めるらしい。1時間目は世界史、ホシノ先生っていう33歳の男の先生だ。僕はななめ後ろの席から、風知くんを見ながら親指を口に入れた。
すると。
じゃーん、という感じで、真正面にホシノ先生が現れた。視界も風知くんの見ている物になるんだね。風知くんの席は教室の真ん中の列だからね。先生の細いたれ目の優しそうな顔が1ミリもぶれない。
″ねえ、ホシノ先生、どうして結婚しちゃったの~。俺、先生のこと好きだったんですよお″
え!えええ、え!?
″去年「化学部で作ったチョコレートです」って渡したでしょ、あれバレンタインのつもりだったんですよ、俺ホントは店で買って来たの。今度の修学旅行でも告白しようって決めていたのに~″
えー!
風知くんもこっちの人だったの?って言うかホシノ先生に恋していたなんて。
″なーんてね。俺、意気地なしだもん、告白なんて出来ないんだ。ねえ先生、つき合ってなんて言わないから、抱いて下さい。俺のこと包み込むように優しく抱いて下さい。抱いて下さいってハグだけじゃないですよ、ぜんぶする方ですよ″
僕は椅子からずり落ちそうだった。
でも目の前では、もっとすごいことが起こっていた。ホシノ先生のジャージの胸に風知くんがピトッてからだをくっつけていた。これって風知くんの想像も見られるの?
ホシノ先生の肉の薄いあごに、風知くんが顔を擦りつけている。
″初めての相手は先生がいいです、先生がいいんです、俺の初体験もらっちゃってください、先生のおっきくてすこし柔らかいアソコで俺のこと、はげしく・優しく……″
いきなり保健室になって二人でいそいそお洋服ぬがせっこしているよ~。優しくほほえんだ先生の顔が僕の視界にかぶさって薄いピンクの靄がひろがると、ちゅって音が……。
″…知らないから想像に限界があるんです……″
薄ピンクの靄の中から何度もチュッチュッて。僕はあわてて親指を口から出した。風知くん、勝手に中を覗いてゴメン!

男子って連れション好きだよね。
僕、苦手。でも付き合いだから一緒にトイレに行く。
何が苦手かっていうと、一番いやなのは男子ってオシッコしている最中に、プペッて痰を吐くでしょ。自分がオシッコ出しているアソコに向けて、口先をムニュウって丸めて、ポットンって落とすんだ。糸がツウーって口からお便器の中に伸びて、ばっちいよ。
3つ並んだ便器に、風知くん、寅川、韮野が用を足している。僕はわざと後にした。だって授業中にあんな声聞いて、あんな姿見ちゃったら、その、あのさ、まだアソコがピーンってなっているんだよね。横から見られたら困っちゃう。そう言えば、風知くんは連れションどう思っているのかな。僕は親指を口にくわえた。
視界が風知くんのそれになる。右側に寅川の顔があった。
寅川ってば顔をうつむけて、口先をムニュウって丸めている。あ、あ、汚い顔つきだなーって思っていたら、案の上、プペッて痰を吐いた。
すると。
風知くんが寅川の頭を鷲掴みにして、便器にぶち当てた。
「てっめー!なに痰吐いてんだよ!」
まだオシッコが残っている便器に寅川の顔を擦りつけると、鼻血が広がる。
「おれはそーゆー奴が大っ嫌いなんだよ!!」
王子様みたいなきれいな顔がオトコ般若に変身して、便器に首を突っ込んだ寅川のケツを蹴りつけて、オラオラオラ!お仕置きだぜ!ってベルトの金具がカチャカチャ鳴ってションベン臭い床にパンツが落ちると寅川の結構カワイイ子供みたいなおしりがむき出しで、風知くんの上着の内ポケットからバ~ンっと取り出したのは、何このボトル?何が入っているの?ボトルから透明な液体がとろーんって寅川のケツに垂れたのもつかの間、イクゼ!!ってオトコ般若で王子様のチンチンは矢鱈滅多ぶっとく長く、ずる剥けのアタマも王冠かぶったみたいに照り輝く見事なムラサキピンクなのに(風知くん、君のここホントにこうなの?)、ちゃんと洗ってもいないケツ穴にぶっこんだら、トイレごと大鬼に掴まれて振られてんじゃないかってくらい、二人が滅茶苦茶にゆれた、揺れた、ああ揺れた、「韮野!ぼーっと見てんじゃねえ!」「ハイ、殿下」韮野も鍛えたスジ筋の全裸姿で寅川の下に潜り込み三点責め、寅川は便器をなめながら「ごめんなさーい」「きもちいーか」「ごめんなさーい」「きもちーか」……なんか偏差値の低そうな会話。そんなこんなでも世の中変化はするもので、韮野のケツに寅川が挿入、寅川のケツに風知くんが挿入というトリプル連結の図になってアンアン合唱していたら(その前にローションのボトルを三人で貸し合いっこしていたよ。あ、これローションか)、なぜか隅に立っていた僕が「殿下、次の授業の時間です」苦しそうに歪んだ真っ赤な顔もかわいい風知くんに進言すると、「オーラ!種付けしてやるぜ!」今までの揺れもスゴかったけどそれより何倍も速い揺れになって、とうとう最後に「どーせ俺は童貞だよう!!」って叫んで三人いっぺんにいっちゃった。
で。
荒い息の風知くんは僕の頭をつかんで、寅川のケツに近づけた。ケツ肉を手で押し開いて「見ろ」。や~見たくないよ~、って思う割にはちゃんと見たら、ケツの割れ目の中でローションは白く泡立っていた。ローションって激しい揺れで泡立つんだね、で白っぽくなるんだね、ふ~ん。その中にうっすらピンク色の泡があった。「どうだ」「ハイ、今日もケツ穴がちゃんと切れて、ローションに血が滲んでいます」「そうか」え?ここで嬉しそうな顔?呆れた僕の口から親指がポロっと抜けた。

