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アマゾンはショッピングモールに続いてレストランも苦しめている…その高い賃金が、飲食業界の人材不足の一因に(Business Insider からの抜粋 Vol.1)

アマゾンは長い間、アメリカの市場に破壊的な影響を与えてきた。同社はオンラインでの低価格販売によって、書籍チェーン店のボーダーズ(Borders)や家電量販店のサーキットシティ(Circuit City)といった小売チェーンやショッピングモールの消滅を招いたとして非難された。そして今、同社は飲食業界からの労働力を吸収しつつある。

アメリカ政府のデータによると、COVID-19のパンデミックが発生してから、飲食業界は1060万人の労働者の半分以上にあたる590万人を一時解雇せざるを得なかった。

その一方で、アマゾンは配送センターの人員を50%増加させるなど、積極的に採用活動を行っていた。同社は2021年5月13日、アメリカとカナダの配送センターや輸送部門で、さらに7万5000人の労働者を雇用すると発表した。

パンデミックをきっかけに、飲食業界の労働者はアマゾンなどの企業に群がるようになった。2020年の春、グラスドアのサイト上で、飲食業界の労働者が「アマゾン」と検索する回数が600%以上増加し、「倉庫」と検索する回数も200%以上増加した。

飲食店での仕事はますます魅力がなくなってきている

アマゾンの時給は17ドル(約1860円)から始まるが、最低賃金レベルから始まるレストランでは7.25ドル(約790円)からとなっている。

フロリダ州マイアミのシェフ、フィル・ブライアント(Phil Bryant)がワシントンポストに語ったところによると、アマゾンが高給であるため、多くの飲食店従業員が自分のキャリアについて考え直さざるを得なくなったという。

彼のかつての同僚の多くが「アマゾンの倉庫なら時給17ドル稼げるのに、コックの仕事は暑くてストレスが多く、激務である上に、時給はわずか14ドル。それでもコックをやるというのか?」と自問しているという。

人手不足は問題をさらに悪化させ、飲食業界での仕事をさらに過酷なものにしている。

人手不足を補うために、従業員は追加のシフトや余分な仕事を押し付けられているのだ。NPOワン・フェア・ウェイジ(One Fair Wage)の最近の調査によると、レストラン従業員の半数以上が、賃金の低さや、別の就業機会を得たいことを理由に辞めようとしていることが明らかとなった。

多くのフードチェーンが、アマゾンに対抗してインセンティブを用意している

5月10日、チポトレ(Chipotle)は、6月までに平均時給を現在の13ドルから15ドルに引き上げると発表した。

しかしそれでも、アマゾンが時給を上げ続けているため、飲食店はそのような企業との競争に苦戦している。アマゾンは4月、新入社員への支出を10億ドル(約1090億円)増やし、50万人以上いる時給制従業員の賃金を引き上げた。

5月13日には、配送センターや輸送部門の新規従業員7万5000人のスタート時給をそれまでの15ドルから17ドルに引き上げ、さらに最大1000ドルの契約ボーナスを支給すると発表した。

アメリカ政府のデータによると、レストランやバーの従業員はパンデミック以前と比べて160万人減少(約15%減)している。この労働力不足のため、飲食業界がパンデミック以前の水準に戻ることは、当分の間ないだろうと、グラスドアの研究員は述べている。

「パンデミックは、アメリカの労働市場に永遠に消えない爪痕を残すだろう。飲食業界とこれまで飲食業界で働いていた人材が行き着いた業界にとって、採用環境はこれまでとは大きく異なったものになるだろう」

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