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実用書の「わかりやすく」とは?

「わかりやすく」するときに、一番重要なことは?

「わかりやすい」本にするには、「メインターゲットはだれか?」を意識することが一番重要です。

とくに、その本のテーマについての「知識レベルをどこに置くか」。その知識レベルにあわせた本にする必要があります。

私が編集する実用書では、初心者や初級者が読者の中心。そのテーマについて、ほとんど知識を持っていない人が、想定するターゲット読者です。

そのテーマについて、初心者、初級者でも理解できるように、やさしく解説していくことを心がけていきます。


知らない言葉をどうするか?

初心者や初級者は、そのテーマについての素人です。

そのため、「専門用語」を知りません。
専門用語が出てきたときには、解説する必要があります。

専門用語を解説するときは、最初に登場した

 ①初出でしっかり解説
 ②初出で簡単に解説し、あとのページでしっかり解説する

の2パターンがあります。

この2つを組み合わせていくことで、初心者や初級者にも「わかりやすく」していきます。


重要な部分を一目瞭然に

「わかりやすく」するためのベーシックなテクニックとして「強調」があります。

強調によって、「大切な部分はここです!」と主張するのです。
強調は理解の助けになります。

また、実用書では、読者が必要なところだけを拾い読みするケースが少なくありません。

じつは、多くの読者にとって、丸々一冊の内容すべては必要ではないのが実用書の特徴のひとつ。それゆえ、必要でないところは読み飛ばされるか、拾い読みされます。

もちろん、興味のある項目、必要な項目は、しっかりと読んでいただけますが、そうでないところは読まれないのです。

そのようなケースでも、そのページに掲載されている大切な部分だけは読んでほしいと考えています。

そういったときにも、強調は役立ちます。


強調する箇所は、重要な「単語」だけのときもありますが、「文章」を強調することもあります。もちろん、両方とも使用するケースもあります。

使い分けはテーマとターゲット読者によって変わります。


強調には、さまざまな手法があります。

一番ポピュラーな方法は「太字」。ついで「文字を大きくする」「文字色を変える」でしょう。

これらはだれもが行っていることだと思います。


加えて、私は「繰り返し」をよく使います。

重要な部分を繰り返すことで読者の頭に残ってほしいと考え、活用しています。

初心者や初級者にとって、本に書かれていることの多くは、初めて得る知識です。

一般的な方は、初めて触れたモノを一度や二度、書かれただけでは頭に入りません。

何度も繰り返すことが、理解の助けになるのです。

記憶力の良い方でしたら、一度、記せば理解し、記憶することができるかもしれません。
そのような方でも、集中力が切れかかっているときに読まれた箇所は、頭に残らないと思います。

ようするに、記憶力の良い方にも、繰り返しは有効ということです。


「しつこさ」をどう考えるか?

専門用語の解説にしても、重要な部分の繰り返しにしても、何度も出てくると「しつこい」と感じるケースがあります。

端的に表現できるからこそ専門用語があるわけですから、専門用語を知っている方ならば、説明が入ると「まどろっこしく」感じてしまうでしょう。

繰り返しも同じです。
何度も何度も繰り返されると、「しつこい!」「わかっているよ!」と感じることが増えます。

ここをどのようなバランスで進めるかですが、このときに目安とするのもターゲット読者。
ただし、そのテーマに対する読者の知識レベルだけでなく、記憶力の良し悪しも関係します。

私の場合は、初心者向け、初級者向けの実用書を作ることがほとんどです。
そして、その読者は記憶力がいい方ばかりではないと考えています。

じつは、私は記憶力が良くありません。

数ページ前に書かれたことが「なんだったっけ?」と、思い出せないケースがちょくちょくあります。

そのため、繰り返しは「しつこい」とは思わず、「ありがたい」と感じます。

一方、私の覚えている専門用語が、再度、解説された場合は、軽く読み飛ばします。
ですから、繰り返しも気になりません。

本をつくるとき、「私と似たような考えの方は多い」と想定し、私は積極的に専門用語を解説する文章の挿入や、重要部分の繰り返しを使用しています。


図解は、初心者向け実用書の肝

文章だけでは、わかりにくいケース、理解しきれないケースは少なくありません。

「図解」はそれを補います。

イラストや図版、写真などを使用することが「わかりやすく」するのです。

実際、私が編集してきた実用書は、図解を多用しています。

ただし、図解も、どのようなモノにするかは常に考えています。
そのときも、想定ターゲットをイメージしながら行っています。


抽象と具体を行き来する

「わかりやすく」するときに、抽象的な話と具体的な話の両方を使うテクニックがあります。

抽象とは、多くの事柄から共通部分を抜き出すことですので、本質的な説明になります。抽象的な文章は本質を知らせることに役立つのです。

しかし、抽象的な表現だけでは、理解しきれないケースが多いのも事実。とくに、そのテーマの初心者、初級者にとって、抽象表現だけでは理解しきれません

それを補うのが具体的な話です。

「たとえば〜」で始まる具体的な話を活用することで、読者のイメージを助け、「わかりやすく」するのです。

この抽象と具体をバランスよく取り入れることで、初心者、初級者でも理解できるようになります。

上記が「わかりやすく」するとき、私が行っている編集作業です。

いかがでしたでしょうか。

文/ネバギブ編集ゴファン


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