LayerXがML(機械学習)やデータを活用して解決したい課題

お世話になっております、ソフトウェア技術でハタラクをバクラクにしたい、高際と申します。LayerXでは現在AI-OCRの開発責任者を担当しています。

先日、LayerXはML(機械学習)に本気で取り組みます。組織を10倍に拡大しますという宣言をしました。

上記noteでは、なぜ今MLに投資するのかについて説明しました。
本noteでは、MLを使ってLayerXは何をしようとしているのか解説したいと思います。

受け取り請求書の処理業務における課題

経理は多様な業務を抱えていますが、その中の一つに受け取った請求書の処理があります。何をするかというと大雑把に以下3つの作業があります。

  1. 支払ってよいか社内確認

  2. 請求書の通り適切に支払う

  3. 会計帳簿への記帳

来た請求書をノーチェックで払うと不正の温床になるので、支払ってよいか社内確認 (1) が必要で大変。支出のタイミングはなるべく遅くしたいものの、請求書ごとに支払期限が異なる (2) ので管理が大変。企業会計原則を守るため、費用が発生した時点で会計帳簿への記帳 (3) が必要で大変、という感じです。

これらの課題を解決するために、バクラク請求書バクラク申請といったプロダクトが開発されました。

  1. 支払ってよいか社内確認 → バクラク申請が解決

  2. 請求書の通り適切に支払う → バクラク請求書が解決

  3. 会計帳簿への記帳 → バクラク請求書が解決

中でもバクラク請求書、バクラク申請が備えるAI-OCR機能は、業務の入り口である文書の読み取りをラクにしてくれます。

請求書のフォーマットは多様で、ほとんどの企業は独自の請求書フォーマットを使用しているためです。

経理のもとには月末に大量の請求書が届きますが、フォーマットの異なる請求書を一つ一つ閲覧し、いつまでに、いくらの金額を、誰に、どんな支払方法で、もし銀行振込なら銀行名・支店名・口座番号は何か、といった情報を読み取らなければなりません。非常に煩雑で時間もかかるし、ミスも発生しやすい業務です。

これを解決するのが請求書OCRによる自動読み取り機能です。

バクラク請求書に1年間取り組んだ結果

ちょうど1年前の2021年1月、LayerXから初の自社プロダクトであるバクラク請求書(旧「LayerX インボイス」)がリリースされました。

また、明日からテレビCMも放送開始します。

この1年間、機械学習の専門家もいない中で手探りでOCR機能を開発してきました。愚直に大量の請求書と向き合い、精度改善やエラーハンドリング、負荷分散といった課題に取り組んできました。ほぼ毎週のようにアップデートをしてきました。

リリース前には私一人で開発していたOCRも、1年経った今では5人チームで開発するようになりました。

その結果、お客様からも嬉しい声をいただけるようになりました。
(以下、導入事例から引用)

こういった声を聞いた瞬間は本当に嬉しかったですし、努力が報われた気持ちになりました。一方でまだ改善の余地があることも分かっているため、もっと頑張らねばという気持ちになりました。

第3のプロダクト

LayerXからはバクラク請求書、バクラク申請だけでなく、バクラク電子帳簿保存という第3のプロダクトも出しています。

バクラク電子帳簿保存では「無料で」あらゆる国税関係書類を管理することができ、請求書以外の帳票(領収書、発注書、見積書など)もアップロードされてます。

そのため、請求書以外の帳票を読み取る新たなOCRも開発しました。また、帳票の仕分け(分類)を行うAIも開発しました。

今後の課題と(MLに限らず)実現したいこと

まずは請求書OCRのさらなる磨き込みに集中します。現在のOCRでも顧客満足度は高いですが、現在よりも高精度かつ高速に動作するOCRを開発します。

別の観点では、請求書受け取り業務における作業3つ目で紹介した記帳業務における、仕訳の自動生成の強化も考えています。特に、請求明細から勘定科目・補助科目・部門等を自動入力補完するなど、より高度な仕訳の自動生成を実現したいです。

また、どんな問題も精度100%で解くことはできないため、失敗した場合にもラクに業務を進行できるようなUXの設計・実装にも注力したいです。

決済事業も始まるため、そこからも機械学習が解決する課題がたくさん出てくるでしょう。

これらと並行してデータ周りの整備も進めます。

すでに請求書OCRの開発に必要なデータは整理されていますが、マーケティングツール、営業管理システム、問い合わせ管理システム、Google Analytics、顧客行動ログ、プロダクトのデータベース等々、あらゆるデータを統合して分析できるデータ基盤も整備していきます。

こうしたデータ基盤が完成すると、機械学習モデルの開発に利用するだけでなく、より深い顧客データ分析が可能になります。(データが統合されてないと、Salesforceと顧客行動ログを結合した分析などが煩雑になる)

営業アクティビティと顧客データの分析を行うことで、より最適な提案につながるインサイトが得られるかもしれません。機能別の顧客行動分析から、機能開発や改善のロードマップ策定が支援できるかもしれません。

データサイエンスという観点では、我々の提供するプロダクトが本当に顧客の課題を解決できているのか、マジ価値*に繋がっているのかも見ていくべきでしょう。例えば、顧客の手作業が減っているのか、作業時間が減っているかどうかといった観点がありそうです。

*マジ価値とは、freeeさんが提唱する「本質的(マジ)で価値ある:ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする」ことを言います

まとめ

ということで、MLを使って解決したい課題、データを活用して実現したいことを解説してきました。

LayerXは本気でMLに取り組みますと宣言しました。今の10倍規模で投資していきます。解くべき課題は山積みで、事業もどんどん広がっていきます。

MLエンジニアだけでなくデータサイエンティスト、データアナリスト、データエンジニア、ソフトウェアエンジニアといった幅広い職種で募集しております。皆様、ぜひLayerXをよろしくお願いします!

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