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映画感想書き殴りメモ「サムライ・セールスマン(1992年)」※ネタバレあり

結構前に観た短編映画の感想を書き殴ったものが発掘されたので記録として載せてみるテスト。

カルト的なB~C級映画だと期待して観たら思いのほか琴線に触れてしまいそのまま一気に書き殴ったのを覚えている。
個人的には間違いなく名作。学生が作った低予算カルト映画のくくりで埋もれさせるにはもったいなさすぎる。

あ、ネタバレありですので嫌な方は回れ右お願いします。











【あらすじ】
主人公は日本人営業マンのケン・ヤグチ。国際ビジネスマンとなり、カッコいいスポーツカーを乗り回し、かわいい女の子に囲まれてリッチな生活を送る事を目標にしてきた。母子を日本に残し単身LAに渡り、玩具の飛び込み営業を行うが、ビジネスは芳しくない。そんな時、ビーチで赤いスポーツカー(ユーノスロードスター)に乗る不思議な女性と出会い・・・
 
【主人公の思いの変遷について】
幼い頃の「カッコいいスポーツカー」への純粋な憧れを抱いたまま、それ以外の「世間一般で道徳上大事とされている何か」を取りこぼして大人になってしまった自分に薄々気付いている。本当は勉強をほっぽり出して友達と遊んだり、趣味を見つけて没頭したり、くだらない事したりしたかったが、そういったあらゆるものや家族との平穏な時間を犠牲にしてきた結果得た「LAで就労している自分」というアイデンティティを今更否定できず、心の拠り所としている。
「20階建てのおもちゃ屋を作るんだ!」という夢はある意味嘘である意味本心だと思う。できるわけがないと本当はわかっているが、その思いは幼い頃のミニカーへの憧れから発露している。
見知らぬ女性から結婚を持ちかけられてOKする危うさは、「エスケイプ・フロム・トゥモロー」の主人公と同様の危うさ・自暴自棄を感じさせる。
ラストシーンのビーチで狂喜乱舞する様は、呪いと言えるアイデンティティが崩壊した事に対する喜びと悲しみが入り混じった感情の発露で、美しさすら感じるシーンだった。
 
【私的感想】
最初から最後まで、LAに渡った事も含めて、仕事に疲れたビジネスマンの妄想とも解釈できる問題作。冒頭、刀を素振りする主人公は狂人にすら見える。
「けん玉の飛び込み営業」が仕事として惨めなものとして描かれているが、そういう捉え方もいかがなものかと疑問を投げかけられている気もする。結局の所、どんな自分になりたいのか、どんな人がえらいのか、どんな仕事が立派なのか、自分の中で基準を作って拠り所にするのはいいけど、それは恐ろしく脆いものなんですよという事だろうか。
 
【つっこみ所や雑感など】
・刀がアルミ箔貼ってそうなしょぼいつくりなのが狂人感に拍車をかける。
・主人公の色黒さから、かなり長くLAに滞在してるんだろうなーと思った。
・LAのダウンタウンってそんな見てて盛り上がるような所だろうか?
・ジュディそこ泣く所か?と思ったがあれはジュディも含めヤグチの妄想で、自分の根底にある純粋な憧れに気付いたから自分が泣きたいのを投影したのだ、と解釈してます。

んんんー色々勝手に書いたけど解釈違ったらごめんなさい長土居監督!

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