見出し画像

日々の雑感 day39【私とあなたの育成アップデート】

☆「タイプ」から「尺度」へ

上記リンク、前回の参考文献でブライアン・R・リトル(ハーバード大学)は、人材採用におけるシーンで「異なる観点のグループが推察や客観的データを組み合わせながら解釈するといい結果に」と触れています。

私達はつい、自分だけの価値基準を「普通は」とか「常識」という言葉にしてしまいます。自分勝手な主観をさも客観であるかのように誤って使っているわけですが、そもそもでこうした「レッテル貼り」の手法そのものを手放す必要があるわけです。

私達は、教科書的に固定したパターンに100%あてはまる個性の人がいない生き物です。なので、このパターンにあてはまらないのが「おかしい」と言われてしまえば反発しますし、あるいは力で抑え込まれれば大きなストレスを抱えます。

ですので、こうした状況を回避する為にも、よくカウンセラーやコーチが

「10点評価で何点くらい?」

「10段階でどのくらいまで進んだ?」

と使うようなスケーリング。
つまり「尺度」で相手を感じていく事が必要になります。

そのうえで「この人は大体こういうところにいる」「このあたりまで進んできたんだ」と現在地を感じていくことが、より重要になってきます。

現在地の見つけ方は、尺度でゾーンを見つけ、その「だいたいこの辺り」をより正確にしていくということです。

そして、空白の中の正しい1点を見つけることではない。型にはまった何かが出てくるわけではないのです。

☆失敗する育み方

ハーバード・ビジネス・レビューにローラ・モーガン・ロバーツ達が寄稿した論文の中に「ビジネスリーダー達がなぜ育成に失敗するのか?」という一節があり、その理由は

「自分の成功体験に基づき、それを土台とした育成戦略を立てるから」

と明快でした。
これはアメリカに限らす、この日本の社会、日本の地方、地域。特に日本の政治・行政において致命的なエラーをもたらしたことは、みなさんが何かしら実感していることだと思います。

こうしたリーダー達は「自分が人を見る目がある」とか「自分は部下の育成が上手い」と盲信していますが、実際に彼らが上手に育成できるのは、彼らの劣化コピーとなる同タイプの部下だけです。

ゆえに、自分とは異なる才能を評価しない傾向が強まります。
その結果、時代の申し子のような人材がもつ自らとは異質といえる才能を見逃したり、その育成に失敗したりして、組織のイノベーション機会を失うことになるわけです。

1995年以降、インターネット時代といわれながらGoogleのようなビジネスに関して個人情報の大義で規制をかけたり、ドローン最右翼と呼ばれていたタミヤ模型に対し航空法で制約をかけたり、それどころかメガバンクがIT企業への出資、投資、資金の貸し出しに後ろ向きだった時代もありました。

これらは異質の才能、時代の変化に対応する新たな人材に対して、社会的に不安や恐怖を感じ、結果、未来の可能性を摘み取ったとすらいえる現象だったともいえるでしょう。

欧米で災害有事にはデジタル処理で即日、翌日に国民に着金されているのを横目にしながら、相変わらずのFAXと手作業で数カ月を要してしまう国になってしまったのも、こうした積み重ねによるものといえそうです。

☆よりよい自分の世界へ

個人レベルでも、組織レベルでも、自治体、国レベルでもこうした心理による誤った選択は発生します。

こうした状況を避け、自分の世界をよりよく育んでいく為にどうしたらいいでしょうか?

その答えとして、前記の論文では「レジリエンス」と「人間関係」の二点に集約されています。

長くなってきましたので、また次回からこの二点を進めていきたいと思います。そのうえで、今日のまとめとして、またレジリエンスという言葉の指標の一つとして、豊橋技術大学・岡田教授の前書きから一言をお借りしておきたいと思います。

「自立するとは、誰の手も借りずに一人で行えることではなく、むしろ、その依存先を増やすこと。それを分散させておくこと」

*参考


ありがとうございます。頂きましたサポートは、この地域の10代、20代への未来投資をしていく一助として使わせて頂きます。良かったら、この街にもいつか遊びに来てください。