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【旅のGIFT。地方の20代流出は「課題」ではなく「機会」と捉えよ。かわいい子には旅をさせろのリアル①】日々の雑感 day69

Instagram でポツポツと出していましたが、4月の休日を長崎の五島で過ごすことが出来ました。その島時間の中で目的の一つだったのが、山本二三さんが描かれた「五島百景」に触れてくることでした。

これまで『天空の城ラピュタ』『火垂るの墓』『もののけ姫』『時をかける
少女』等、数々の名作アニメーション映画の美術監督として、多くの人々の
心に残る背景画を描いてきた山本二三(やまもとにぞう)が、2010年より故郷である長崎県五島列島を描き続けた作品群『五島百景』。50代も後半に差し掛かった頃、これまでの人生を振り返り、自分は故郷のことを何も知らない…。”と気が付き…

“五島の絵を描いて魅力を広く伝えよう。”

“40年近く培ってきた背景画の技術を100枚の絵に込めよう。”

そう思い、様々な仕事の合間を縫って精力的に制作を続けること10年。
2021年1月4日、ついに『五島百景』の完成を発表しました。

☆子供の選択を尊重することが未来につながる

山本二三さんの背景画が、これまで日本のどれだけの人の心を動かしてきたかは言うまでもありません。そして、その描かれた空や自然が、こうした五島で暮らしていた幼少期の土台があったこともまた否定されるものではないでしょう。

けれど、そんな山本二三さんの中にある情熱が向き合い続け、その技術を獲得することとなったのは、東京に出て、その道の最前線を突き進む人々であり、また同じ道を歩む仲間たちによって支えられたものであることも、また間違いのない「事実」なのです。

私たち、多くの大人たちは、大なり小なりこうした体験や感覚を持っています。そして、そのこと自体はまったくもって悪いことではなく、その感覚を次の人生にいかに活かしていくかという点で、山本二三さんの取り組まれた「五島百景」のような企画は、まさにお手本と言えるものです。

ところが、往々にして大人が失敗してしまうのが、この自分たちが見つけた感覚や価値観を、なぜか無理やり子供たちに押し付けようとしたり、強制しようとしてしまうことです。そう。本来は大人側の課題であって、まず自分がやれよ!っていう話でしかないのですが、いわゆる役所の論理で

「若者の流出が課題だから、地域の良さを知る大人がそれを教えれば、子供たちが地域に残ってくれる筈」

という何の根拠もない、ただの思い込みレベルで誤った施策を行い、子供達にすり込もうとしたり、義務感を強要したりして、結果、余計に子供たちが地元嫌いになるだけ・・なんて仕事等は典型的事例と言えるでしょう。

もし、このような考え方や関わり方を仮に肯定して、山本二三という人物がこの同調圧力によって無理やり農家を継承させられていたらどうなるか・・と考えてみることです。その選択が行われた日本では、私達が体験した数々の作品はまったく別物になっていたでしょうし、そもそも山本二三さんがいないことで「未来少年コナン」が大失敗していれば、宮崎駿さんが今のようなジブリ作品をつくることすら出来なかった・なんて状況すらおこっていたかもしれません。

ですので、東京や大阪・京都に大学が集中し、多くの情報や技術の先進的会社が東京に本社を置くという国内構造を無視し、こうした子供たちの移動や進路の選択に対し、地域の目先の利益の為にちょっかいを出す。その安易な行動が子供たちの可能性を閉ざし、その結果が国全体の将来利益を大きく逸失させる。そんなケースすらままあることを、大人として自覚しなくてはいけません。まさに

☆「かわいい子には旅をさせよ」

ということです。今の時代に、小さな地域で人生100年時代を完結させられるだけのキャリアを提供できるわけがありません。ですので、むしろ旅立ちの背中を押してやる。それこそが、よき大人が持つべき態度、考え方だと言えるのではないでしょうか。
 
そして何よりも、時代はもはや首都圏と地方という話ですらなくなってきています。僕自身が今の10代、20代には「海外も常に視野に」と伝えているように、優秀な人材ほど国境を越えていく時代へと変わり始めています。
 
日本は新産業への転換に失敗し、経済が衰退し、アメリカの半分、欧州上位国の三分の二程度の収入しか得られません。新しい技術や創造的な仕事や研究の多くは、海外発という状況になってしまったのです。そのうえ、寿命が延びたしわ寄せで経営陣や上位管理職が引退をしないまま何十年とポジションを居座り、人口減少と相反するかのように企業の新陳代謝が悪化しています。何よりも働き方そのものや男女格差といった様々な価値基準、国際水準と比して劣化した国内問題等が明るみになってきました。

ですので、能力のある、特に若い女性は日本すら出ていくことも増えていくでしょう。そして今や日本人大半の世帯年収だと、海外の少なからぬ大学では授業料免除の対象となるくらいの経済格差があります。なので、本当に優秀な10代は、学費や生活費を稼ぎながら東京で大学に通うよりも、海外のこうした大学で授業料の心配もなく、給付型の返さないでよい奨学金に挑戦し、世界中の仲間と過ごす時間の方に価値がある。そう判断されても仕方のないような環境にすらなってきています(卒業時に東大より格上で、生涯年収3倍予測とかならそうなりますよね)。

私たちは、この若い世代に対して、どのように関わるのか? まず自分達、大人自身を客観視するところから、考え直し、行動を改めなければいけないのではないでしょうか。

*五島出身のヨシノサツキさんの漫画、アニメ化もされた「ばらかもん」も五島ルーツがいかんなく発揮されている作品。山本二三さんとのコラボもされていましたね。続きます。


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