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編集者にもプロモーション力が求められる

「編集者が身につけておきたい15のスキル」の記事にて、実用書の編集者に求められるスキルとして、コミュニケーション力、キャッチコピー力、プレゼン力などを、それぞれ大まかにご紹介しました。

今回は、その中で「プロモーション力」についてご紹介します。

では、詳しく見ていきましょう。

書店数が大きく減っている

本屋さんの数が少なくなっています。

2003年度に2万店以上あった本屋さんが、2022年度末には1万1500店舗まで減っています。
近年の代表例としては、TSUTAYAさんでしょう。2021年〜2023年末までの3年間に300店以上も閉店しています。

じつは、書店の店舗数が減っているだけではありません。
残っている書店への来客数も減っています

○○書店の来客数が前年比90%、80%といった数字が、出版業界には転がっています。

これは、さまざまな「楽しい」ことが出現し、本を読む時間がなくなってきたためでしょう。
24時間をどのように使うか?
その選択肢が増えているため、本を読む時間が別のことをする時間に代わってしまっているのです。

最近では、動画サービスの充実が挙げられるでしょう。

これらは、本が読まれなくなったということだけでなく、
本との出会いに、一番大きな影響力を持っていた本屋さんへの来客が減っていることでもあります。

このような現実を受け入れ、次の手を考えなければなりません。

そのひとつが、別の場で本との出会いを創出することです。

そして、多くの人に本の存在を知っていただく場を作るには、プロモーションが必要になります。


編集者がプロモーションを行う

多くの出版社には、プロモーションを行っている部門があると思います。
本のプロモーションも、そこが行っています。

しかし、プロモーション部が実際に活動するのは、売れている本だけです。

出版社は毎年何冊もの本を刊行しています。

毎年1000冊以上、月に100冊以上の新刊を発売してような大手もあります。
中小の出版社でも、年間50冊以上の新刊を刊行しているところは少なくないでしょう。

これらに加えて、過去に出版された既刊もあります。

プロモーション部の人が、それらすべてについてPR活動をすることはできません。
つまり、PRしてもらえる本は少数ということです。

そして、プロモーション部に選ばれなければ、「ほとんどPRされない」ということになります。
実際、新刊のほとんどは選ばれず、「ほとんどPRされない本」となってしまいます。

そうすると、残るは編集者や著者、制作スタッフなど、本づくりに参加した人たちだけです。
これらの人がPRをしなければ、書店を訪れない人(つまり、ほとんどの人)には、本の存在を知っていただけません

本の存在を知らなければ、当然、読まれることもないのです。

ですから、PRのスタートは編集者(もしくは著者)となります。

編集者にプロモーション力が求められているのです。

以前、ベストセラーを多発されている編集者から「弾み車」のお話しを伺いました。

弾み車は最初が一番力を必要としますが、いったん動き出せば、その後は少しの力で動いていく、というお話しです。

最初に編集者が動く
そこで売れ始めれば、周囲の協力者が増え、ベストセラーになる可能性が出てくると教えてくださいました。

編集者にできるPR活動

では、どのようなPRをするかですが、次のような活動をよく目にします。
もちろん、いくつかは私も行っています(全部ではありませんが……)。

まず、編集部のSNSアカウントを活用する方法です。編集者が自分の担当書について発信しています。
出版したことをプレスリリースを配信するという方法もあるでしょう。
テレビやラジオ、雑誌などに献本するというのは、昔から行われているPR活動のひとつです。
Webメディアに、編集者自身が記事を書いて配信するという努力をしている方もいらっしゃいます。
「初版限定」を謳った特典をつけて、ネット書店で目立たせるという施策はよく目にするPR活動です。
ネット書店とSNSは親和性が高いですから、SNSで話題になる可能性が高くなります。

著者やスタッフの協力を得るのも編集者にできる活動でしょう。

SNSのファンをお持ちの著者に発信していただいたり、イラストレーターさんに発信いただいたりです。
著者に書店イベントに参加いただくのも、よくあるPR活動でしょう。
最近では、Webセミナーで著者にお話しいただくというケースを多数見ます。

これらのようなさまざまなPR活動を行って、本の存在を知っていただくということです。

リアル書店が減り、偶然の出会いが大幅に減った現在、このような行動によって、一人でも多くの読者に、本の存在を知っていただくのは大切です。

このようなことを行うのが編集者に必要なプロモーション力なのです。




文/ネバギブ編集ゴファン
実用書の編集者。ビジネス実用書を中心に、健康書、スポーツ実用書、語学書、料理本なども担当。編集方針は「初心者に徹底的にわかりやすく」。ペンネームは、本の質を上げるため、最後まであきらめないでベストを尽くす「ネバーギブアップ編集」と、大好きなテニス選手である「ゴファン選手」を合わせたもの。

本づくりの舞台裏、コチラでも発信しています!

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