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なぜ関節を極めるのか

「関節技」

という言葉を聞くと「腕十字ひしぎ」などを思い浮かべる方は多いかもしれません。

「関節の可動域の限界を超えるまで力を加えて破壊する」

これが一般的な「関節技」のイメージではないでしょうか。

この文脈から考える「関節技」とは足首、膝、肩、肘、手首の関節を破壊する技、ということになります。

では「合気道」における「関節技」で「相手の関節を破壊する」というイメージは繋がらないかと思います。

「関節を極められて、抵抗すると壊されたり、痛めつけられるから仕方なく受身を取るんじゃないの」

私もそう思っていた時期がありました。

ただ何か納得がいかないもの。

相手を痛めつけてるだけじゃね?

技をかけられると痛いし、相手を痛めつけるなら心苦しいから使いたくないわ!

何回強引な小手返しで手首を壊されたことか。

「これが合気道なの?痛いしもう嫌・・・」

合気道の経験がある方は一度は思ったことがあるかも。

しかし10年以上合気道をやってきて、「合気道の関節を極める意味」が明確になりました。

それは

「関節を極めることによってエネルギーを相手の末端部から体幹部へ伝えるため」

合気道は相手の手首など体幹部から遠い部分から技をかけていきます。

その時に、技をかけるために掴んだ相手の手が脱力しきっていては、相手の体幹部にエネルギーをうまく伝えることができません。

ずっとスカしている感じ。

稽古に来られる方に私は「タコみたい」とよく言われます。

逆に力んでいる人は末端である手首から体幹部まで一本の棒のように繋がっているのでエネルギーが伝わりやすいのです。

この力んでエネルギーが内側に向いている状態を私は「硬直系の抵抗」と呼んでいます。

人形の手を持ってぐるぐる回すと、人形の胴体部分も一緒に回るのと同じですね。
だから技がかかりにくい人の特徴としては

「脱力をしてエネルギーを逃す人」(脱力系の抵抗)

または

「優れた皮膚感覚と体幹を持ち、即座に対応してくる人」(反発系の抵抗)

と私は考えています。

つまり、合気道での「関節技」の意味は「関節をロックすることで末端部と体幹部を繋げること」なのです。

だから合気道で「痛める関節技」をする人は、関節がロックされるレベルを超えさらに捻るため、「破壊する関節技」に寄ってしまっているということです。

あくまで関節を極める目的は体幹部にエネルギーを伝えるための通り道を作るため。

では何故、「破壊する関節技」の方が合気道でも広まっているのか。

一つは「破壊する関節技」でも技として成立するから。

一つは「そっちの方が簡単」だから。

ただ結局、「反射神経」と「腕力」の世界に行き着くことになります。

それにそんなに痛めつけてくる人と一緒に稽古をしたいとも思えないですよね。

だから「捻りすぎず」、かつ「関節がロックされる」という絶妙なポイントを模索していくことになります。

私は技をした際に

「痛さだけで技が決まったのか」

「エネルギーが重心に伝わって崩されたのか」

を聞くようにしています。

相手のフィードバックを聞くことの学びは大きいもの。

ただそれにはじっくり向き合う時間もまた必要。

私の稽古会でじっくり自分の技と向き合える時間が作るのもありですね。

ではでは。

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