イルカに乗るおっさん。
「人生やりたいことリスト100」を作成したことはあるだろうか??
死ぬまでにやりたいことを100個書いて、どんどん消していくやつだ。
作成してみたことがある人には分かると思うが、80個目あたりから急に思いつかなくなる。
そして、考えに考えた末に出てくるもの。
それが、
「イルカに乗りたい。」だ。
やりたいと言われれば、やりたいけど、上位には出てこない夢。
それが、
「イルカに乗りたい。」だ。
だから、この「イルカに乗りたい」という夢は特に意識しないと消せない夢なのだ。
去年6月半ば、おっさんから連絡があった。
このおっさんとは、前に一緒にサマーランドにも行った長田くんという同い歳のおっさんである。
彼が、急に「イルカに乗りたい」と言い出したのだ。
どこで?と聞くと、横浜の八景島シーパラダイスでイルカに乗れるらしいのだ。
僕は、一瞬胸が高まったが。冷静になった。
おっさん二人でイルカに乗って楽しいのか!?という不安が襲ってきたのだ。
横浜・八景島シーパラダイスの雰囲気を想像してほしい。
子供連れの家族で賑わう園内のど真ん中のプールで、はしゃいでイルカに乗るおっさん。
地獄絵図ではなかろうか。
しかも、イルカは頭が良い。
僕達がおっさんであることも容易に理解し、嫌悪感で多めに潮を吹くのではなかろうか。
だけど、決めるなら今しかないとも思った。
これから先、イルカに乗る時間を作れるかもわからないし、こんな風に軽いノリで誘ってくるおっさんも早々いない。
だけど、おっさん2人はなぁー…と悩んでると、僕が前に働いていた店舗のギャル風の女の子のスタッフが付いてきてくれることになった。
彼女は化粧で水がNGの為に、イルカには乗れない。
ギャルの宿命である。
だけど、1人ギャルがいるだけで、僕の心持ちは全然違った。
イルカと戯れるおっさんのシャッターを押してくれるだけでも周囲の目は違うだろう。
こうして、おっさん2人とギャル1人で八景島シーパラダイスへ行くことになった。
ダジャレをかます、長田のおっさん。
着くなり、早速イルカと触れ合えると噂の「ふれあいラグーン」という施設へと向った。
僕たちは、まずはイルカに乗るのではなく、イルカと触れ合える「イルカ・クジラとあそぼう!」というプログラムへと参加した。
専用の服に着替える、おっさんとギャル。
これはイルカと触れ合う前の1枚だ。なんとなく、ダルそうだ。この時までは・・。
このプログラムでは、3人共がイルカに触れ合った為にスマホを持って行けずに写真が1枚もないのが残念である。
しかし、どれだけイルカのポテンシャルに楽しませられたかは次の写真を見ればわかる。
おっさんがイルカのぬいぐるみを買っている
しかも小さめのやつ!!
ギャルはまだしも、小さいイルカを顔の近くまで持っていき、写真に映るさまは、通常のおっさんのやることではない。
初めてイルカに触れた感想は、イルカの皮膚は思ったよりも硬く、仮にヒレで殴られたら、即死するなと思った。
一方で、イルカは思ってた通りに賢いし、かわいい。
触れ合えただけで、こんなに可愛くて乗ったらどうなってしまうんだろう。
メインは、イルカに乗るこのプログラムだ。
イルカに乗れるというワクワクがある一方で、この写真のように、おっさん2人がはしゃげる自信はなかった。
ていうか、はしゃぐ気もなくて、男らしく、そしてクールに乗りたかった。
プログラムまで少し時間が空いてたので、水族館へと向かった。
イルカを手に持ち、クールぶるカジュアルおじさん
イルカを手に持ち、ブレる長田のおっさん
完全に脳内はイルカに侵されている。
そして、いよいよプログラムの時間がやってきた。
僕らはウェットスーツに着替えてイルカのいるプールへと向かった。
「クールにイルカを乗りこなすおっさん2人をしっかりと収めて欲しい。」
という気持ちを込めて、カメラ撮影を託した。
しかし、写真に映った自分達を見て驚いた。
思ってたよりも全然クールじゃなかった。
足に水を付けただけで笑う、おっさん。
イルカにキスされ、喜ぶおじさん
僕たちは、イルカと触れ合うことによって子供心を取り戻していたのだ。
見た目こそ、おっさんだが、その笑い方は子供のときの僕たちだった。
お遊びはここまでだ。いよいよ、イルカに乗る。
夢が現実になろうとするとき、不安が生まれる。
(イルカは同じ哺乳類だ。もし自分がイルカだったら、おっさんを乗せたいだろうか。無事にぼくたちはイルカと1つになれるのだろうか。)
不安で、とつぜん真顔のおっさん
トレーナーから、イルカに乗るときの注意点をしっかりと説明された。
そして、僕達のドリームライドが始まった
気持ち悪いくらいの笑顔だ。
イルカが僕たちを受け入れてくれた安堵と、夢が叶った嬉しさの余り、写真では見せたことのないくらいの眩しい笑顔。
カメラマンの撮影も完璧だった。
そして、イルカと涙のお別れして、着換え、園を出ようとしたら、僕たちがイルカと写る写真が目に入ってきた。
これは、遊園地とかでよくあるイカサマ商法だ!
ジェットコースターで、落ちる瞬間の絶叫している写真が番号付きで並べられてるやつ!!
こちらの許可を一切取らず、
カメラの位置さえ知らせず、
向こうのタイミングで写真を撮られ、
少しばかりのオシャレな額に入れて、
高値で取引きを仕掛けてくるゲスいやつ!!
2人共、速攻買いましたね。
まるで、嫌がる孫に無理やり近づいて写真を撮るおっさんだ。
むしろ、こんな貴重な写真を撮ってくれて園内の人にはお礼を言いたい。
こうして、「イルカに乗る」という人生のやりたいことリストの一つを無事に叶えたのだった。
帰りの飲み屋でもイルカを離さない、イルカ麻痺したおっさん達であった。
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