見出し画像

コミュ力ゼロの編集者を変えた3つの言葉

人前で話すのって、緊張しますよね。
こんにちは、高橋ピクトです。
実用書の出版社で本の編集をしています。
 
学生時代から編集者の仕事について数年間、コミュ力がなくてとても苦労していました。たとえば、初対面の人と何を話せばいいかわかりませんでしたし、上司やクライアントなど、年齢が離れた人と対面するとひたすら緊張していました。
 
でも、今では打ち合わせで進行役をしたり、目上の方と話をする際にも世間話ができたりと、得意ではないですが、なんとかなっています。
 
ここまで至るまでには長い道のりがありましたが、コミュニケーションが下手な私の気持ちを変えてくれた、先輩編集者たちの3つの言葉を紹介します。
 
取材など、出版に関わる用語も出てきますが、何せコミュ力ゼロだった私の話。共感してくださる方もいるのではと思います。
 

人の話になんて質問していいか、わからない。
初めての取材で言われた一言。


忘れられないのは、編集者としての初取材。
とある企業の社員さんに「普段どういう仕事をしていますか?」と聞く、お仕事インタビューでした。
 
取材といっても、新人ですから同行するだけ。それなのに極度に緊張して何をしていいかわからず、とにかくスーツだけ着て(普段はTシャツにデニム)、先輩に同行しました。
 
新人ですから要領が悪く、他の仕事のことで手一杯。取材先の企業のこともろくに調べることができず、向う電車の中でプリントしたホームページを読もうとしましたが(当時はスマホなどなかったので)、まったく頭に入りません。
 
取材自体は、ライターさんや先輩編集者が的確な質問をして無事に終わりましたが、私自身はというと何も質問できず「高橋君はどう?」と言われたことは覚えていますが、何をしゃべったか覚えていません。
 
初取材で完全に自分を見失った私に、先輩が言ったのが、
「感想でもいいよ」ということでした。
 
「実際に相手の話が始まったら、自分の興味があるところに“面白いですね”とか、“私もそう思います”とか、感想を言うだけでいいよ」と言ってくれました。また「企業のホームページの内容を見るのはいいけど、全部見るんじゃなくて、基本情報だけおさえたら興味があるところを見るようにしよう。相手に自分なりの興味をもつことが大事だよ」と。
 
たしかに、それくらいならすぐにできます。
 
それを聞いてからは、取材や、歳の離れた人に会う時や、初めて人に会う時などでも、人に話を聞くのが楽になりました。無理に質問したり、気の利いたことをいうのではなく、その話の感想を言えばいいのですから。
 

無理すんな!雑談なんて、天気の話でいーよ!


次は、「雑談が苦手です」と言う私に、先輩がストレートに言ってくれた言葉です。気の利いたことなんていつも言えないし、もし言えたとしても相手が困るときがある。そんなことをするよりも、「天気の話」「最近、忙しいですか?」などのあたりさわりのない会話をするほうが、誰とでも話は広がるということでした。
 
「今日は暑いですねー」とか、「夜から大雨ですって。桜が散っちゃいますね」とか、なんてことないですが、誰でも関係があるテーマですから
確かにその場でする会話としては合っているし、何より楽だと思いました。
 
「最近、忙しいですか?」も便利ですよね。
たとえば、打ち合わせの前だとしたら、相手がどれくらい忙しいのか、どんな仕事をしているのかを聞けるのは都合が良いです。「家のことも大変で」なんて、ときにはプライベートの話も聞けたりしますから、そこから話が広がっていく可能性もあります。
 

話が盛り上がらない!
根暗を救った“なんてことない”一言


最後にご紹介するのは、最も自分を変えてくれた一言です。
 
編集の仕事にも慣れ、取材や打ち合わせもこなせるようになってきました。
でも、根本が根暗で話し下手なので、話が盛り上がりません。
 
そんなときに先輩に言われたのが「もっと、楽しんでいいよ」という一言。
 
その先輩は、打ち合わせや、会食のときもよく笑っている人でした。話をまとめるのも上手で、皆が楽しそうに話し合う場を作るのが得意。私に言ってくれたのが、「もっと感情を表に出してみたら」ということでした。
 
どうやら、仕事ということで、まじめに打ち合わせをしていたようで、笑顔が足りなかったんでしょうね。。。なんだか今思い出すと恥ずかしいです。
 
言われたその時は、半信半疑で、そんなことで何か変わるかなと思っていました。
でも、ニコニコと感情を表に出すだけで全然変わりました。仕事の近況報告を聞く時も「すごい!」とか「うらやましい!」とか、本音で気持ちを出して話すようになりましたし、雑談であっても、人が話すことに驚いたり、自分が褒められたら「嬉しい!」と喜んだり。悲しい体験を打ち明けてくれたら一緒に悲しみます。
 
そんなことをしていたら、相手も「この人はわかってくれる!」と思われたのか、どんどん話をしてくれるようになりました。自分も話しやすくなって、自然と会話が生まれ、会話が盛り上がるようになりました。個人的には、この気持ちの変化が一番大きかったように思います。
 
なんだかあたり前のことに聞こえますが、人前に話をすると緊張していた自分としては、それすらできていなかったんですね。
 
話すのはまだまだ得意ではないですが、先輩たちの適切な一言によって、コミュ力ゼロからは抜け出せたと思っています。あの頃、右も左もわからずに戸惑っていた私に気を遣って「初歩の初歩」のアドバイスをくれた先輩たちには本当に感謝しています。

#大切にしている教え

 文 高橋ピクト
生活実用書の編集者。『新しい腸の教科書』『コリと痛みの地図帳』などの健康書を中心に担当。「生活は冒険」がモットーで、楽しく生活することが趣味。ペンネームは街中のピクトグラムが好きなので。
記事を書いていて、当時の緊張がよみがえってきました苦笑。仕事でも、プライベートでも、当時は歳の離れた人と話すのがとても苦手だったんですが、今では80歳の方と二人でお昼ごはんを食べたりすることができるようになりました。
 

Twitter @rytk84

本づくりの舞台裏、コチラでも発信しています!​

Twitterシュッパン前夜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?