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新宿と、バス。

「これが、東京やで」

肌寒い早朝、深夜バスに揺られ、初めて降り立った東京の街は「新宿」でした。何度か東京に来たことがある友人と一緒だったのですが、彼が西口の高層ビル群を背に、誇らしげにそう言っていたのを今もよく覚えています。

地方と言っても大阪のわりと都会で育った自分にとっては、「うわぁ~これが東京かぁ!」みたいな感動は、正直ありませんでした。

でも、僕が知っている大阪の都会とは、やっぱり違います。東京の都会は、今まで見たどの街よりもシュッとしていました(洗練されていました)。

何階建てかわからないぐらい高いビルもカッコよく思えたし、聞きなれない標準語も新鮮だったし、歩いている女の子だって全員かわいく見えました。

あれから十数年が経って、いろいろ変わりました。「これが、東京やで」って誇らしげだった友達は地元に帰って行ったし、高いビルでも働いたし、自分も標準語になったし、女の子は…今も全員かわいいと思います。たぶん。

新宿は面白い街です。

いろんな人が集まっています。僕みたいな上京者、生まれも育ちも東京のシティボーイ&ガール、高層ビルで働くビジネスマン、歌舞伎町のホストやキャバ嬢、買い物にやってくる若者、御苑を散歩しにくるお年寄り、観光でやってきた外国人……ほんと、ごちゃまぜ。

そんなごちゃまぜな人たちが、いろんな想いを胸に新宿の街を歩いています。

街をカメラで撮って歩いていると、ごちゃまぜ感がひしひしと伝わってきます。

楽しそうな人、不機嫌そうな人、急いでる人、路肩に座っている人、みんなファインダー越しにいろんな表情をみせてくれます。

同じ新宿でもエリアによって、ぜんぜん違う顔をみせてくれるのもいいところです。アジア最大の歓楽街がある東口、高層ビルが建ち並ぶビジネス街の西口、最近ちょっとオシャレになりつつある南口。

ほんと、朝から晩まで撮っていても飽きがこない面白い街です。

ついこないだ新宿でバスに乗ったとき、後ろに座った観光客らしきカップルが「新宿って初めて来たけど、なんかガヤガヤしてて落ち着かないわ~」って話していました。

心の中で、こう思いました。

「これが、東京だよ」

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