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世界幸福度レポート2020を眺めて(初見)①

「幸福な人の方が、より独創的で、より生産的なのです」(ダニエル・ギルバート)

コロナであまり目立っていませんでしたが「世界幸福度レポート2020」が出ていたので、さらっと眺めてみました。

今回は都市と農村、SDGsという時代的背景も意識した統計となっていて、今後の日本の在り方や、こうしたローカルで活動する我々のような人々にもよいFACTとなっているように感じます(ここは後日、詳しくやりたい所)。

最初にまず前提をお伝えしますと、この調査から各国とその人々が考える事は、より良き自身の未来という事。

その為の見える数字、ツールとしてこの調査をどう使うのかという事です。

いくつかのニュースで今年も「日本のランキングがまた下がった!」と煽り気味にミスリードが出ていますが、外的要因と比較するのではなく、内的要因を振り返り、改善ツールとして用いる事が重要です。

☆この調査とは?

さて、調査の大原則となる質問は極めてシンプルです。
あっさりまとめてしまうと「人生で最高を10、最低を1とした時に、あなたの今の点数は何点?」というコーチお馴染みのスケーリングです(この調査ではキャントリルの梯子とされていますが同じですね)。

その点数(スコア)に対し、6つの指標

「1人当たり実質国内総生産(GDP)」
「社会支援」
「健康寿命」
「未来選択の自由」
「社会の寛容性」
「社会の腐敗」

で説明をしようとしているわけです。

もちろん、たった6つで指標で全ての幸福度を説明出来るわけはないので、それ以外の部分に対し【Dystopia】というアンケートの最低数値を基準とする架空国家を定め、その差異によって、より実像に近づくように補おうともしているわけです。

そして、本調査の概要でも

「ポジティブな影響の点で世界トップ10になると、10都市のうち6都市がラテンアメリカとカリブ海地域に由来していることがわかります。このスコアは、これらの都市が所属する国の困難な経済状況を考えた時に、驚きを与えるかもしれません」

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と述べられていたように、地域偏差があることは理解しておいてよいと思いました。物質的豊かさと精神的豊かさの差異にも、文化や個性があるというわけです。

都市調査でも上位20位(Well-being スコアが 7.1以上)を北欧とオセアニアが占めましたし、20位台(同スコアで7.1~6.9)はアメリカの都市がほとんどです。

東京は79位(同スコア5.989)ですが、このゾーンにはソウルや上海、仁川、広州といった東アジアの都市が集まっています。台北(同スコア6.517)だけはちょっと抜けていて、スペイン二大都市(マドリード、バルセロナ)の上に位置しています。

よく日本では北欧との対比がされやすいのですが、現実味としても台北との比較をしてみる方が面白いように思いました。

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☆日本の現在地

さて、日本は評価の土台となるGDP、社会支援、健康寿命といった半分の項目は、これまでも、現在も当然の世界最高レベルです。他の3つに課題はあるものの、6つの合計でも20位前後のアメリカやフランス、ベルギーといった国々と遜色ありません。

しかし、最後の【Dystopia】。
この部分で圧倒的にスコアを低くしています。

何がそうさせているのか?

ここからは僕の今の仮説です。

①「私は今、幸せではない
そう自己評価している日本人が多いことは、はっきりよろしくないですよね。日本人は遠慮がちだからという私見もよく見ますが、そういう性格だからこそ「不幸だ」とはこうした公の調査で言わないことが多いともいえます。

単純に言えば、今までちょっと遠慮して6にしていたのが、リアルで6に近づいてきている。お世辞にも6とは言えない状況に人々が置かれてしまっているということです。

実際、Well-being の都市スコアでも東京は(-0.244)とこの10年間でさらに幸福度を減少させています。これは他国や他都市との相対ではなくて、東京にいる人々の幸福感が、どんどん減少しているという事です。

戦争やテロの直撃を受けた以外の都市では、幸福度が世界的に概ね上昇傾向にあると本調査は触れているように、この10年間で中堅国の躍進による幸福度の上昇が目立ちます。

先進国でもアメリカの各都市が0~0.1ポイントのプラス、香港やシンガポールも-0.05くらい。パリやバルセロナも-0.08くらいなので、日本の数字はちょっとな・・と感じるのは否めないでしょう。

その理由としては、本調査で触れられている内容からも「都市集積の行き過ぎ」は指摘通り受け取れそうです。

本来の都市の役割であり、都市らしい幸福度をもたらす生産性の高さと収入が出来ていない。それどころか長時間の通勤ストレスにさらされ、家族や自分の為の時間を失い、居住費が高騰し、教育投資に見合わない収入しか得られていない。

そんな状況を裏打ちするような数字とも言えるのではないでしょうか?

*ダニエル・ギルバートの本、なんでか在庫が(;'∀')


未来選択の自由が低いことが幸せをさらに遠ざける

そして、人はそもそもで自己決定、自己選択を人生で重要視します。
その自由が先進国として低いというギャップは、人から幸福感を奪っていると言えるでしょう。

つまり、日本の均質性。極めて強い同調圧力のデメリットが、時代の中で表出してきているわけです。

この均質性が強すぎることで多様性が生み出されず、イノベーションが起こらず、ゆえに変革が出来ず、時代の変わり目においては経済が後手に回るという悪循環になります。

この点は日本、中国、韓国における科挙システムによる教育弊害の土台も指摘できそうです。この三か国、特に日韓が似たような傾向にあることは、こうした前提の教育が時代に合わなくなっている可能性を示唆しているともいえるでしょう。

*上記リンク参照で、今回のコロナをテコに出来るといいですね。

都市に人はいるが多様性がない。
その為にイノベーションが起こらず、経済成長が出来ずに、旧システムと既得権維持の為の人海戦術となってしまう。

そんな仕事や働き方では未来への希望も薄くなるわけです。人々が幸せと認知しにくいのも当然でしょう。

おっと、また長くなりました。次回に続きます!

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