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日々の雑感72【オシムさんを偲び、その言葉を振り返る③「私たちのアップデート」】

*前回はこちらからとメモリアル的にまとめてきた三回目。
今日のテーマはライフ。「人生と私たち」です。

☆人生で最も重要なこと

【走るために走るのでは意味がない。芸術のための芸術と同じで役に立たない。官僚的なメンタリティを身に着けてしまうと、仕事の仕方も官僚的になる。だがサッカーでは、さらに一歩を踏み出すことが求められる。人生で最も重要なことは、そういうことだ。仕事をするよりも、プレーをしろ】

私たちはコーチとして「問い」を持っています。そしてオシムさんの言葉には、私たちに向けた「問い」が入っていることが多いのです。例えばここでは、

・人生で最も重要なこととは具体的に?
・仕事とプレーの違いは具体的に?

その答えを各自で見出さなければ、この言葉達は「情報として聞いたことがあるだけで、実生活に役立たない」という結果になります。皆さんにとってはどんなこと、何が自分の解と呼べるものになるでしょうか?

そしてよく用いられる置き換えにおいて、これはサッカーだけの話だろうか? と自分の日常に照らし合わせて学びにしていく。それが出来る人が、実の学びが出来る人と言えるでしょう。

謙虚さもなく「それはサッカーの話で関係ない」という人にこの言葉から学ぶ機会はないでしょうし「そんなの当たり前」とか言う人ほど小さな世界で成長を止めてしまっているわけです。
 
成長する人に謙虚さがあるのは「知らないことを知っている」というポジションがあるからですし、学びへの意欲を感じさせるのは、こうした日常の機会に反応し、吸収し、実践するというルーティーンがそうではない人と比べて高速でまわっているからです。

オシムさんの語る「リスペクト」という態度の本質も、まさにそこにあると僕は思っています。こうした日常の姿勢が、人生の習慣となり、その結果も決めていくのではないでしょうか。

【リスクのない人生など存在しない。だからこそ何かにトライすべきだし、日本という社会はそれを許す環境にある。投資した結果は試合の内容となって現れる。最後に敗れるのはプレーしない方だ。サッカー(人生)とはプレーであり、リスクを冒すことだ。負けるのは、何もしないことへの罰が下るからだ】

☆ネガティヴも自分の個性

【勇気は金では買えない。ミスをする権利があることも教えるべきだ。というのもミスを犯すことなしには生きていけないからだ。成功しなかった時には、モラルや人間性は得てして焦点になる。困難な状況での行動も真価が問われる。そういう時にこそ人間性が問われるのだ。そのためにも、ネガティブな事、悪かった時の経験を、常に思い出さないとだめだ。失敗もまた人生の一部だからだ。ただ、同じ失敗を繰り返さないように、解決策を見出さなければならない。それから少し頑固になって、強い意志を持ち続けること。そうすればいつの日にか成功する】

僕達。いわゆるエビデンスをもとに体系的に学び、経験を積んだコーチ達は「ネガティブ」を悪者にしません。そもそも人の感情の9割はネガティブですので、この9割を否定するという前提にたってしまうと、それは自分自身を否定しているのと同義語にすらなっていくのです。

そして様々な研究からも、優秀な経営者、成功者の多くがネガティブの力を上手にコントロールしていることもわかってきています。つまり、ネガティブという存在を「悪」としてわかりやすく標的にしてしまうこと自体が間違いであって、この感情をコントロールできる自分自身をいかに育むかということが大切なのです。

僕のコーチングの特徴の一つであるメンタルコントラスティングでも、やはり理想的状態の想定とあわせて最悪の状態も想定することで、目標達成率がより向上することがわかっています。

そしてこれはイチロー選手の言葉ですが「勇気や自信を得るには困難に立ち向かうしかない」という現実もまたあります。こうしたオシムさんをはじめとして、多くの人々。特に成功者と呼ばれたり、何かを達成する人は、ミスを許容しながら、多くの困難に挑戦している・ということです。

アプリのゲームと違い、実世界ではスライムを1000匹倒すようなノーリスク経験値上げは存在しません。私たち自身も、常に一歩上の挑戦をしている自分を確認し、クリア(成功)したらまた新たな挑戦があることを認知しておくと良いでしょう。

☆そして人生を生きることとは?

【そもそもが、人生というものが一つの問題提起ではないか。誰かはこういうふうに人生の問題を解決した。しかし、他の人は別のやり方で解決する。人よりも速かったり、エレガントだったりする。それと同じでサッカーも答えは一つではない。もっとも答えを出すまでにいかないこともあるが。サッカーにおいては非インテリジェンス、エゴイスト的な選手はとても分かりやすい。リスクを冒す才能を持っていない選手も分かりやすい。言うまでもなく、リスクを冒す心の準備を持っていない人は成功しない
【問題を他人とは違う方法で早く解決できるプレイヤーをインテリジェンスがあると呼べる。そこにはセオリーというよりもオリジナリティがある

僕のいる地方創生のジャンルでは「課題解決」ブームとなって久しく、コンサルや行政の間では「前例集」や「事例集」が飛び交い、劣化したコピーが誤った課題解決を実行したり、そもそも誤った課題設定をごり押ししたりと、誰のためにもならない、なんの得にもならない自己満足な課題解決ばかりになってきています。オシム風に表現すると、いわゆる「課題解決のための課題解決」です。

当然オシムさんの言葉にもあるように、これらの「前例」「事例」というセオリーの象徴的存在自体が非インテリジェンスなアクション。つまり、解決するわけないよね!ということです。

なので、地域にしても、自分自身の人生にしても、大切なことはオリジナリティ。自分らしさを持ち、勇気を友として困難に立ち向かうそのプロセスこそがエレガントなんです。そして、そこから稀に生まれた成果の果実。そのオリジナルな過程と成果を生み出せる人こそが、インテリジェンスを体現した人と言えるわけです。

またオシムさんは「自分にはできないことが可能な仲間がそばにいれば、自分自身も強い性格になれる」とも伝えてくれています。その点でチーム、良き仲間たちとこうした人生や様々な困難に向かっていくことは、よりよい方法と言えるでしょう。
 
その為にも、日頃からいくつかの自分らしく居られるコミュニティで、しっかりと役割を果たしている状況をおススメします。最近流行りの Co+。コワーキングにしてもコラーニングにしても、誰かと共に相手のいる現場で実践的な学びを行うことがもっとも効果が高い!というエビデンスがあるからです。

この点で、オシムさんは相手のいない練習をする日本の教育システムにも危惧をされてもいました。学校の教育や職場の仕事も机が並んでいるだけで、共に学び共に働いている実感がなければ、それは Co+ ではない・・のです。

というわけで長くなりましたが、ここで区切りとします。
ではでは、皆さんも良き仲間と共に良きライフを!

*あわせてご参考までに


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