それからというもの。
僕は、寅川と韮野が痰を吐くたびに激しくセッカンする風知くんを見た。毎日こんなこと考えていたんだ、風知くん。寅川をセッカンする時は韮野と組んで、韮野の時は寅川と組むんだ。昨日なんか二人で帰っていたら、推定年齢35歳のニッカポッカを穿いたちょっと悪そうな、カッコイイ、けど風知くんの方がカッコイイお兄さんが、道にプペッてしたよ。風知くんてば「そーゆーことすんじゃねえよ!!」ってお兄さんのニッカポッカをひん剥いて自動販売機に手ぇ着かせて、バック攻めの折檻したよ、おしりと太腿がぱーん!ぱーん!って当たる音がさびれた駅の北口周辺に響き渡って、庭先のチワワがポカンとしていたさ。ニッカポッカのお兄さんてばオンナノコみたいに泣いていたさ。風知くんは下半身丸出しで「どーせ俺は童貞!!」気持ちよく絶叫さ。僕は何だかやりきれなかった。駅に着いたら風知くんは僕に、
「どうした?指なんかくわえて。赤ちゃんみたいだぞ」
年上みたいな言い方をする。
″そういういちごも、かわいいなー″
え?
「おっぱい欲しいのか?」
″オトコの、おっぱい″
ぶっ!
ほ、欲しいけど。風知くんのなら。

どうして?どうして風知くんは僕をセッカンの仲間にいれないの?僕の背が低くてちんちくりんだから?寅川や韮野みたいにガタイが良くないから?中学生に見えちゃうから?僕って不細工?ズルいよズルいよズルいよズルいよ!!!!
「おはよう、いちご」
今朝もさわやかな僕の王子様。
「はい、風知くんに上げる」
「あ、オレンジジュース。もらっていいの?」
「2つ買って来たんだ。飲もう」
寅川と韮野がやって来る。
「風知だけ?ずるいよ~」
お前たちの方がずっとズルいんだよ。
「美味しかったよ、いちご」
「ジュース飲んだら、オシッコしたくなったね」
「え?そうでもな…」
「トイレ行こう」
「あー、いいけど」
寅川と韮野も着いて来る。廊下を歩きながら、僕は口の中にツバを溜めた。便器は3つ。僕、風知くん、寅川の順。韮野は「おれ、出ないわ」と後ろに立っている。おちんちんの先っちょからオシッコが勢いよく出る。なんて汚い真っ黄色。風知くん、僕を嫌いになってね。今から僕は汚い男、そこいら辺にいっぱいいる汚い男の一人になるんだ。
オシッコの上で、痰をくちゅくちゅ鳴らす。
風知くん、行くよ。
見て。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?