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おおばしゅうの「言葉のおすそわけ」第2回


2022年春に過疎発祥の地である島根県益田市から、地元静岡県にUターンし、家業の会社(カネヤ工業)に入社し、営業・広報として働きながら、生き方に関するトークイベントを開いたり、農業を展開したり、静岡での暮らしや跡継ぎ、地域についてのあれこれを発信している おおばしゅうが、心の中で思っていたことや小さな気づき、残しておきたいことを自由に綴ります。

(ヘッダー画像(撮影):おおばしゅう)

ターニングスポット

人生の分岐点・転換点で使われる「ターニングポイント」があるように、
何かを決断しないといけないとき、迷っているときによく訪れる場所「ターニングスポット」という単語があってもいいと思う。検索して出てこなかったということは、使っている人がいたとしても少数なのかもしれない。

「あなたにとってのターニングポイントは?」と聞かれたら、
『LIXILを退職し、島根(益田)に移住したことです』と100%答えるだろう。

では、「ターニングスポットは?」と聞かれたら、『』と答えると思う。

海ならどこでもいいというわけではなく、人混みの少ない海。潮の香がほどよく、砂浜沿いを歩けたり、腰掛けるベンチがあったり。普段いろんな人と仕事をし、SNSでは同世代の日常や仕事の発信に心揺れることもあるからか、自然とひとりになれる場所を求めていた。

昨年のこの時期は、夕日が沈みかけた益田の海を見ながら、これから自分はどうしていこうかと毎日のように考えていた。親しい人ほど別れを言いづらいこともあり、思っていることを発せられない苦しみと向き合うため、海を眺めることが多かった気がするし、海は、肩書きとか所属とか、自分にのっかっているものを取り払い、自分が自分でいられる空間を作り出してくれる。

そして、波音を聞くと、なかなか踏み切れない自分から脱却しようとか、そういえば友達に言いすぎちゃったなとか、あの人は元気にしているだろうかとか、いろんな想像や意思表明が浮かぶ。返そうと思っていたけど、返す言葉が見当たらなかったSNSのメッセージも、海にいる間に返信しようってなるし、他人に優しく出来ていなかった自分を反省したりする。海というターニングスポットが、自分の人生のそばにいてくれて良かった。

今、2022年最大であり、人生振り返ってもベスト3に入るであろうターニングポイントを迎えている。でも、どの選択になろうと、自分の味方でいてくれると伝えてくれた友人や家族が自分にいるし、もし行き詰まったら、ターニングスポットとして自分を支えてくれた海にまた行けばいい。そう思えるだけで、明日を迎えるのが少しだけ楽になる。

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