見出し画像

ナイキ、アディダス、ニューバランス──ブランドスニーカーの色に隠された心理学【クーリエ・ジャポンからの抜粋-Vol.67】

アクアブルーと強烈なライム色、そして葡萄のような深い紫。これらは「アディダス」「リーボック」「ニューバランス」の新しい配色であり、こうした色の不調和は意図的に生み出されたものだ。

スニーカー・カルチャーの時代において、一番人気かつレアで、誰もが欲しいと思う一足を生み出す競争は、かつてないほど苛烈を極めている。

そうしたなか、行き交う人々の流れを止めるのは、さまざまな色が強烈に衝突しているスニーカーだ。その結果、メーカーは昔からある技法、つまり色彩理論をますます巧みに駆使するようになっている。

色で消費者の感情を揺さぶる

色と感情の関連性は、カール・ユングによる色彩を使った人格特性の分類から、飴の色が味の感じ方にどう影響するかを評価するフォーカスグループにいたるまで、何世紀にもわたって研究されてきた。

スニーカーブランドには、犯罪現場のような刺激的なビジュアルを作り出すだけでなく、わずかな色の違いを操ることを専門とした部署がある。こうした部署の使命は、消費者に感情を呼び起こし、ビジネスを加速させることだ。

そのため、多くのブランドの主力製品は基本形にとどまっている。その一方で、絶えず人々の心を揺さぶり興奮状態を促進するのが、欲望を生む潜在意識に働きかけてくる限定版コレクションだ。

1000エピソード鑑賞して研究

何度も見せることはカラー・ゲームに勝つ手段だ。ボルトカラーを見ると後退りしてしまうかもしれないが、必ず「ナイキ」が頭に浮かぶ。

これはブランドマーケティングの見本ともいえる。ナイキの副社長でクリエイティブディレクターのマーサ・ムーアはこう説明する。

そして、私たちが生活の大部分をオンラインで過ごすようになって1年がたった今、ピクセルの配色はこれまでになく重要となった。

プーマのグローバル・クリエイティブ・ディレクター、ハイコ・デセンスによれば、微調整したパステルカラーや強烈な黄色には、とくに肯定的な反応が寄せられているという。

夜8時のインスタ映え

だが明らかなものを除けば、我々と色の関係は複雑で個人的なものだ。慎重に選ばれ組み合わされたこうしたスニーカーの色やデザインを、面白い、めちゃくちゃだ、あるいは単にかわいいと思う人もいれば、どこか詩的で、深遠なものと感じる人もいる。そこが色彩理論の奥深いところだ。

ナイキのムーアは、色を決めるときに制作するムードボードには、映画が大きな影響を与えているという。

それから、プーマのミラージュテックは、DJが使うハードウェアのデジタルディスプレイを思わせるように、意図的にさまざまな時代の色をぶつけあっている。

だから何を履くかということを考えるとき、色彩理論はこれまでになく重要になるのだ。

イベント参加はこちらから。

https://peatix.com/group/7228383




サポート頂いた方には勉強会を無料でご招待します!